あなたのお子さんは「後追い」しますか?
一般的に、生後9ヶ月になるとママを追いかけてついてくる後追いが始まり、生後10ヶ月頃になるとそれが激しくなります。この記事を読んでいるママの中には、今まさに赤ちゃんの後追いが激しくて、困っている人がいるかもしれませんね。
そこで連載5回目の今回は、赤ちゃんの後追いで困っているときに役立つベビーサインはあるのか、日本ベビーサイン協会の長屋さんにお話をうかがいました(前回記事は下記を参照してください)。
ベビーサインは後追いに効くの?

−生後10ヶ月くらいになると、後追いが激しくなってくる赤ちゃんもいると思います。ベビーサインで後追いをなくしたりすることはできますか?
日本ベビーサイン協会・長屋さん(以下長屋さん):まずお伝えしておきたいのは、後追い自体は悪いものではなく、赤ちゃんの成長にとって大切なものだということです。
ママのことを認識していて、ママが自分を守ってくれる唯一無二の存在なんだということを理解しているからこそ、ママにずっと一緒にいてほしくて後追いをしたり、急にいなくなると泣いたりするわけです。
−後追いにはそんな理由があるんですね。
長屋さん:ですから、後追いそのものをなくすことはできません。でも、赤ちゃんの気持ちに寄り添いながら、たとえば「待っててね」とベビーサインを使って言い聞かせることで、赤ちゃんが待つことができるようになる、というのはありますね。
−そうなってくれたら、ママの心にも余裕が生まれそうですね。
長屋さん:そうなんです。赤ちゃんとコミュニケーションが取れるので、そもそも後追いに対してイライラすることがなくなります。
−では、実際に後追いで困っていたら、どのように赤ちゃんに言い聞かせるといいのでしょうか?
長屋さん:赤ちゃんの気持ちをまずは受け止めること。その上で、その場を離れる理由をベビーサインを使って説明してあげることが重要ですよ。
−その際、どんなサインで説明するといいのでしょうか?
長屋さん:では、後追いで困っているママにおすすめのサインをご紹介しますね。
【トイレ】のベビーサインは?

長屋さん:まずは【トイレ】のサインです。握った手の人差し指と中指の間から親指を出して、肘を軸に軽く振るのが【トイレ】のサインですよ。
ちなみに、この手の形はアメリカ手話で【t】を表しているんです。
−トイレに行くため赤ちゃんから離れるときに役立ちそうなサインですね。
長屋さん:【トイレ】のサインを見せて、「トイレに行ってくるね、すぐ戻るよ」と赤ちゃんに伝えると、初めのうちは泣いたり、後追いしたりしていたけれど、何度かしているうちに大人しく待っていてくれるようになったという声はよく聞きますね。
【お風呂】のベビーサインは?

長屋さん:パパに赤ちゃんの面倒を見てもらっている間に、ママがお風呂に入るということもありますよね。そういうときは、先ほどの【トイレ】の代わりに、【お風呂】のサインを使うといいですよ。
【お風呂】のサインは簡単で、両手を握って胸に当て、上下に動かします。
−後追いする赤ちゃんに言い聞かせるためだけではなくて、赤ちゃんをお風呂に連れて行くときも使ってかまいませんか?
長屋さん:もちろんです。「お風呂の時間だよ」と言いながら、このサインを見せるといいですよ。
【料理】のベビーサインは?

−料理をするためにキッチンへ行ったら、赤ちゃんが後追いしてくるケースもありますよね。
長屋さん:そうですね。そんなときは【料理】のサインを使って、赤ちゃんの側から離れる理由を説明するといいでしょう。
包丁で野菜をトントントンと切るジェスチャーが【料理】のサインですよ。
【待ってて】のベビーサインは?

長屋さん:赤ちゃんの後追いが激しくて困っているのであれば、「トイレに行くよ」「お風呂に入ってくるよ」「料理をするよ」と行き先を伝えるだけではなくて、赤ちゃんに「待っててね」と伝える必要があります。
そんなときに【待ってて】のサインを使いましょう。【待ってて】のサインは片手の指を伸ばしてあごの下に置くだけです。頬杖をついているイメージでやりましょう。
−このサインを使うと、赤ちゃんは大人しく待っていてくれるようになるんでしょうか?
長屋さん:そういう子は多いですよ。後追いする前からこのサインを教えていたら、後追いをする頃にはサインの意味を理解できるようになって、ママがその場を離れても赤ちゃんが待っててくれるようになったという人もいますね。
【ありがとう】のベビーサインは?

長屋さん:赤ちゃんが後追いせずに待っていてくれたら、ちゃんと「待ててくれたんだね。ありがとう」と褒めてあげることも大切ですよ。
−確かに赤ちゃんにとってはすごいことですよね。ママについていきたいのを必死に我慢してくれたわけですから。
長屋さん:【ありがとう】のベビーサインは、投げキッスをするしぐさです。開いた手を口元から前に出すように動かしてください。
次回は遊び食べで困ったときのベビーサイン!

ベビーサインは、生後10ヶ月頃の赤ちゃんによく見られる後追いに対しても、効果が見込めるということがよくわかりました。
ベビーサインを効果的に使うことにより、赤ちゃんが大人しく待ってくれていたり、後追いの頻度が減ったりして、結果的に後追いに対してイライラしなくなるということなので、ぜひ試してみてくださいね。
さて、次回の連載第6回では、赤ちゃんの遊び食べや手づかみ食べで困っているときに役立つベビーサインをご紹介します。
ご期待ください!
取材協力
参考書籍

『親子で楽しむベビーサイン』(実業之日本社/吉中みちる・まさくに著)

ポッケベビーサイン部
作者