はじめまして。小児科専門医で二児のパパのぱぱしょーです。
小児科医師と父親の立場から、子供の健やかな成長をサポートするための「ちょっとしたコツ」を発信しています。
今回は「赤ちゃんが泣き止まない」をテーマにお届けします。
赤ちゃんが泣き止まない…!
赤ちゃんが泣き止まず、いつもと様子が違うとき「どこか具合が悪いのかな?」と不安になると思います。泣き止まないときにはなにか病気が隠れている場合もありますし、調べた結果、特に問題がないこともあります。
今回は赤ちゃんが「泣き止まない」3種類の理由についてご説明します。
【泣き止まない理由1】緊急的に処置が必要なケース
日本小児科学会監修のこどもの救急(ONLINE-QQ)では「泣き止まない」を注意すべき症状として取り上げています(※1)。
泣き止まないうえ、顔色が悪い、不機嫌、発熱がある、ぐったりしているなどの症状があるときには、なにか具合が悪い可能性があるため、救急受診が必要です。
赤ちゃんは自分で症状を言うことができないため、「泣き止まない」という症状は、時に重症の病気を見つけるためのサインになることがあります。
緊急的に処置が必要な「泣き止まない」病気とは?
例えば、髄膜炎(頭の感染症)や、敗血症(全身的な感染症)、不整脈、陰嚢が腫れる精巣捻転などは、緊急的に処置が必要な病気です。
これらの病気にかかると、発熱や痛み、全身的なしんどさなどから、赤ちゃんが泣き止まないことがあります。
また、腸重積(ちょうじゅうせき)という病気は特徴的な泣き方をします。
腸重積は腸が閉塞して嘔吐や血便を認める病気で、緊急に処置しなければならないものですが、その泣き方はわーっと泣いて、少し泣き止んで、また火のついたように泣くというパターンをとります。
これは腸が一定サイクルで動いているために、周期的に痛みがきて泣くもので間欠的啼泣(かんけつてきていきゅう)と呼ばれます。
【泣き止まない理由2】緊急的な処置は不要だが、何かしらの原因があるケース
前述の通り、緊急的な病気のために泣き止まないこともありますが、多くはちょっとしたことが原因です。
「泣き止まない」ちょっとした原因とは?
例えば、おしりが荒れていて痛い、お腹にガスや便がたまっていてしんどい、湿疹があってかゆい、暑かったり寒かったりしてイヤ、ゲップが出せずしんどいなどの理由で泣き止まないことがあります。
また、ヘアーターニケットといい、指に髪の毛が絡まって痛い、なんていう細かいこともあります。
【泣き止まない理由3】理由がなくても泣き続ける時期がある
緊急的に処置が必要な病気が隠れていないか、または何かしらの不快な症状はないか、一つずつ検証してもはっきりした原因がわからず、赤ちゃんが泣き続ける場合があります。
このはっきりした原因がなくても泣き止まない症状は、生後1~2ヶ月の時にピークとなり、生後3ヶ月を超えるとだんだん減少することがわかっています。
まずは具合が悪くないか確認することが前提ですが、生後1〜2ヶ月頃の赤ちゃんは、特に理由なく泣き続けることがあることを知っておいてください。
泣き止まず不安な場合は病院を受診していい
今までご説明したように、赤ちゃんが泣き止まないときには、病気が隠れている場合もあれば、明確な理由がない場合もあります。
赤ちゃんが泣き止まず、判断に悩む場合は小児科に相談してください。
泣き止まない症状に対する緊急性の判断は、医療者にとっても難しいことがあります。小児科医師ではない親御さんにとってはなおさら難しいものです。
ですから、受診の理由は「いつもと違う気がしたから」「泣き止まず不安だから」で十分です。
その不安は、ときに重要な病気を発見するきっかけになります。
小児科を受診する際には「いつもと違う様子」を伝えてほしい
赤ちゃんが泣き止まず、受診する際はいつもと違う様子を中心に伝えていただくと診察がスムーズにできます。
例えば、「いつもこの時間はミルクを欲しがるのに、2時間前から泣き続けてミルクを飲まない。いつもと違って心配です」などです。
ママやパパが赤ちゃんを大切に思うからこそ感じる「不安」は、赤ちゃんの健やかな成長を支えます。
もし救急受診すべきか悩む場合は、こどもの救急を参考にしてみてください。
後編では、赤ちゃんが泣き止まないときのママ・パパの心理や対処法についてご紹介します。
パパ小児科医
(ぱぱしょー)