赤ちゃんが病気で苦しんでいる姿は、できることなら苦しみを肩代わりしてあげたくなるくらい、親として辛いものがありますよね。しかし、残念なことに、ママ・パパから赤ちゃんに病気がうつってしまうことも。
だからこそ、特に感染症のシーズンには、赤ちゃんを病気の脅威から遠ざけておきたいもの。そこで今回は、大人から赤ちゃんにうつる感染症の種類と、大人がその病気に感染した場合の初期症状を、編集部が小児科医の先生に聞いてみました。
赤ちゃんに病気をうつさないためのヒントにしてくださいね。
【そのギモン、私が答えます】
小児科/高座渋谷つばさクリニック武井 智昭
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。
大人から赤ちゃんにうつりやすい病気にはどんなものがある?
ー大人から赤ちゃんに感染しやすい病気には、どのようなものがあるのでしょうか?
武井先生
「インフルエンザ」「アデノウイルスによる風邪」「ノロウイルスによる感染性胃腸炎」「帯状疱疹」などは感染しやすいですね。
ーどれも聞いたことある病気ですね。
武井先生
一つ一つ解説していきましょう。
赤ちゃんにうつりやすい病気1
大人のインフルエンザの初期症状は?
ーではまず、インフルエンザについて教えてください。
武井先生
インフルエンザは冬の感染症の代表格ですよね。ママがかかってしまうと、2〜3日もあれば赤ちゃんに感染してしまうほど、感染力が非常に強いウイルスです。
ー大人が感染したときに現れる初期症状を教えてください。
武井先生
大人がインフルエンザに感染すると、最初に38度以上の発熱の症状が現れるケースが多いです。
赤ちゃんにうつりやすい病気2
大人のアデノウイルスの初期症状は?
ーアデノウイルスについて教えてください。
武井先生
大人にとってアデノウイルスは、風邪などを引き起こすウイルスの一種です。ただし、赤ちゃんや子供に感染すると、ウイルスの種類や体の部位によって、色々な症状が現れます。
しかも、赤ちゃんの場合、重症化することもあるので、極力うつしたくないウイルスですね。
ーアデノウイルスが赤ちゃんに感染すると、どんな病気や症状が出るのでしょうか?
武井先生
高熱が出るプール熱や目が充血するはやり目(流行性角結膜炎)、嘔吐や下痢などの症状が現れることもありますよ。
ー大人がアデノウイルスに感染した場合の初期症状は何ですか?
武井先生
大人に現れる初期症状には、発熱やのどの痛みなどがあります。
赤ちゃんにうつりやすい病気3
大人のノロウイルスの初期症状は?
ー毎年冬になると、必ずと言っていいほどノロウイルスの被害を耳にします。集団感染で保育園や学校が休みになった例もありますよね。
武井先生
そうですね。食中毒を起こすノロウイルスの感染力は非常に強いです。大人はもちろん、子供や赤ちゃんにも感染するので、ママ・パパは家に持ち帰らないようにしたいですね。
ーママ・パパがノロウイルスに感染したときの初期症状を教えてください。
武井先生
ノロウイルスに感染すると吐き気や腹痛などの症状が出ます。そして、嘔吐や下痢の症状に発展します。
ただし、健康な大人の場合は、感染してもこれらの症状が現れないこともあります。
赤ちゃんにうつりやすい病気4
帯状疱疹の初期症状は?
ー「帯状疱疹」って聞いたことはありますが、どんな病気かイメージがわきません。どのような病気なのでしょう?
武井先生
帯状疱疹は帯のように小さな水ぶくれが現れる病気です。帯状疱疹のウイルスは大人同士ではうつりませんが、赤ちゃんや子供に感染して、発症すると水疱瘡となります。
ー水疱瘡と同じウイルスが原因なんですね。帯状疱疹の初期症状はどのようなものでしょうか?
武井先生
帯状疱疹は発症すると、肋骨に沿ってピリピリ・ジンジンするような痛みが現れます。その数日後、熱や水ぶくれなどの症状が現れます。
赤ちゃんにうつりやすい病気の初期症状が、ママ・パパに現れたらどうする?
ー万が一感染症にかかってしまったら、赤ちゃんにうつす前に早く対策を打ちたいですよね。これらの初期症状が大人の体に現れた場合、赤ちゃんや子供にうつさないためにどうすればいいでしょうか?
武井先生
例えば、インフルエンザの流行している時期であれば、熱が出たら、とにかく早く病院を受診するのがいいでしょう。
もっと言えば本当はママ・パパが手洗い・うがいなどを徹底して、感染しないことが一番いいんですけどね。
ーどの病気が流行っているかなどは、どのようにして知ればいいのでしょう?
武井先生
東京都感染症センターや横浜市衛生研究所など、その地域の保健機関のサイトで調べることができますよ。
赤ちゃんにうつりやすい病気まとめ
赤ちゃんがかかる病気のなかには、大人から子供に感染してしまうものも少なくありません。大人が感染しないことが一番の予防法ですが、もしかかってしまった場合、早めに初期症状を見つけて、病院を受診しましょう。
大人から赤ちゃんにうつりやすい病気と、大人の初期症状を下に表としてまとめたので、参考にしてみてくださいね。
大人がかかったときの 初期症状(一部) |
大人の病名 | 赤ちゃんの病名 |
発熱(38度以上) | インフルエンザ | |
発熱、のどの痛み | アデノウイルスによる風邪 | はやり目、 プール熱など |
吐き気、腹痛 | ノロウイルスによる 感染性胃腸炎 |
|
肋骨に沿った痛み | 帯状疱疹 | 水疱瘡(水痘) |