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前回完結した全25話のりにゅうこく物語。
今回は、この物語の作者yukkoさんが離乳食について感じることや、りにゅうこく物語に込めた想いをご紹介します。
離乳食は「出会い」の連続だ
小さな赤ちゃんだけが入ることのできる秘密の国がある。
「りにゅうこく」だ。
そんな物語をふと思いついたのは、息子の離乳食が始まる時だった。
にんじんを初めて息子にあげるとき、にんじんと息子との出会いが素敵なものになったらいいなと思い、1枚の絵を描いた。
描いてから気付いた。
離乳食は、息子にとって「出会い」の連続であることを。
そう思うとなんだかとてもドラマチックな感じがして、私は離乳食を舞台にした「りにゅうこく物語」を描き始めた。
描きたいことは山ほどあった。だって目の前の食卓で、毎日ドラマが起きていたから。
赤ちゃんだって、未知の世界なんだ
離乳食を始めるのが不安だった。
本を読んでみると、「まずは10倍粥から」「ゴックン期、モグモグ期、カミカミ期、パクパク期」「アレルギー反応があるかもしれないのではじめは小さじ1杯から」などなど…
これまでの人生で全くなじみのない言葉がならんでいる。まさに、未知の世界。
ただでさえ自分がトイレにいく暇もないほど忙しい育児の毎日。私は離乳食をちゃんと作ってあげられるのかな…。
未知の世界に足を踏み入れるその感じは、冒険そのものだった。
そして、それはママやパパだけでなく、赤ちゃんにとっても同じなのかもしれないと考えるようになった。
そんな思いをのせた「僕ちゃん」の冒険からストーリーは幕をあける。
りにゅうこくでは、僕ちゃんとの出会いを楽しみにしている野菜や果物など多くの仲間たちが登場する。
りにゅうこくの仲間たちは、離乳食に向き合うママとパパの気持ちそのものである。
いい食材を選んで、どれだけ準備に時間をかけても、ほんの少し酸っぱかっただけでうまくいかない。
そんなことがたくさんあるのだ。
相手を想う気持ちさえあれば、それで十分
友達と仲良くなったり仲良くなれなかったりするように、離乳食も上手に食べられたり食べられなかったりすることがある。
赤ちゃんが離乳食をうまく食べてくれないとき、ママやパパは思い悩むかもしれない。
だけど、相性やタイミングなど、努力ではどうにもならないときも多々ある。理由がないことだってある。
そんなとき、結果がどうであろうと「赤ちゃんを想う気持ち」があれば、それだけで十分なのかもしれない。と思うようになった。
この出会いが、素敵なものでありますように
離乳食はニュースにならない。新聞にもネットニュースにも載らない。
だけど、日本中にいるママとパパが、赤ちゃんのひと匙を見守っている。
今日、赤ちゃんが、そのひと匙を食べるかどうか、家族にとっての一大ニュースになる。
離乳食は、ママとパパがかける魔法だと思う。
ミルクとおっぱいしか口にすることができなかった赤ちゃんが、ママとパパのかける魔法によって少しずつ大人に近づいていく。
ベビーフードも手作りも、すべての離乳食にママとパパの想いという「魔法」が込められている。
離乳食の進め方や方法を説明する記事はいっぱいある。けれど、そんな柔らかな気持ちを大切にした物語を描きたかった。
どうか、すべての赤ちゃんとママとパパが、離乳食と素敵な出会いがありますように。
yukko
作者