「男の子はやんちゃ」という話はよく耳にすると思います。ママにとって男の子は異性なので、子育てするなかで、わからないことや不安なことが多いですよね。
そこで今回は、子育てアドバイザーであり、3児(うち2人が男の子)の母でもある高祖常子さんの著書『男の子には「厳しいしつけ」は必要ありません!』より、多くのパパやママが感じる困った5歳の行動について、今こそ知っておきたい子どもと向き合う育児法を紹介します。
【1】見えない敵と戦っている!
なぜ? そのままでいいの!?
ヒーローが大好きな男の子には、時々ヒーローが乗り移ります! 本人はいたって本気です。5歳にもなってやるかな〜と思うかもしれませんが、まだまだ見えない敵と戦います。地球を守っているのです。
友だち同士だとさらに盛り上がります。悪役はいなくてみんなヒーローだったりしま す。でもそれでいいのです。
「シャー」「ビーム」「ダダダ」とか、いろいろな擬音語とともに、ポーズをしたりします。しばし空想の中で生きていますから、時間と余裕があればぜひ、自由にやらせてあげましょう。マントなんかつけるとさらに盛り上がります。ゴミ袋をはさみで切り開いたりしたものを首に括り付ければそれでOK。空も飛べる気分になります。
ヒーローに、「今は何と戦っているの?」と聞いてみてください。もちろん、わき目もふらずに戦っているときには返事してくれないかもしれませんが、一生懸命説明してくれるかもしれません。そんな会話も楽しみましょう。
このヒーローごっこは時として役に立ちます。ヒーローなので、困った人を助けてくれます。
ヒーローになっている真っ最中はなかなか声が届きませんが、ひとしきりヒーローになりきったところで、「お家への帰り道はどっちだっけ? ○○レンジャー連れて行ってくれる?」などと声をかけると、道案内して連れて行ってくれるはず。
困った人を助けるのがヒーローですから。ママも「はい、○○レンジャー、了解です!」なんて、ヒーローごっこに乗っかって楽しみましょう。
着替えやお手伝いにもヒーローを登場させる
なかなか着替えないときなどにも、ヒーローはおすすめ。「○○レンジャー、変身の時間です!」と、「今日はレッドに変身でどうかな」と言いながら赤いTシャツをすすめてみたり。「着替えなさい!」と言うよりも、きっとスムーズに着替えてくれるはず。
5歳ともなれば、かなりお手伝いの戦力にもなります。
「○○レンジャー、ご飯ができました! お皿運びお願いします!」とか、言葉の頭にヒーローの名前をつけるだけで、ちょっと楽しくなっていつもよりお手伝いしてくれるようになるかもしれませんよ。
○→ ヒーローの時間を楽しませてあげよう
突然ヒーローになって見えない敵と戦ったりします。ママや地球を守るためです。時間と心に余裕があれば「また始まった〜」と見守って。帰るときは「○○レンジャー、そろそろ家を守らないと!」と声をかけるのもおすすめ。
✕→ 戦っている子に「何やってるのよ、恥ずかしい!」「やめて! 帰るよ!」と怒って制止する。
【2】どうしてまっすぐ歩かないの!?
登園時間に間に合わないことも…
男の子って、本当にまっすぐに歩かないんです。いつもの道なのに、毎日いろいろなものを発見したり、楽しんでいます。
急に走り出したり、後ろ向きに歩いたり、突然ジャンプしたり、しゃがみ込んだりすることがあります。もちろん、歩道でも危険な場所では、これらの行動を制しなくてはいけませんが、危なくない場所なら、大目に見ましょう。
大目に見られる場合には、時間をゆっくり取っておくということです。もちろん、園に行く場合には、ゆっくり歩いて登園時間を過ぎてしまっても困りますが、帰りの時間は、少しゆとりを持って考えておくといいでしょう。
ママにとっては、「普通に歩いたら10分もかからずに到着できるはずなのに、なんで30分近くかかるんだろう」と不思議だったり、ちょっと疲れてしまったり。次第に親はイライラしてきます。イライラするのは自分の考える“普通”と違うからです。
そんなときには、「なんで!?」と思わずに、「そういうもんなんだ」と思ってみましょう。
「なんで!?」は自分の考え方に合わないことを、どうにか合うように修正して欲しいと考える方向。「そういうもんなんだ」は、自分との違いを受け入れる方向の考え方です。受け入れるといっても、「絶対に賛成」「わかる!」ということでなくてOKです。
考え方の方向をちょっと変えてみることで、ママのモヤモヤする気持ちの持ちようもずいぶん変わってくるということです。
男の子は4つの「けん」が大好き!
不思議な行動は、男の子の世界を楽しんでいるのだと考えてみましょう。いろいろな刺激をキャッチして、興味を持つから、思いもよらぬ行動をするのです。
男の子は4つの「けん」が大好き! もちろん「剣」も大好きなのですが、今お伝えしたいのは、発見、実験、探検、冒険です。
歩いていてアリが目についたら、アリを見たくなります。これは発見。
歩いているときに、急に立ち止まってみたり、後ろ向きに歩いたりします。これは自分に対する実験です。歩いていて急に立ち止まるときの自分の重心の変化を感覚で味わっていたり、後ろ向きに歩けるのかと体験を通した実験をしています。
親は「またやってる」と面白がってみてください。
○→ いろいろな道を楽しむ!
人生もまっすぐじゃない
とにかくまっすぐ素早く歩くというのが難しかったりします。心と時間に余裕があれば回り道を覚悟。男の子が発見したものを一緒に楽しんでみましょう。時にはいつもと違う道をゆっくり歩いてみると意外な発見があるかも。
✕→ すぐに何かを見つけて立ち止まる子にイライラして、「さっさとしなさい」と無理やり手を引っ張り歩かせる。
5歳男児の気になる行動をチェック!
いかがでしたか?書籍では、上記に加え5歳向けに以下のテーマやコラムを掲載しています。
● 行きたいって始めたスイミングスクール、突然行きたくないって言うのはなぜ!?
● 洗濯での大惨事! ダンゴムシがポケットに入っていた…
● 遊び始めるとなかなか切り上げてくれない。その後の予定が狂ってしまう…
[コラム]習い事は、どのように考えたらいい?
ぜひチェックしてみてください。
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出典: www.kadokawa.co.jp「男の子だからこうでなければ…」「男の子の親だからこうであらねば…」という固定概念や呪縛から開放されて、子どもがのびのびと育っていけるようなヒントを盛り込んだ1冊です。
書籍筆者:高祖 常子
こうそ ときこ
子育てアドバイザー。認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事、NPO法人タイガーマスク基金理事、NPO法人子どもすこやかサポートネット副代表ほか。厚生労働省の「体罰等によらない子育ての推進に関する検討会」委員など、子どもの人権を守るための委員を歴任。全国での講演、執筆、テレビ出演も。著書は『イラストでよくわかる感情的にならない子育て』(かんき出版)ほか。保育士、幼稚園教諭、キャリアコンサルタントなどの資格も持つ。3児の母。
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