「草原に身ひとつで放り出されても、楽しく生きていける人」を目標に子育てをするワーママ、ありのすさん。
この連載では、ありのすさんが4歳と8歳の2人のお子さんとの何気ない日常で見つけた小さな気づきを綴ります。
どうしたら部屋を片付けてくれる?
気がついた時にはもう、部屋中が無茶苦茶だった。
いつものことではある。
飛び散る紙ごみ、混ざるお便り、無限にあるスーパーボール、髪飾りのついたヘアゴム…
そういうものが散乱した部屋を台所から眺めると、もうすべてのスイッチをオフにしたくなる。
私はお皿を洗いながら、ふと目の前に置かれた白いアミアミを見つめる。
(白いアミアミ…桃にかぶせてあるネットのようなもの、今調べたらフルーツキャップという名前らしい)
「お部屋を片付けて」
「部屋を片付けてから遊びなさい」
「こんな汚い部屋でよく遊べるね」
「何度言ったら片付けてくれるの?自分のものでしょう」
「もう捨てる」
だいたい私の怒りはこんな感じで目に見えて上がってくる。
でも子どもたちは慣れているから、「もう捨てる」以外の言葉はあんまり効かない。
「もう捨てる」はまあまあ効くが、日常的にやると効かなくなるのは時間の問題だし、本当に捨てると凄まじく泣く。
恐怖政治でしかないから悩ましい。
私の怒りと、桃のフルーツキャップ
そこで、目の前のフルーツキャップである。
もしかしたらこいつが、救世主になるかもしれない。
ひらめき…!
フルーツキャップは1つしかなかったため、ハサミで2つの輪に切る。
そして、なるべく大きな声で、宣言する。
学芸会の主役のように、怒りは含めずに。
「もう、ママ怒った。ゆるせない。お片付けできないなら、こうしてやる。この、アミアミブレスレットを、無理やり腕につけてやる。そうしたら、やる気満々マンに変身して、めちゃくちゃお片付けできるようになっちゃうんだ」
そうして、目を輝かせた息子(4歳)と、ちょっとしらけている娘(8歳)に装着しにいく。
息子はもう、全力ダッシュで片付けを始める。
娘も、嫌々ながら片付けを始める。もう一息。
「えー!すごい。アミアミパワーで片付けがこんなに上手になるなら、またすぐに桃を買ってこなくっちゃ。」
そうして、娘も目を輝かし、片付けはお風呂までに完了した。
その間、たった10分。
なんだよこのやろう。
ああでも、フルーツキャップに頼らず、物を減らさなくちゃ。
ありのす
作者