赤ちゃんから少しでも離れると泣き出したり、どこへ行くにもついてきてしまったりする「後追い」。一般的には生後9〜11ヶ月頃にピークを迎えますが、後追いをしない赤ちゃんもいます。
後追いをしない赤ちゃんのママのなかには、寂しさや不安を感じる人もいるようです。
そこで今回は、後追いをしない赤ちゃんのママの体験談やその後の成長の様子をご紹介します。
後追いしない赤ちゃんは1割以上いる
ninaru babyでアンケート(※)をとった結果、後追いをしない赤ちゃんは1割程度いることがわかりました。
約9割の赤ちゃんは後追いをするという結果だったので、後追いをしない赤ちゃんは少数派といえます。
後追いしない赤ちゃんに共通点はある?
後追いをしない赤ちゃんの環境に共通点はないか調べた結果、属性としては以下の割合が多いという結果に。
● 第一子
● 男の子
● 祖父母と同居していない
また、後追いをしない赤ちゃんの約7割は、「人見知りをしない」という共通点もありました。
ただしこの結果は、サンプル数が少ないことから、すべての後追いしない赤ちゃんに共通していることとは言えません。あくまでも参考としてくださいね。
後追いしない赤ちゃんのママに聞きました
後追いをしなかった赤ちゃんを育てた経験があるママに、話を聞いてみました。
3兄弟の次男、三男は後追いをしなかった
【後追いしなかった赤ちゃんのデータ】
● 男の子(第二子)、人見知りあり
● 男の子(第三子)、人見知りあり
我が家は核家族。いちばん上の子だけ後追いして、2人目、3人目は後追いはしませんでした。
お兄ちゃんがそばにいるのと、2人目のときはフェレットを飼っていたり、3人目のときは犬がいたりしたことも大きいかもしれません。
2人目は、もともと性格がドーンとしている子だったのも関係しているかも。
2人とも、私がそばにいなくてもどこにいるかはマークしていていましたね。あと、兄弟やペットが安心感を与えてくれていたのかも。
ー 後追いがなくて心配になったことは?
私に無関心だと心配になったかもしれないけど、目が合うとニコニコする様子などから関心があるのは伝わってきてたから、心配には思わなかったですね。
育児や仕事が忙しかったから後追いがなくて正直助かった、っていうのが本音かも。
後追いはしなかったけど、2人とも人見知りはちょっとありました。
ー その後、3人はどんな風に成長しましたか?
いつも私やパパの側で遊んでいて、唯一、後追いがあった長男は、神経質でこだわりが強いタイプ。
後追いがなかった2人目は、一言でいうと超マイペース。小さい頃から自分のペースを守っている感じはずっと変わりません。
同じく後追いがなかったいちばん下の子は、お兄ちゃんたちを後追いしているかも(笑)。一人ではどこにも行けないなどちょっと臆病なところがあり、甘えん坊。ザ・末っ子って感じです。
発達上の心配は、とくにはありませんでした。
2人目の女の子は後追いをしなかった
【後追いしなかった赤ちゃんのデータ】
● 女の子(第二子)、人見知りなし
お兄ちゃんは後追いしましたが、4歳下の妹はほとんど後追いしませんでした。
下の子は、ひたすら寝ているか、食べているか飲んでいるかだった記憶。人見知りもあまりしませんでした。
下の子は、上の子の用事で連れまわされていて、人と接する機会が多かったから人に慣れていたんだと思います。とにかくその時期は、上の子が幼稚園で大変な時期だったので、下の子に手がかからないのは助かりました。特に心配したこともなかったですね。
ー その後、どんな風に成長しましたか?
下の子は、今でも空気を読むタイプです。赤ちゃんの頃も、無意識的に空気を読んでいたんだと思います。
小さい頃から私よりもパパに甘える子で、今もすごくパパっ子です。我が家は、祖父母とは同居していません。
上の子も下の子も後追いをしなかった
【後追いしなかった赤ちゃんのデータ】
● 男の子(第一子)、人見知りなし
● 女の子(第二子)、人見知りあり
男の子と、4歳差の女の子がいます。祖父母とは同居していません。2人とも、ほとんど後追いをすることはなかったですね。
2人とも1人遊びが上手。気がついたらリビングにはいなく、子供部屋でひとりで勝手に遊んでいるなんてこともよくあります。
気分によってはトイレやキッチンについてくることもありますが、私がいなくなって寂しいからついてくるわけではなく、「おやつが食べたい」とか何か理由があるときです。
家では私が視界に入っていなくても平気で遊んでいますが、外では私がいる場所を確認して、その範囲で遊んでいます。1人で勝手にどこかに消えちゃう…というタイプでもないです。
ー 後追いしなくて心配したことはありますか?
「後追いしない子だなぁ」とは思っていましたが、だからといって心配もしていませんでした。
甘えるときは甘えてくるし、感情表現も豊か。後追いこそしないものの、私を求めているのがちゃんとわかったから心配じゃなかったのかな。むしろ、ラッキーと思ったくらい。
上の子の場合は発達が早かったことも、不安にならなかった理由かもしれません。
下の子は、発達はそんなに早いわけではありませんでしたが、お兄ちゃんが後追いしなかったこともあって、そんなもんだと思っていました。
ー その後、どんな風に成長しましたか?
