自分に兄弟や姉妹がいると、子供が一人だけのママが「一人っ子はかわいそうじゃないかな…?」と悩むことは珍しくないようです。知り合いや親戚に「一人っ子はかわいそう」と何気なく言われ、悩んでしまうママもいると思います。
しかし、本当に一人っ子はかわいそうなのでしょうか?
そこで今回は、先輩ママ200人以上と臨床心理士の先生に、一人っ子はかわいそうなのかどうか聞いてみました。
「一人っ子はかわいそう」と考える人は多い?
世間には、なぜか「一人っ子はかわいそう」という目で見てくる人がいます。
子供が一人っ子の先輩ママたちに、まわりから「一人っ子はかわいそう」という目で見られたことがあるかどうかを聞いてみたところ、「一人っ子はかわいそうだ」という目で見られたことがある人は約40%でした。
全体の半分以下と少なめではあったものの、「一人っ子がさびしいと周りから思われたことがある」人は意外と多いようです。
一人っ子のかわいそうなところは?
では、「一人っ子はかわいそう」と考える人たちは、なぜ「一人っ子はかわいそう」だと思っているのでしょうか。
参考までに、アンケートから見えてきた、一人っ子がかわいそうだと見なされる点を、一人っ子の子育てをするママたちの声を交えながらご紹介します。
相談相手がいない
滝谷さん
介護が必要となったとき、介護対象が親であれ自分であれ、相談相手が少ないところが一人っ子のつらいところではないでしょうか。
はるさん
もし家庭内で問題が起きたとしても、自分一人で何とかしなくてはいけないところが、一人っ子がかわいそうなところかもしれませんね。
遊び相手がいない
みみこさん
友達とバイバイした後、親が不在のときは、一人で遊ばなければいけないところですね。
りんさん
親でも友達でもない、兄弟という良くも悪くも特別な存在がいないことがかわいそうだと思います。
コミュニケーションの経験が乏しくなる
とさん
家で一緒に遊ぶ相手がいないので、ケンカの経験がしにくいところでしょうか。
corさん
同世代とのケンカや遊びなどが、ある程度大きくなるまで経験できないところがかわいそうだと思います。
親からの期待を一身に受ける
もちぷーさん
親の目が行き届きすぎて、過保護で窮屈なところですね。
あおいさん
親の愛情やプレッシャーが集中してしまうところだと思います。
「一人っ子はかわいそう」と思われることがあるのは、上記のようなことが理由のようです。
一人っ子はかわいそうな経験をするの?
そもそも当の一人っ子自身は、自分のことをかわいそうだと思ったことがあるのでしょうか?
そこで、自身が一人っ子の先輩ママたちに、さびしいと思った経験があるのか聞いてみました。
すると、「一人っ子でさびしいと思ったことがある」と答えた人は全体の約30%でした。
一人っ子でさびしい思いをしたことがある人の方が少ないといえそうですね。「一人っ子はかわいそう」というのは、周りの人が勝手に思っていることなのではないでしょうか。
一人っ子のいいところは?
では、自身も一人っ子だった先輩ママたちの考える「一人っ子のいいところ」は何なのでしょうか?
精神的・金銭的な余裕が持てる
ぐずりーぬたんさん
子供一人に対して手がたくさんあり、手がかけられるし、お金もかけられるところですね。
みーたんさん
金銭的にも余裕があるので、習い事や教育の質を高めることができるのも大きいです。
親の愛情を一身に受けられる
みことさん
常に親から自分を見てもらえるところがいいと思います。
みーたんさん
愛情を注ぐ対象が一人なので、親がしっかり隣に寄り添いさえすれば、さびしい思いはしないと思います。
比較されない
みことさん
家族の中で、兄弟と比べられることがないところが一人っ子のいいところですね。
兄弟間のトラブルがない
ららさん
兄弟とトラブルが起きないのはいいですね。大人になってから、兄弟間のトラブルは深刻になることが多いので。
まわりに優しくなれる
みみこさん
周囲に優しくなれる、空気を読める、まわりに流されずマイペースを保てるところなどですね。
「一人っ子はわがまま」なんて言われることがあることを理解しているため、「自分はそうならない!」と思いながら成長するので、実際は性格の良い子が多いと思います。
一人っ子のいいところは、「比較されない」「まわりに優しくなれる」など一人っ子である子供から見たメリットもあれば、「精神的・金銭的な余裕が持てる」のように、親の立場から見たときのメリットもありました。
一人っ子には、いいところがたくさんあるのです。
臨床心理士「一人っ子という枠を外して考えて」
一人っ子自身は、寂しいと思ったことや、自分がかわいそうと思ったことは少ないようですが、専門家からみて、「一人っ子はかわいそう」なのでしょうか?
