生後10ヶ月頃の赤ちゃんは、手のひらでものを握れるようになり、別の手で持ち替えるようになったら、次は親指とひとさし指でものをつまめるようになります。
指先が発達する生後10ヶ月頃に、どんな遊びをすると良いのでしょうか?ここでは、指先の動きを促してあげるおもちゃをご紹介します。
生後10ヶ月頃、指先を使って
ものをつまめるように
手や指の発達には個人差があるので前後することもありますが、生後10ヶ月頃、赤ちゃんは親指と人差し指の2本を使ってものがつまめるようになります。
ものを器用につまめるようになると、引き出しを開けて中のものを取り出したり、スイッチをいじったりすることもあり、目が離せなくなる時期です。
対象年齢が「生後10ヶ月頃から」とされているおもちゃを見ると、回す、引っ張るといった指先を使う仕掛けがあるものが多く見られます。
この時期に指先を使うおもちゃを使うことで、赤ちゃんの発達に良い影響を与えるのでしょうか?
指先を使うおもちゃで遊ぶといいって本当?
指先を使うおもちゃで遊ぶことがどんな成長につながるのか、小児専門医の武井先生に伺いしました。
武井
先生
おもちゃや遊び、普段の生活を通して指先やてのひらを使うことで、指が5本ある、指を使ってものをつまめるといった自分の指のイメージが発達していきます。
これから視覚もますます発達し、目と手の協調動作(別々の動作を一緒に行うこと)ができるようになると、左右の持ち替えや指差しなども促されていきますよ。
日常生活のほとんどの動作では、手と目を同時に使います。指先が器用に動かせるようになり、視覚も発達すると、さらに細かい動きができるようになったり、複雑な動作ができるようになったりします。
赤ちゃんが喜ぶおもちゃや遊びで指先を使う機会を増やすことで、発達をサポートしてあげられそうですね。
生後10ヶ月頃の先輩ママが
使っている人気おもちゃ
今回ninaru baby編集部では、102人のママにアンケートを実施(※)。先輩ママから寄せられた、指先を使う人気のおもちゃをご紹介します。
ルーピングのおもちゃ
カラフルなビーズを指でつまみ、ワイヤー伝いに右へ左へと動かすルーピングのおもちゃ。指を使って思ったところにビーズを動かすうちに、手先の器用さや集中力が養われます。
娘はルーピングのおもちゃが好きで、長い時間集中して遊んでいました。(へむへむ双子ママ)
アンケートでは、「エド・インター」や「ボーネルンド」のルーピングのおもちゃで遊んだという声が寄せられました。
ボーネルンドのルーピングのおもちゃ
エド・インターのルーピングのおもちゃ
いたずら1歳やりたい放題
生後8ヶ月頃から遊べる「いたずら1歳やりたい放題」は、指先の細かい動きが繰り返しできるおもちゃ。押したり引っ張ったりつまんだりと、様々な動きや仕掛けが満載です。
ピープルの「いたずら1歳やりたい放題」でよく遊んでいます。指でピンポンを押したり、カギを開けたりすることにハマって、何度も何度も繰り返していました。(みぃ)
「いたずら1歳やりたい放題」の楽しみ方についてはこちらの記事も参考に!
指先の知育
出典: www.people-kk.co.jp指先の知育シリーズは、その名の通り指先遊びを楽しめるおもちゃ。写真の「指先の知育 オールスター」では、赤ちゃんが好きなスマホやリモコンに、つまむと音が出る仕掛けもついていますよ。
「指先の知育」というつまむおもちゃを祖父母からもらいました。息子は気に入ったみたいで、色々な仕掛けで遊んでいました。(ままちぇ)
プラステン
プラステンは、木の棒と木のリングがセットになったおもちゃ。指先を使ってリングをつまむことからはじめ、並べたり形を作ったりと様々な遊び方ができます。積み方や数をかぞえる理解にもつながるおもちゃです。
最初はプラステンの木の棒からリングを外すことからはじめました。慣れてきたら、リングをはめ込む、色ごとにわけるなどして、集中して遊んでいます!(Aママ)
絵本・布絵本
絵本のページをめくるのにも、指でつまんで開くという指先の細かい動きが必要です。絵本を読むことで、ものの理解や言葉の発達、情緒を育むことにもつながります。
絵本が大好きで、絵本のページを指でつまんで持ち上げてめくっていました。
特に好きなのは0.1.2シリーズの絵本。そのなかでも「ぱんだいすき」という絵本が好きで、絵本の中のパンをつまんで食べるフリなどをよくしていました。(Bママ)
ぱんだいすき
他に人気があった指先遊び・おもちゃ
このほかにも「指でつまむ動きをするおもちゃを使っていた」という声が寄せられました。
- ベビージムやジャンパルーにぶら下がっている布のラトルやおもちゃ
- ボタンを押すと音がなるおもちゃ
- シール
また、「家にあるもので指先を使うおもちゃを作っている」という意見も多数ありました。
身近なもので指先でつまむおもちゃ作り!