兄は、妹が生まれたときに後追いというか、赤ちゃん返りがはじまって、2年経った今でも妹にやきもちを焼くことはあります。
うちの子たちが後追いしなかったのは、個性だと思います。後追いはしなかったけど、2人とも今でも甘えん坊ですよ。
母に聞いたら、私も赤ちゃんの頃、全然手がかからない子だったみたいです。
【体験談】後追いをしなかった赤ちゃん
親族と同居していたからか、
後追いも人見知りもしない
息子はあまり人見知りもしなかったのですが、祖母と叔父が同居していて、相手をしてくれる人がたくさん居たからなのかな?って思ってます。
後追いしてもらえないのは少し寂しかったけど、後追いされるとトイレとかも大変なんだろうな〜って思います。(くりちゃん/3歳男の子のママ)
小さい頃から手がかからない息子
生後2ヶ月位からほとんど手のかからない子で、基本的にセルフで済む息子ちゃん。私に対する執着はあまりないのに、ハイハイする女の子を追いかけたり、ほかのママに近付いて行ってしまう部分は可愛くもあり、不安でもあり…。
一度、フードコートで離乳食をあげてるときに、横に座ってきたおばちゃんが息子を凄く可愛がってくれたので、おばちゃんに離乳食をあげてもらったら普通に食べていて…。たくましさを感じる反面、不安にもなりました。(にゃん/生後11ヶ月男の子のママ)
後追いしなくて心配になったけど…
1人目の子供で核家族ですが、生後11ヶ月の今でも後追いがありません。自閉症や発達障害というワードを調べて落ち込んだこともありました。
友人の「お母さんがしっかりお世話していて、信頼関係がしっかり出来ていると後追いしないこともあると聞いたことがあるよ」との言葉で救われました。
それ以後は、よく笑い、身体の発達も問題なさそうだったので、子どもの個性と自分との信頼関係ができているからだと前向きに捉えています。 もしかしたら、旅行や週末のおでかけをたくさんしてきたことも関係してるのかもしれないと感じています。(こうちゃんママ/生後11ヶ月男の子のママ)
このように、「後追いしないことを全く気にしなかった」という人もいれば「心配になって落ち込んだ」という人も。ママによって受け止め方はそれぞれ違うようです。
おとなしい子、活発な子がいるように、後追いしないのは赤ちゃんの個性の一つなのかもしれません。
保育士さんに聞いた!
後追いしない赤ちゃんに共通点は?
実際に、赤ちゃんや子供と接する機会が多い保育士さんに、後追いしない赤ちゃんについてお話を伺いました。
はるか先生
これまで、後追いをしない赤ちゃんにはあまり出会ったことはありません。トイレまでママを追ってこなくても、以下は後追いの一種です。
● ママの方に首を向け目で追う
● 手を伸ばす
● 腰をひねってママを求める
後追いは、母親と他者を見分けられるようになり、子供の記憶が定着しはじめる発達段階ともいえます。また、機能的に手を伸ばさないとできないので、後追いするには体の発達も必要です。
赤ちゃんが無表情だとか目が合わないとか、赤ちゃんを長時間一人で放置しているとかがなければ、その子の感受性にもよるところが大きいと思います。
一番長く触れ合っている人に、母親以上になつくこともあります。ママじゃなくて保育士を後追いする、という場合でも人との関係性ができているということなので、問題ないと思いますよ。
後追いしない赤ちゃん…医師の見解は?
日本小児科学会専門医の武井先生にも、後追いをしない赤ちゃんについてお伺いしました。
武井
先生
後追いをしない赤ちゃんもいますが、生まれ持った性格的な要素が多いです。
発達に関しては、言語の理解が良いか、身振り手振りなどのジェスチャーをするか、言語をしっかりと表出するか、言語と社会性に注意してください。
赤ちゃんが後追いをしないこと自体は、性格的な要素が含まれるので、ネガティブに捉える必要はなさそうです。
言葉の理解や表現、コミュニケーションを取ろうとするかなど、赤ちゃんの普段の様子を見守ってあげましょう。
赤ちゃんが後追いしなくても
心配しすぎないで見守ろう
赤ちゃんが後追いしないと、心配になってしまうママもいるかもしれません。我が子にまわりの子と違う行動が見られた場合に、不安になってしまうのは当然です。
日頃、赤ちゃんとコミュニケーションをするなかで、しっかりと親子関係が築けているようなら、ネガティブに捉えず、赤ちゃんの個性だと思って見守りましょう。
不安が大きい場合は、健診時などに医師に相談してみてくださいね。
※アンケート概要
実施期間:2018年11月19日~29日
調査対象:「ninaru baby」を利用しているママ
有効回答数:51
収集方法:webアンケート
取材協力:伊藤 春伽
保育士・管理栄養士
神奈川県内の保育園で給食の献立作成、栄養計算、調理監督を担当。保健センターでの勤務経験も長く、赤ちゃんの健診も数多く担当。プライベートでは、中2、小6、小2の3児のママ。
取材協力:武井 智昭
小児科/高座渋谷つばさクリニック
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。