生後4〜6ヶ月の赤ちゃんに対して、「そろそろ声を出してもいいはずなのに、あやしたり喜ばせたりしてもニコニコするだけで声をだしてわらない。成長・発達に関係するのかな…?」と、不安を感じるママの声がよくあります。
そこで今回は、日本小児科学会専門医の武井先生に、笑顔なのに「声を出して笑わない」赤ちゃんについて、成長や発達と関係するのか詳しく聞いてみました。
赤ちゃんが声を出して笑わない…
成長の遅れなの?
赤ちゃんは一般的に生後3ヶ月から声を出して笑うといわれていますが、「その時期を過ぎても声を出して笑わない」と悩むママは少なくありません(※1)。なかでも、生後4~6ヶ月ころにそう感じることが多いようです。
生後4~6ヶ月に「声を出して笑わない」のは、成長や発達に関係しているのでしょうか。小児科医の武井先生に聞いてみました。
武井先生
生後4〜6ヶ月頃に赤ちゃんが声を出して笑わなくても、必ずしも成長の遅れというわけではありませんよ。
赤ちゃんが声を出して笑うようになるのは早くても生後3〜4ヶ月頃。生後4〜5ヶ月頃には、あやすとケラケラと声を出して笑うことが増えてきます。大人と同じように何かを見て笑うのは1歳頃からと言われています。
赤ちゃんがなかなか声を出して笑わなくても、生後6ヶ月頃まで様子をみても問題ないでしょう。
「赤ちゃんが声を出して笑う」ことは
成長・発達にどのような影響があるの?
そもそも、赤ちゃんが声を出して笑うという行動は、成長や発達にどのような影響を与えるのでしょうか。
武井先生に、成長・発達への影響と、促し方を聞いてみました。
武井先生
「声を出して笑えば赤ちゃんの脳の発育を促す」と言われています。
そのため、赤ちゃんの成長のためにも声を出して笑うように、親御さんが表情を明るくして接することをおすすめします。笑顔を向けると視覚的にも笑うことを促せます。
また、親が赤ちゃんの前で声を出して笑ってみたり、赤ちゃんに笑顔で話しかけたりするのも良いでしょう。赤ちゃんの声に近い少し高めのトーンで話しかけるとより効果的ですよ。
赤ちゃんが声を出して笑わないときに
受診するポイントは?
生後3ヶ月以降の赤ちゃんが声を出して笑わなくても、基本的には成長・発達の遅れを心配する必要はないことがわかりました。
ただし、「赤ちゃんが声を出してわらない」ことに加え、以下のような様子がみられたときは、別の影響が考えられると先生は言います。
武井先生
生後5ヶ月になっても「声を出して笑わない」、かつ「首がすわらない」などの症状も伴っている場合は、中枢神経の機能異常などの可能性もあるので、一度受診するのをおすすめします。
また、赤ちゃんが声を出して笑わないことで、「サイレントベビー(★)」を疑う方もいますが、あまり関連はないでしょう。どうしても心配なときは、健診時に相談したり医療機関を受診してみてくださいね。
無表情で、あまり泣かない・笑わない状態の赤ちゃんのことをいいます。
「サイレントベビー」という言葉自体は和製英語で、1998年に初版で発行された書籍「サイレントベビー -「おとなしい子」ほど、未来は危険」(著/小児科医の柳澤慧氏)で名付けられたと考えられます。新潟県医師会も発表していますが、「サイレントベビー」は病名ではなく、俗称です(※2)。
大人が声を出して笑うなどして促しながら
赤ちゃんのペースを見守ろう!
生後4〜6ヶ月の赤ちゃんが、ニコニコとした表情でも「声をだして笑わない」ということだけであれば、あまり心配しすぎる必要はありません。ママ・パパなど周りの大人が笑いかけたり、声を出して笑うお手本をみせながら、赤ちゃんのペースを見守ってあげてくださいね。
「声を出して笑わない」以外に気になることがある場合は、医療機関を受診してみてくださいね。
取材協力:武井 智昭
小児科/高座渋谷つばさクリニック
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。