寝たいのにうまく寝られず、いつまでも赤ちゃんがぐずり続ける「寝ぐずり」。「寝たいのに、どうして寝られないの?」と思ってしまいますが、赤ちゃんには寝ることが難しいときもあります。そんなときにおすすめなのが「ベビーマッサージ」。
今回は、ベビーマッサージ協会が実施している教室に潜入し、赤ちゃんにどんな効果があるのか取材してきました!
ベビーマッサージとは?
ベビーマッサージとは、ママやパパが赤ちゃんとスキンシップを図ることを目的とした、やさしく触れ合うマッサージ方法のことです。
今回取材に伺った「ベビーマッサージ協会」で行っているマッサージは、イギリスの理学療法士ピーター・ウォーカー氏が40年前に考案したもの。
ピーター・ウォーカー氏は、ベビーマッサージを世界で初めて行った「ベビーマッサージの開祖」と言われています。
ベビーマッサージの効果とは
「ベビーマッサージ協会」では、発達を促すベビーマッサージとして、以下の3つの要素を重視しています。
- 深い呼吸
- 柔軟な関節
- 強い筋肉
赤ちゃんがまだ自分で動かすことができない部分を動かしてあげたり、やさしく肌に触れたりして、体の発達を促します。
また、ママが触れることで赤ちゃんは「自分が愛され、受け入られている」と感じ、健全な心の発達を促すことにもつながるといいます。
ママにとっても、赤ちゃんに触れることで母親としての意識がより芽生え、楽しく子育てができるきっかけにもなるそうです。
Q.ベビーマッサージは寝ぐずりに効くの?
こうした効果が期待できるベビーマッサージですが、具体的にどんな点が「寝ぐずり対策」につながるのでしょうか。
今回潜入した教室で講師を務めている、ベビーマッサージ協会公認講師歴10年、小児科・産科の看護師として勤務経験のある、西村先生に伺いました。
赤ちゃんが心地よく眠りにつくためには、リラックスさせてあげることが大切です。
寝る前にベビーマッサージをすると、ママのタッチで赤ちゃんの精神はとても落ち着きます。また、ベビーマッサージを20分もすると、大人が1時間運動したのと同じくらい疲れるので、疲れて寝てしまうことも。
さらに、運動をすると成長ホルモンが促され、自律神経が整うともいわれているので、タッチと運動ができるベビーマッサージは、寝ぐずり対策におすすめなんですよ。
ベビーマッサージ教室に潜入取材!
ここからは、実際にベビーマッサージ教室に潜入した様子をお伝えします。
この日は全部で8組。参加した赤ちゃんの月齢は、生後1~9ヶ月で、首がすわったばかりという子もちらほら。
ベビーマッサージを始める準備から
ベビーマッサージは赤ちゃんの服を脱がせて行いますが、いきなり服を脱がせてしまうと落ち着きません。
まずは服を着たまま、赤ちゃんに触れたり、軽く体を動かしたりして、赤ちゃんにベビーマッサージが始まることを伝えていきます。
赤ちゃんの目をみて声をかける
赤ちゃんを目の前のブランケットの上に寝かせて、「ベビーマッサージはじめるよ」と声をかけてあげます。
ママが笑顔で赤ちゃんの顔に近づくと、赤ちゃんはとても嬉しそう。
月齢に合わせた方法で体を慣らす
首や腰がすわっている赤ちゃんは、ママのお膝にのせて手足を動かします。これも遊びの一環として、無理に動かしたりはしません。
月齢に合わせて、無理なく楽しく体を動かす方法を先生が教えてくれますよ。
ベビーマッサージ 1
準備が整ったら服を脱ぐ
赤ちゃんを急に丸裸にするとびっくりしてしまうので、ハンカチやガーゼなどを1枚かけながら、服やおむつを脱がせてあげます。
その間も、赤ちゃんが不安にならないよう、赤ちゃんがママの顔を認識できる距離まで近づき、声をかけ続けます。
ベビーマッサージ教室で大切にしていることの1つが、この声掛け。赤ちゃんは「心地良い」と感じているときに聞いた声に興味を示し、信頼を寄せるといいます。
ベビーマッサージ2
オイルを手に取ってベビーマッサージの開始
ベビーマッサージ協会では、純度の高い天然由来のスイートアーモンドオイルを使用してマッサージを行います。初めて使う場合は、パッチテストもするのでご安心を。
はじめに、ママの手に馴染ませてから、赤ちゃんが少しテカテカになる量をつけて、足の筋肉や鼠径部をやさしくマッサージ。
普段、意識して触ることがない体の部分にも触れることで、ママたちは赤ちゃんの触り方も学びます。
ベビーマッサージ3
左足を右足側に・右足を左足側に交差させる
赤ちゃんの足の基本のポーズはM字。足を自分で閉じるのが難しいので、普段自分では動かしにくい動きをママがサポートします。
ここでは、足の筋肉を刺激しながら左右の関節を交差させるように動かします。
ゆっくり動くことで、自然と深い呼吸も身についていきますよ。
だんだんとマッサージに慣れてきたのか、嫌がる様子も見られず、ママに身をゆだねている赤ちゃんの様子が印象的でした。
ベビーマッサージ4
うつ伏せになり背中を上から下へなでる
次に、うつ伏せになって背中を上から下へとゆっくりなで下ろし、体の流れを促します。
うつ伏せに慣れていない赤ちゃんは泣いてしまったり、はいはいやあんよを始めたばかりの赤ちゃんは動いてしまったりすることもありますが、そんなときは、抱っこしながら背中をさすってあげるのも良いそうです。
初めはできる範囲からでOK。少しずつでも続けることで、マッサージに慣れていくといいます。
約20分のベビーマッサージを終えると、赤ちゃんはすっかりリラックスモード。顔を近づいて「ちゅ」とする仕草をすると、もう満面の笑みでした。
ベビーマッサージに参加した感想は?
