「なぜ妊婦が周りに気を遣わないといけないのだろうか…」
モヤモヤした思いを抱えながらも、妊娠初期にマタニティマークを隠して電車に乗っていたチリツモルさん。ある日、女性に声をかけられて…。
マタニティマークにまつわるお話の最終回です。
前回はこちら↓
登場人物
パパ:息子への愛が一方通行でもめげないポジティブなアラサー男
ムスコ:父への態度が基本塩対応、でもたまにデレるという小悪魔な一面を隠し持つ幼児
ママ:ふざけることが大好き、毎日いかに楽をして1日を過ごすかばかり考えているアラサー主婦
第27話
<おわり>
あとがき
私が妊婦さんに元々抱いていた印象は、とにかく幸せオーラに包まれていていつもお腹の子の成長が嬉しくてニコニコしているイメージでした。
でも実際に妊娠して分かったことは、想像以上にお腹の子にも周りにも気を遣って過ごしているということ。
幸せな気持ちだけじゃなく、不安で仕方ない時が幾度となくあること。
いつも歩いている景色の中に、実は沢山の妊婦さんがいたことでした。
妊娠をして会社を辞めることになった時、とにかく辞める最後の日までは迷惑をかけることなく仕事もきちんと引き継いで会社を去ろうと決めました。
身内は『妊娠』に祝福ムードでも、会社の方達にとっては『妊娠』して会社を辞めるのは『迷惑』にしかならないと思っていたからです。
まだお腹も目立っていなくて、マタニティマークも隠して付けていた頃、通勤電車で立っていられなくなったことが二回ありました。
目が回る、力が入らない、倒れそうという考えが頭をよぎる中、このままでは周りに迷惑をかけるという考えが1番大きくよぎりました。なんとか力を振り絞って電車を降りて、トイレに向かってうずくまって過ごしました。そのときはしばらく休むと落ち着いたので、また電車に乗って会社に向かいました。
今思うと、妊娠していなかった時よりも妊娠していた時の方が無理をして頑張っていた気がします。自分でも不思議なくらい気を張って毎日過ごしていました。
お腹の子のことを守り変化に気付いてあげられるのは私しかいないのに、周りに気を遣いすぎるあまり、お腹の子供からの信号を見逃してしまっていました。
自分の命より大切な存在のはずなのに私は何をやっていたんだろう、そう気付いたのは切迫早産の診断を受けた時でした。
無事に息子が生まれてきてくれて本当にホッとしました。
もし昔の私と同じような気持ちで、今無理をされて頑張りすぎている妊婦さんがいらっしゃったら、どうか周りに助けを求めてください。
「自分のためなんかに…」と、どうしても思ってしまう方は「お腹の子のために…」という気持ちで考えるようにしてみてください。
SNSが普及して良い情報も悪い情報も溢れている時代なので、肩身の狭い思いをして過ごしている妊婦さんもいるかもしれません。
私は沢山の方に電車の中で救っていただきました。だから今度は私が救う側になって、勇気を出して声をかけたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回予告
チリツモルさんの息子さんは、言葉の発達がゆっくり。なかなか言葉がでないことに悩み、市の親子教室に通うことにしたお話を全6話でお届けします。
次回は2020年12月9日(水)公開予定です。
▼漫画の感想はこちらへ!
チリツモル
作者