赤ちゃんの歯が生えてくると、歯磨きや歯のケア方法が気になりますよね。
ですが、突然口の中を触られると赤ちゃんはビックリして泣いてしまったり、ママの仕上げ磨きが必要になる頃にはイヤイヤが始まったりして、悪戦苦闘するケースも少なくありません。
そこで、乳歯が生える前、乳歯(前歯)が生えた後、前歯が生えそろった頃の3期に分けて、赤ちゃんの歯磨きや歯のケア方法をご紹介します。
初めての歯磨き、いつチャレンジした?
赤ちゃんの歯が生えるタイミングには個人差が大きいため、歯磨きや歯のケアには「生後●ヶ月から始めましょう」という基準がありません。
「ninaru baby」の調査(※)からも分かるとおり、赤ちゃんの歯が生えてから歯磨きを始める家庭が圧倒的に多いようです。
ですが、歯磨きを始めるタイミングに、実は大きな落とし穴があるんです!
初めての歯磨きは嫌がる赤ちゃんが続出!
「ninaru baby」の調査では、約半数の赤ちゃんが初めての歯磨きで嫌がったり泣いたりしてしまったことがわかりました。
「半数なら、そんなに多くないのでは?」と思った方もいるかもしれませんね。
ですが、初めての歯磨きを嫌がった赤ちゃんの約80%は、「歯が生えてから」「歯がうっすら見えてから」ケアを開始しているのです。
歯がうっすらと見えているときには、むずがゆさや違和感を感じている赤ちゃんも多いと言われています。そのタイミングで口の中を触られることは、赤ちゃんも嫌だったのかもしれませんね。
歯磨きを嫌がった赤ちゃんの様子は?
歯ブラシを噛んで吐き出しました
生後7ヶ月で前歯が生え、その後、歯のケアを開始しました。ピジョンの生後6ヶ月から使える「乳歯ブラシ」を使っています。
ミルクを飲ませる体勢にして乳歯ブラシを口に入れたところ、恐る恐る歯ブラシを噛んでから、嫌がって吐き出してしまいました。歯磨きの習慣がつくのか心配です。
さやかママ
手でよけられました
初めての歯のケアは、歯が生えた生後7ヶ月のときです。食後に娘を横に寝かせ、ハミコを使って歯磨きしました。
感触がイヤだったのか、歯ブラシを手でよけられてしまい、数十秒程度しかできませんでした。
ふぅママ
口の中を触られることや、歯ブラシの感触に慣れていないために、歯磨きを嫌がってしまった赤ちゃんが多いようです。
次の章からは、乳歯が生える前、乳歯(前歯)が生えた後、前歯が生えそろった頃の3期に分けて、具体的なケア方法をご紹介します。
《乳歯が生える前の歯磨き》
赤ちゃんの頬や口に触れましょう
茂山先生
歯のケアは”慣れ”が大切です
口の中はとても敏感です。まずは、口の周りや口の中を触られることに慣れさせることから始めましょう。
歯が生える前からスキンシップの一貫でほっぺをツンツンしたり、唇に触れるなどしていきます。慣れてきたら、清潔な指で赤ちゃんの口の中を触りましょう。
嫌がる様子がなければ、なるべく毎日続けましょう。もし赤ちゃんが嫌がってしまったら、無理に続けなくても大丈夫。「歯磨き=嫌なこと」と思わせないようにしてくださいね。
《前歯が生えた後の歯磨き》
食後にガーゼなどで汚れを拭きましょう
いつ | 食後、または寝る前 |
道具 | 滅菌ガーゼ、ナップ、乳歯ブラシ |
どのように | 表面を細かくこする |
力加減 | ホコリをぬぐう程度にやさしく |
茂山先生
歯のケアを習慣づけましょう
歯が生えてきたら、離乳食を食べた後に歯磨きをする習慣をつけていきしましょう。仕上げに、白湯や麦茶などを飲ませてもいいですね。
寝かしつけに授乳が必要な場合は、食後の歯磨きは意識的に習慣づけるようにしましょう。
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《前歯が4本生えそろった後の歯磨き》
赤ちゃんが磨いた後に仕上げ磨きを
いつ | 毎食後すぐに |
道具 | 乳歯ブラシ、仕上げ磨きブラシ |
どのように | 赤ちゃんが磨いた後に、ママや家族が仕上げ磨きをする。仕上げに白湯などを飲ませる |
力加減 | 歯ブラシの毛先を、細かく震わせる程度の強さで |
茂山先生
食べカスを歯に残さないことが大切です
前歯が4本生えそろうのを目安に、赤ちゃん用の歯ブラシを用意して、赤ちゃんに持たせてあげましょう。”自分で磨いた”という経験が、歯磨きの慣れにつながります。
ただ、赤ちゃんはしっかり歯を磨けているわけではありません。その後に、大人がしっかり仕上げ磨きをする必要があります。
赤ちゃんに持たせた歯ブラシは赤ちゃんが噛んで毛先が変形していることが多いので、仕上げ磨き用の歯ブラシは別に用意してくださいね。
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仕上げ磨き、体勢やブラシの動かし方は?