今回の取材では、ベビーマッサージ教室に参加したママたちにも直接感想を聞いてみました。
ゆなさん
自宅では、お風呂上がりや遊びタイムにベビーマッサージをしていますよ。ベビーマッサージをしてしばらくすると、ぐずらずに寝てくれるように。自分もぽかぽかして、やさしい気持ちになれるのが良いですね。(経験者 20回/生後9ヶ月ママ)
ひろさん
家では、日中の空いた時間に日課としてベビーマッサージをしていますが、スッと眠ってくれるようになりました。教室ではすぐに動き回ってしまいますが、少しでもゆっくり触れあえて、楽しい時間を過ごせています。(経験者 40回/生後9ヶ月ママ)
みずっきーさん
初めて参加したあと、自宅でお風呂上がりにベビーマッサージをしました。赤ちゃんと触れ合えるのも今だけなので、これからも続けたいと思います。(経験者 2回目/生後3ヶ月ママ)
ともさん
初めてで緊張しましたが、子供も泣かずに参加できました。うつ伏せにしたことがあまりなかったので、背中のマッサージができたのが良かったです!(初参加/生後4ヶ月ママ)
自宅で簡単にできるベビーマッサージ
自宅でベビーマッサージを試してみたいというママもいるのではないでしょうか。
そんなママに、自宅で簡単にできるベビーマッサージを教えてもらいました!
背中マッサージ
- 赤ちゃんをうつ伏せにする
- ママの両手を赤ちゃんの背中の上下に置く
- ゆっくりと上から下へやさしくなでる
西村先生
赤ちゃんが嫌がったら無理をしないようにしましょう。どうしても難しいときは、片手でタテに抱っこしてから、もう片方の手を使って背中をなでるのもおすすめですよ。
ちょんちょんぱ
- 赤ちゃんを仰向けに寝かす
- 赤ちゃんの両手をとって「ちょんちょん」と2回手を合わせる
- 「ぱ」で、両手を左右に大きく広げる
西村先生
胸を大きく開くことで、呼吸がしやすくなりますよ。
赤ちゃんの目を見て、「ちょんちょん、ぱ」と言いながら行いましょう。
Q.ベビーマッサージをするタイミングは?
自宅でベビーマッサージをするときは、いつ、どんなタイミングですると良いのでしょうか。
西村先生に聞いてみました。
西村先生
決まりはありませんが、お風呂上がりで肌が柔らかいときが特におすすめです。オイルも馴染みやすく、乾燥対策にも良いですね。
とはいえ、お風呂上がりはバタバタしていることもありますよね。寝かしつけや、寝かしつけたあとの家事のことで頭がいっぱいだと、赤ちゃんもリラックスできません。
赤ちゃんのことだけに集中できる「何も考えなくていい時間」にすると、赤ちゃんがリラックスしやすいですよ。
また、夜、決まった時間にベビーマッサージをすると「睡眠の儀式」が身につき、スッと寝つくようになることもあります。
Q.ベビーマッサージをするときの注意点は?
続いて、ベビーマッサージをするときに、特に気を付けたいことも教えてもらいました。
西村先生
体調が悪いときはもちろんですが、もう一つ気を付けていただきたいのが、予防接種をした日です。
予防接種はワクチンの種類にもよりますが、場合によっては発熱するケースも考えられます。
神経質になりすぎる必要はありませんが、予防接種をしてから48時間は、ベビーマッサージをするのは控えましょう。
また、赤ちゃんが泣いたらやめて抱っこしてあげること、マッサージは首がすわってから行うことも大切です。
赤ちゃんのためにも、こちらを守ったうえでベビーマッサージを行ってくださいね。
ベビーマッサージで赤ちゃんもママもリラックスしよう
「寝ぐずり」の原因は赤ちゃんによって様々ですが、リラックスさせてあげることは大切な対処法の1つであることがわかりましたね。
西村先生いわく、「ベビーマッサージは子供が何歳になってもおすすめ」。
成長してからも続けられるよう、赤ちゃんの時期から、少しずつ取り入れてみてくださいね。
取材協力:西村 智美
ベビーマッサージ協会 ピーター・ウォーカー公認講師
ピーター・ウォーカー氏からベビーマッサージの直接指導を受け、マスター講師の資格を取得。小児科・産科の看護師として、小児科への指導も行っています。
ベビーマッサージ協会
「青少年の健全な育成」を目的に、ベビーマッサージの普及をはかるため2003年に設立。ピーターウォーカーの「発達を促すベビーマッサージ」・「ベビー・キッズヨガ」・「プリネイタル」の講師養成講座を主催。特にベビーマッサージでは、生まれて数日からできるタッチ、お座りの為の3ステップ・立つ為の3ステップ等、子供の健全な心と体の発達の為のプログラムを開催。