そこで、幼児から成人まで幅広い年代の心の問題と向き合っている、臨床心理士の佐藤文昭先生にお話をうかがってみました。
「一人っ子はかわいそうなのではないか…?」と悩んでいるママが多いようなのですが、先生はどう思われますか?
編集部・小野
佐藤先生
臨床現場から見ると、きょうだいの有無よりも、親の姿勢や資質の方が、子供の人格形成に及ぼす影響ははるかに大きいように見えますね。
わがままに育ちやすいとか、コミュニケーション力が鍛えられないといった不安の声もあります。
編集部・小野
佐藤先生
一人っ子が原因で、心配な状況になることはほぼありませんよ。
実際、一人っ子は責任感が強かったり、芯も強く、家庭を持つのが早かったりもします。結婚後、自分が手厚く育ててもらったように、自分の家庭もしっかりと守ろうとする方も少なくありません。
逆に、子供がたくさんいても、子育て次第で心が健やかに育たないこともよくあります。
子供自身は、一人っ子であることに悩んだりはしないんでしょうか?
編集部・小野
佐藤先生
本人にとっては一人っ子が当然で、あまり気にしていない子がほとんどですね。
むしろ、一人っ子であることを前向きに受け入れて、友達を作ることを覚えたり、まわりの人を頼ることを学んだりと、人間関係力を高めて、毎日を楽しんでいる子もたくさんいますよ。
一人っ子だからと悩む必要はなさそうですね。
編集部・小野
佐藤先生
「一人っ子だからかわいそう」「わがままになるかも」と心配してあれこれ先走るよりも、「一人っ子」という枠をはずして考えましょう。
その子の本質を見て、いいところを伸ばすお手伝いをしてあげた方が、子供も嬉しいと思いますよ。
一人っ子ママへ先輩ママからアドバイス!
ここまで、「一人っ子はかわいそう」という意見について、先輩ママと専門家の考えをご紹介してきました。
最後に、「一人っ子はかわいそうじゃないかな…?」と悩むママに向けて、子供が一人っ子の先輩ママからのアドバイスをいくつかご紹介します。
子供の数よりもどう暮らしたいかが重要
まめころさん
メリットとデメリットがあるのはどんなきょうだい構成の人も同じです。本人は選べないものだし、いずれ本人の個性になっていくものなので、悩まなくて大丈夫ですよ。
自分たちがどういう風に暮らしていきたいか?で決めてかまわないと思います。
「一人っ子はわがまま」は偏見なので、自分の子にも他人にも言わないようにしてあげてください。
子育てに正解はない
あにゃぽんずさん
子育てに正解不正解はありません。あるとしたらそれは子供が大人になってはじめてわかることだと思います。
一人っ子でもきちんと愛情と時間をかけ、親子の信頼関係を築けていけるのならば、とても素敵な親子の形であり、幸せだと思います。
一人っ子だからこそできる育児がある
めーぷるさん
うちも一人っ子ですが、息子のやりたいことに全力で打ち込めたり、楽しめたりするので今はとても幸せです。
私の姉は2人兄弟を子にもっているのですが、しっかりしてほしい思いが強いのか上の子にはきつくあたり、下の子ばかりに目を向けていてかわいそうに見えました。それを見ていて、うちは当分一人でいい、この子にたくさんの愛情を注ぎたいと思いました。
一人っ子にはいいところがいっぱいある!
先輩ママや佐藤先生の意見から、一人っ子には一人っ子ならではの良さがたくさんあることに気づいていただけたかと思います。
「一人っ子はかわいそう…」と思ってしまう気持ちもあるかもしれませんが、兄弟や姉妹の有無にこだわりすぎず、子供にしっかりと向き合ってあげることが大事なようですね。
※ アンケート概要
実施期間:2018年11月15日~11月16日
調査対象:アプリ「ninarubaby」を利用中のママ
有効回答数:221件
収集方法:Webアンケート
取材協力:佐藤文昭
臨床心理士
おやこ心理相談室 室長。カリフォルニア臨床心理大学院臨床心理学研究科 臨床心理学専攻修士課程修了。米国臨床心理学修士(M.A in Clinical Psychology)。精神科病院・心療内科クリニックの医療現場や群馬県スクールカウンセラーの教育現場での臨床経験を生かし、幼児・児童、思春期から成人に至るまで幅広い問題を扱っています。精神分析的心理療法を中心として、心理検査、知能検査なども実施。また、個人だけではなく、家族というより広い視野を持って取り組んでいます。