アンケートでも「手作りおもちゃで指先遊びを楽しんでいる」という声がありましたが、保育園でも指先を使う手作りおもちゃは人気のようです。
実際に保育園では、どんな指先を使うおもちゃで遊んでいるのか聞いてみました。
かおる先生
保育園の0歳児クラスでは、粉ミルク缶で作った手作りのポットン落としが赤ちゃんに人気です。
ポットン落としの作り方
身の回りにあるものを使ってポットン落としを作ってみましょう!
蓋つきの容器(粉ミルク缶くらいの大きさがおすすめ)、落とすもの(赤ちゃんが誤飲しにくい大きさのもの)を用意する
容器の蓋に、落としたいものが通る大きさの穴を開ける
容器に飾り付けをして完成!
かおる先生
容器の中に、鈴のような音が鳴るものを入れておくと、落としたときに音が鳴るのでさらに楽しいですよ!
こんなものを落としてみよう
左上から
- コンビニなどでもらうデザートスプーン
- ストロー・ホースを切ったもの
- フェルトを好きな形に切って、2枚重ねて貼り付けたもの
- ペットボトルのふたを2つくっつけたもの
ペットボトルの蓋を使う場合は、2つくっくけてビニールテープでしっかりとめてください。ペットボトルの蓋の中に、お米やコーヒー豆、鈴を入れてマラカスにしてもいいですね。
赤ちゃんが口に入れないように、おうちのかたが見てあげてくださいね。
かおる先生
ストローやホースをカットして鋭利な場合は、ビニールテープなどでカバーしましょう。
作るときに気をつけたいこと
蓋の素材によっては硬いものや滑りやすいものもあります。カッターを使うときは気をつけてくださいね。
今回使用した保存容器の蓋は、切り口が鋭利ではなく、指を傷つける心配がありませんでした。
指を傷つける可能性ある場合は、ビニールテープを使って切り口をカバーしてくださいね。
おもちゃ以外でもつまむ動きができます
指先を使う力を育むものとしてアンケートで多く寄せられたのが、「食べ物をつまんで食べる」という先輩ママの声でした。
ボーロはつまむのに最適!
ボーロのつまみ食べに始まり、自分でいろいろつまむのが楽しい様子です。最近は積極的に埃などのゴミを拾って口に運ぼうとするので困っています…。(みゃん)
朝ごはんに食パン!
朝ごはんに食パンを一口サイズにカットして出すと、上手につまんで食べてくれるようになりました。
つまむ練習におもちゃはあまり使いませんでしたが、床に落ちているゴミや、自分の服についているボタンなど一生懸命つまんでいる姿をよく見ます。(はる)
ぽん菓子を食べたくて
おやつにぽん菓子をあげていたら、食べたい気持ちから一生懸命つまんでいて、小さなものもつまめるようになりました。(みーちゃんママ)
手づかみ食べ
手づかみ食べをするようになって、すごく指先が器用になりました。(さくさくさん)
おもちゃに限らず、毎日繰り返す「食べる」という動作のなかでも、つまむ力は育めそうですね。
生後10ヶ月頃からは
指先を使うおもちゃに親しもう
赤ちゃんが指先を器用に使えるようになると、指先の力加減が上手になり、遊びの幅が広がることはもちろん、少しずつ道具も使えるようになります。
ただし、つまむことができると、思わぬものを誤飲しやすくもなります。ママやパパが赤ちゃんを見守ることはもちろんですが、赤ちゃんが過ごす環境に危険なものがないよう、十分気をつけてくださいね。
※アンケート概要
実施期間:2018年11月22日~24日
調査対象:「ninaru baby」を利用しているママ
有効回答数:102
収集方法:webアンケート
取材協力:武井 智昭
小児科/高座渋谷つばさクリニック
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県横大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。
取材協力:中川 薫
保育士
保育士歴15年。
保育園、知的障害者支援施設を経て、現在は中学校のスタディメイトとして発達障害を持つ子どもの支援をしています。子どもがわかりやすく安心して学校生活や学習ができるようなサポートを提供。男の子と女の子の2児の母。