登場人物
こぐまさん:こころやさしいこぐま。悩めるみつこの良きパートナー。スプーンがうまく持てない。
みつこ(28):日々の家事や育児に奮闘する悩める主婦。掃除は苦手だけど、ふきんの煮沸消毒がマイブーム。
はちろう(1):おっとりのんびりマイペース男子。こぐまさんの肉球はグミでできていると思っている。
第12話
作者のあとがき
(※編集部注:作者のお子さんは実際には5歳の女の子です)
ある日ふと、娘を見た。
5歳児である。
喃語を話していた頃の面影など全くなく、上手に日本語を話す。
それどころか、字を書いたり教えてもいない英語を知っていたりする。
外に出れば立派な足でかけまわる。
今では逆上がりもできるようになった(母はできたことすらないのに)。
5年前のあの頼りなかった赤ちゃんはどこへ行ったのだろう?
この成長ぶりはなんなのか。
不思議でならない。
この5年間私のしてきたことが、彼女のこの著しい成長に繋がっているとは到底思えない。
私のしてきたことといえば、住環境をそれなりに整え、ある程度健康に配慮した食事を作り(その多くは彼女に受け入れてもらえなかった)、病気になれば病院へ連れて行き、あとはどうでもいいような話を持ちかけてみるとか、一緒にゴロゴロするとか、そんなものだ。
だから、私は「育児」という言葉に違和感を覚える(やっと本題)。
育児をしてきた!というよりも、自ら育つ彼女を横でサポート(それもごく微力で)してきた、という感覚の方が強い。
私があれこれ手を焼かずとも、娘は自分で育った。
野原の木が人知れず大きくなるように。
手をかければかけるほど、綺麗な実をつけるかもしれない。
でも、最低限の世話だけでも枝はぐんぐん伸びていく気がする。
「育児」という言葉しか知らないから、それを使うしかない。
だけれども、育児という言葉は私にはもったいない気がするのだ。
がじゅまる
作者