赤ちゃんの発達のなかでも、とくに気になるのが「言葉」というママは多いのではないでしょうか。
「うちの赤ちゃん、言葉はいつから出るの?」「赤ちゃんが言葉を話すために何か練習はした方がいいの?」などの疑問を抱えるママに向けて、今回は小児科医のコメントと共に、赤ちゃんの言葉の発達について徹底解説します!
赤ちゃんの言葉はいつから?
赤ちゃんはいきなり話せるようになるのではなく、下の表のように、言葉を話す力を段階的に獲得していきます。
新生児期 | 生理反射として笑ったり泣いたりする(声を発する) |
2〜5ヶ月頃 | 「あー」「えっ」などの1音節を発する(クーイング) |
6〜11ヶ月頃 | 「あーあー」と2音節を発する、「ダダダ」など連続で音を発する(喃語) |
1歳〜1歳半頃 | 「マンマ」「ワンワン」など意味のある言葉を発する(有意味語) |
1歳半〜2歳頃 | 「ママ、すき!」など2つの単語を組み合わせた言葉を発する(二語文) |
赤ちゃんの言葉の発達には大きな個人差がありますが、赤ちゃんが意味のある言葉を話すようになるのは、大体1歳〜1歳半頃と言われています。
続いて、赤ちゃんが意味のある言葉を発するようになるまでの過程について、詳しくご紹介します。
新生児期:笑う、泣く
生後0〜1ヶ月頃(新生児期)の赤ちゃんは、まず無意識的に笑ったり泣いたりして声を発します。
生後2~5ヶ月頃:クーイング
生後2〜3ヶ月頃になると、赤ちゃんは舌を使わずに喉の奥でクーという音を立てたり、「あー」「えっ」といった母音を発したりすることが増えていきます。
これを「クーイング」と言い、赤ちゃんはクーイングをすることによって、音を出すことを楽しんだり、言葉を発する練習をしたりしています。
また、クーイングは赤ちゃんにとって会話の第一段階とも言われるので、ママは赤ちゃんの声に反応してあげてくださいね。
生後6~11ヶ月:喃語
生後6〜11ヶ月頃になると、「アーアー」「ダーダー」など、同じ文字が2つ以上連続した「喃語」という言葉を発するようになります。
この喃語自体は、意味のある言葉ではありません。
月齢が上がるにつれて喃語の種類が増えていくと、赤ちゃんはママやパパに何かを訴えるように喃語を発するようになってきますよ。
喃語を発することによって、赤ちゃんは意味のある言葉を話す練習をしていきます。
1歳~1歳半頃:有意味語
個人差はありますが、大体1歳〜1歳半頃になると、ごはんを指差して「マンマ」と言ったり、犬をみて「ワンワン」と言ったりするなど意味のある言葉(有意味語)を話すようになります。
ママやパパとのコミュニケーションを通じて、赤ちゃんは言葉の数を増やしていきます。
1歳半~2歳頃:二語文
1歳半〜2歳頃になると、「ママ、すき!」「ワンワン、いた」のような2つの言葉をつなげた二語文を話し始めます。
ここから、2語、3語と赤ちゃんの言葉のバリエーションはどんどん広がり、会話ができるようになっていきます。
赤ちゃんの言葉はどうして出てくるの?
「あーあー」「ウーウー」と喃語を話していた赤ちゃんは、どのような仕組みで言葉を発するようになるのでしょうか?
赤ちゃんが意味のある言葉を発するためには、次の3つの条件が揃う必要があるとされています。
- 目で見たものと耳で聞いた言葉が一致する
- 唇、舌など口の筋肉が発達している
- 「伝えたい」という気持ちがある
例えば、まず目の前にいる「犬=ワンワン」という、ということを理解できていて、「ワンワン」と発音できるように口の筋肉が発達している必要があります。
さらに、ママやパパに対してそのことを「伝えたい!」という気持ちが揃って初めて、赤ちゃんは言葉を発するようになると考えられています。
赤ちゃんの言葉が早い・遅いのはなぜ?
赤ちゃんの言葉の発達はとても個人差が大きいもの。しかし、「赤ちゃんの言葉っていつから出るの?うちの子は遅くないのかな?」と、心配になるママも多いのではないでしょうか。
小児科医の武井先生は、「言葉が出るのが遅くても、焦る必要はありません」と言います。
武井先生
赤ちゃんの言葉の発達スピードは、その子の発達の個性や、パパ・ママの子供のときの言葉の発達の傾向などによって、ある程度変わると言われています。
また、あまり話すことが好きではない性格の子は、言葉を理解していても、言葉が出るのが遅いこともありますよ。
赤ちゃんの言葉を促すために練習は必要?
武井先生の言うように、赤ちゃんの言葉が出るのが遅いからと焦る必要はありません。
しかし、赤ちゃんの言葉の理解・発達のために、ママやパパが意識した方が良いことはあるのでしょうか?
武井先生曰く、赤ちゃんの言葉の発達にはママやパパが赤ちゃんに言葉をインプットしてあげることが大切だそう。
武井先生
「あれは、ワンワンだよ」「風がピューピュー吹いてるね」など、赤ちゃんが見ている様々なもの・ことを、ママやパパが言葉で説明してあげるといいでしょう。
そのとき、「ご飯」ではなく「マンマ」、「車」ではなく「ブーブー」のように、まずは赤ちゃんが真似をしやすいなるべく同じ文字が連なる、簡単な単語から話しかけてあげてくださいね。
赤ちゃんに言葉はどうやって教えていた?
編集部が実施したアンケート(※)によると、多くのママたちが赤ちゃんに言葉を教えるために、次のようなことを実践していました。
たくさん話しかける
へむへむ双子ママさん
とにかくたくさん話しかけました。ものの名前は、何回も繰り返し言って教えていました。
しゅんママさん
「抱っこだねー」「ごはんだねー」など、できるだけ話しかけることを意識していました。
ゆっくりはっきり話す
匿名さん
よく話しかけました。特に私の口元を見ているときは、口の動きが分かりやすいようにゆっくり話すようにしました。
なおママさん
とにかく口に出して聞かせるようにしていました。特にものの名前は、ゆっくり一音ずつ話すようにしていました。
指を差しながら言う
いーなママさん
散歩に行ったときに子供が見ているものを指差して名前を言ったり、絵本を読むときも絵を指差しながら読み聞かせたりしました。
えーさん
子供が指差しをしたら、ものの名前を必ず教えるようにしていました。
赤ちゃんの言葉の発達を焦らずサポートしよう!
赤ちゃんが意味のある言葉を発するには、口の筋肉の発達・言葉の理解・伝えたいという欲求の3つが揃う必要があります。
赤ちゃんの言葉の発達には個人差がありますが、ママは赤ちゃんにできるだけたくさん話しかけたり、絵本の読み聞かせをしたりしてあげてください。
また、「もっと伝えたい!」という赤ちゃんの気持ちも芽生えるように、赤ちゃんとのコミュニケーションを楽しむことを忘れないでくださいね。
※ アンケート概要
実施期間:2018年11月22日~11月24日
調査対象:生後7ヶ月〜2歳の子供をもつママ
有効回答数:66件
収集方法:Webアンケート
取材協力:武井 智昭
小児科/高座渋谷つばさクリニック
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。