哺乳瓶の消毒はいつまで?時期が諸説ある理由を小児科医に聞いた

哺乳瓶の消毒をいつまでしたらいいのかを知りたくて検索すると、サイトによって「少なくとも2ヶ月まで」「3〜6ヶ月」「7ヶ月頃まで」と、その情報に開きがあることがわかります。

実際のところ、哺乳瓶の消毒って、いつまで行えばいいのでしょうか?そしてそもそもなぜ情報にばらつきがあるのでしょうか?そんな気になる疑問を小児科医の先生に直接聞いてみました。

【そのギモン、私が答えます】

小児科/高座渋谷つばさクリニック武井 智昭

武井 智昭

日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。

哺乳瓶の消毒をいつまでやるか、の情報がバラバラなのはなぜ?

武井智昭,小児科医

ー「哺乳瓶 消毒 いつまで」で検索すると、出てきたサイトの情報にばらつきがあるんです。なぜこのようなことが起きているのでしょうか?

武井先生

武井先生

確かに情報にばらつきがありますね。これは「哺乳瓶の消毒をいつまで続けるべきか」という目安について、医療関係者用のマニュアルによっても書いてあることが異なるからだと思います。

ーえ!じゃあ「これ」という決まった共通の指針はお医者さんにもないということですか?

武井先生

武井先生

そうなんです。だから、「哺乳瓶の消毒はいつまでやるべきか」という質問は、難しいんですよね。

ーそれでサイトによって書いてあることが違うんですね。

哺乳瓶の消毒がいつまでかは、赤ちゃんの免疫から考える

哺乳瓶 消毒容器 代用 イメージ

武井先生

武井先生

ただ、哺乳瓶を消毒する目的を考えれば、おおよそいつまで続けるべきかは見えてくるかと思います。哺乳瓶を消毒する目的は細菌感染を防ぐためですよね。

ーそうですね。

武井先生

武井先生

生後5〜6ヶ月くらいまでは、ママのおなかにいた頃にもらった免疫が、赤ちゃんには残っていると考えられています。とはいえ、赤ちゃんは大人に比べて細菌に弱く、感染しやすいことに変わりはありません。そのため、生後半年くらいまでは、哺乳瓶の消毒を続けたほうが安心でしょう。

哺乳瓶だけでなく、おもちゃの消毒もやったほうがいい?

おもちゃ 除菌 消毒

ー哺乳瓶の消毒が生後半年くらいまでとなると、おもちゃの消毒も同じくらいの時期まではやったほうがいいのでしょうか?

武井先生

武井先生

ええ。特に口に入れるようなおもちゃの消毒は欠かせません。赤ちゃんがかかりやすいロタウイルスなど、口からウイルスが入ることで感染する病気も多くあります。そのため、哺乳瓶と同様に、生後半年くらいまではおもちゃの消毒も行ったほうがいいでしょう。

ー哺乳瓶の消毒といえば、ミルトンなどの薬液や、煮沸消毒などが定番ですよね。おもちゃの消毒もこのような方法でいいのでしょうか?

武井先生

武井先生

おもちゃの素材や構造によっては、薬液や煮沸消毒が向かないものもあります。中に水が溜まりやすいラッパのおもちゃをイメージするとわかりやすいですよね。だから、私は薬液や煮沸消毒よりもアルコール消毒をおすすめします。

ーアルコール消毒ですか。

武井先生

武井先生

ええ、特にスプレータイプは手軽でおすすめです。私が院長を務めている病院でも、最低1日1回はおもちゃにアルコールスプレーをかけて、拭き取るという消毒を行っていますよ。

哺乳瓶の消毒にいつまでという決まりはないが、生後半年くらいまでは続けると安心

赤ちゃんの哺乳瓶の消毒には、案外手間と時間がかかるものです。

そのため、できれば、早く哺乳瓶を消毒しなくてもいい時期が来てほしい、と思うママたちも少なくないでしょう。

しかし、あまりに早い時期に哺乳瓶の消毒をストップしてしまうと、免疫が大人よりも弱い赤ちゃんは、細菌やウイルスに感染してしまう恐れもあります。

哺乳瓶の消毒がいつまでかということには、お医者さんによっても意見が分かれるところですが、赤ちゃんの感染症を防ぐ意味でも、生後半年くらいまでは続けるのがベターでしょう。