登場人物
こぐまさん:こころやさしいこぐま。悩めるみつこの良きパートナー。スプーンがうまく持てない。
みつこ(28):日々の家事や育児に奮闘する悩める主婦。掃除は苦手だけど、ふきんの煮沸消毒がマイブーム。
はちろう(1):おっとりのんびりマイペース男子。こぐまさんの肉球はグミでできていると思っている。
第17話
作者あとがき
見返りを求めてしまうようなら、人に与えるべきではないと思っています。
およそ30年の人生で感じた自論ですが。
言い方を変えると、見返りを求めない程度のことならすすんでやる。
友人に贈り物をしたことも、肩代わりした同僚の仕事も、あの日の募金も、見返りなんていらないと思ってやったことです。
むしろ見返りなんて言葉を意識すらぜず、自分がそうしたい、もしくは、そうした方がいいと思ってやったことです。
これは私の方針であって、もちろん全員がこう考えているわけではないと思います。
余談ですが私は怠け者、おまけにぼけっとしていることが多いので、自分が与えるどころか人から助けられることばかり。
知らないところで「恩知らず」と思われているかもしれません。
いや、ほぼないと思いたいのですが。
人のために与えるのは素晴らしいことです。
誰かの役に立ちたいと思うのも自然なことです。
ただ、見返りを求める気持ちが芽生えるのであれば、そこまでしてくれなくていいと、私は人にも思ってしまいます。
例えば、あなたが友人のために身を削った行動をしたとします。
その後、友人と立場が入れ替わったとき、友人はあなたに何もしてくれなかったとします。
そんな時「私はあれだけしてあげたのに」なんて、残念な気持ちになるでしょう。
それに怒りの感情を持ったり、愚痴のようなものが出たら、もしかすると、あなたは友人に「与えすぎ」だったのかもしれません。
冷たい考え方に見えるでしょうか。
自分が誰の為にもならず、誰からも与えられない世界になりそうですか?
でも、こうしたらどうでしょう。
自分の「見返りを求めず与えられる分量」をよく理解し、それを増やしていくのを目標としていけたら。
偽善も下心もなく、自分のできる範囲で役に立てたら。
「あれだけしてあげたのに」なんて被害者にならずに、自分に余裕があるときには人のために動いたり、逆に、助けが必要な時には少しだけ助けてもらえる。
そして互いに自然と感謝できる。
そんな風になるといいな、と思います。
えらそうに言っていますが、私も「分量」を測っている最中です。若輩者ですので。
がじゅまる
作者