ごろんと寝転がった体勢で
口の中がよく見えるように、赤ちゃんの顔がママのお腹の下に来るように寝かせます。赤ちゃんの顔の高さは、座布団などで調節してもいいですね。
歯ブラシは鉛筆の持ち方で
歯ブラシは、鉛筆のように持ちましょう。こうすると力が入りすぎず、赤ちゃんが痛がりませんよ。
1. 奥歯からスタート
歯の中央の、窪んだところに食べカスが溜まりがちです。
正面から歯ブラシを差し込み、奥から手前に掻き出すように小刻みに動かします。歯1本あたり、5秒程度で十分です。
続いて、歯の側面(頰側と舌側)を磨きます。歯と歯茎の境目に歯ブラシの毛先を当て、小刻みに動かします。
奥歯は、歯ブラシだけでは歯と歯の間に汚れが残りがちです。奥歯が生えてきたら、フロス(糸ようじ)で隙間の汚れを取り除くようにしましょう。
2. 前歯の表面
上唇と歯茎の間にある筋(上唇小帯)に指や歯ブラシが当たると、赤ちゃんは強い痛みを感じます。
前歯を磨くときは、ママの指で筋をガードして歯ブラシが当たらないように気をつけてください。
歯ブラシの毛先を細かく震わせながら、歯の表面についた汚れをこすり取ります。
3. 前歯の裏側
前歯の裏側は歯ブラシを逆手に持ち、毛束の両端を使って汚れをかき出します。前歯1本ずつこすって、汚れを落とします。
教えて歯医者さん!
赤ちゃんの歯磨き気がかりQ&A
嫌がるので、しっかり磨けているか不安です
茂山医師
呼吸が苦しいのかもしれません
ママが仕上げ磨きをしているとき、赤ちゃんは鼻で呼吸しなくてはなりません。まだ鼻呼吸に慣れていなかったり、唾液が溜まったりして、息苦しくて歯磨きを嫌がることもあります。
赤ちゃんが嫌がったら、一度休憩して、口を閉じさせてあげましょう。
先にご説明したとおり、上唇と歯茎の間にある筋に触れると、赤ちゃんは強い痛みを感じます。また、歯ブラシでこする力が強すぎる可能性もあります。鉛筆を持つ持ち方で、やさしくこすってあげてください。
歯1本につき、5秒程度磨ければ十分です。数を数えながら、楽しい雰囲気で磨いてあげてもいいですね。
夜間授乳がやめられません…
茂山医師
寝る前にしっかり歯磨きをしましょう
母乳やミルクに含まれる乳糖が虫歯を引き起こす可能性があるため、1歳半までに卒乳することを勧めています。
ですが、夜間の授乳は赤ちゃんにとって安心材料であるケースが多いので、スムーズに卒乳できないこともあります。
その場合は、以下の4点に気をつけるようにしてください。
● 虫歯菌の定着をなるべく防ぐために、口移しはしない
● 食器を分ける(1歳半〜3歳ごろ)
● 寝る前に歯磨きをする
● 生活リズムを整え、食事と食事の間の時間を十分にとる
楽しい雰囲気で歯磨きを習慣づけよう
赤ちゃんが口を開けたときに白い歯が覗くと、なんとも言えないかわいさがありますよね。
せっかくきれいな状態で生えてきた乳歯、このまま健康な状態を保ちたいものです。
ですが、歯が生え揃うにつれて、歯磨きを嫌がるようになる赤ちゃんも少なくありません。
歯が生える前から口の中に触られることに慣れさせたり、赤ちゃんが嫌がるケア方法を避けたりして、楽しい気持ちで歯磨きを習慣付けられるといいですね。
※アンケート概要
実施期間:2018年11月25日~2018年11月27日
調査対象:「ninaru baby」利用者
有効回答数:183件
収集方法:Webアンケート
取材協力:茂山 久夫
歯科医師/茂山歯科医院
九州歯科大学卒業後、同歯周病科にて4年間診療、その後開業医での勤務を経て、現在は福岡県中間市にて診療を行う。日本歯周病学会、J.A.C.D(The Japanese Academy of Comprehensive Dentistry)、日本顎咬合学会、北九州歯学研究会若手会に所属。「一生を通じて付き合える歯医者さん」をコンセプトに、本人以上に患者さんのお口を分かっている、そんな信頼できる歯科医師を目指しています。大切な歯を守る第一歩は子どもの頃に作られる習慣と正しい知識です。子育てのお悩みの解消に少しでも貢献できたらと思っております。
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