1歳半からが要注意!その生活習慣、乳歯を虫歯にしちゃうかも…

赤ちゃんに乳歯が生えてきて、ケアを開始した家庭も多いのではないでしょうか。しっかりケアしているつもりでも、乳歯に虫歯ができてしまう赤ちゃんも実は少なくありません。

そこで今回は、乳歯に虫歯ができてしまった赤ちゃんは、何が原因で虫歯ができてしまったのか調査しました。

19人に1人は乳歯に虫歯ができていた!

赤ちゃん 虫歯 泣く

小児歯科でフッ素コーティングなどの予防ケアをしてもらう人が増え、かつてに比べ、乳歯に虫歯ができる赤ちゃんや子供の数は減少しています(※1)。

ですが、ママが気をつけていても、赤ちゃんが仕上げ磨きを嫌がったりして、乳歯に虫歯ができてしまうことも。

「ninaru baby」のアンケート(※2)では、約19人に1人の割合で乳歯に虫歯ができていることがわかりました。

虫歯は1歳代後半からできやすくなる!

赤ちゃんせんべい

乳臼歯(奥歯)が生え、離乳食が完了期を迎える1歳半ごろから虫歯はできやすくなるとされています。

食べられるものが増え、おやつにスナックや甘いものを食べ始めること、そして自我が発達して歯磨きを嫌がってしまうことも関係しているかもしれませんね。

「ninaru baby」に寄せられた体験談では、生後8ヶ月で虫歯になりかけていると診断された赤ちゃんもいました。

乳歯に虫歯できたママに聞いた
「こんな生活習慣をやっていました…」

ボウロ イオン水

乳歯に虫歯ができてしまった赤ちゃんのママに、なぜ虫歯ができてしまったのか、思い当たる生活習慣について聞きました。

乳歯に虫歯ができた赤ちゃんの生活習慣

1 大人が口をつけたものを赤ちゃんに与えた
2 離乳食やおやつのちょこちょこ食べ
3 哺乳瓶やスパウトで甘い飲み物を飲ませた
4 仕上げ磨きをきちんとできていない
5 歯磨き後に間食や授乳をした

虫歯は、4つの条件が揃ったときにできると言われています(※3)。実は、乳歯に虫歯ができてしまった赤ちゃんの生活習慣は、まさにその条件を満たしてしまっているのです。

乳歯に虫歯ができる「4つの条件」とは?

虫歯ができる条件

生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には、虫歯菌をはじめとする菌は存在していません。

1. 虫歯菌

虫歯菌のある大人が口にした食べ物を与えたり、スプーンを共有することで赤ちゃんに虫歯菌がうつります。

それだけで乳歯に虫歯ができるわけではなく、生活習慣などから虫歯ができるとされています。

2. 糖

離乳食で与える炭水化物や果物には、糖が含まれています。糖は、虫歯の原因となる菌を歯の表面に付着させやすくします。

また、歯の表面に付着した虫歯菌は糖を分解して酸を作り出し、この「酸」が歯を溶かすことで虫歯ができるのです。

3. 歯の質

乳歯は永久歯にくらべて柔らかく、エナメル質や象牙質も永久歯の半分の厚さしかありません(※4)。そのため、永久歯より早いスピードで虫歯が進行すると言われています。

4. 時間

食べカスが付着した時間が長ければ長いだけ酸が作られ、虫歯ができやすくなります。

乳歯の虫歯体験談
うちの子はこうして虫歯ができました…

あんママ

あんママ

うちの子は1歳4ヶ月のときに、乳歯に虫歯ができてしまいました。

虫歯の予防に対してあまり知識がなかったので、口をつけたものを娘に食べさせたり、同じスプーンを使ったりしていました。

虫歯は小児歯科を受診したときに見つかったのですが、食生活を厳しく注意されました。とくに、時間を決めずにおやつをちょこちょこ食べさせたり、イオン水をスパウトで飲ませていたことが主な原因だと言われました。

1歳ごろから仕上げ磨きを激しく嫌がるようになったので、きちんと磨かずに寝てしまうこともありました…。それ以来、歯磨きのDVDを見たり、歯磨きごっこをして仕上げ磨きがきちんとできるように頑張っています。

はるママ

はるママ

自治体で健診を担当しているので、乳歯に虫歯ができてしまった赤ちゃんを何人も見ています。

そのお子さんたちに共通しているのが、お菓子のダラダラ食べと、間違った哺乳瓶の使い方をしていることです。

グズグスしたときに甘いものをあげると泣きやむため、それがクセになってしまっているケースも珍しくありません。

また、こぼす心配がないため、コップではなく、哺乳瓶をずっと使っている赤ちゃんもいます。哺乳瓶に甘い飲み物を入れて飲むと、前歯の裏にダイレクトに甘い飲み物が当たるため、虫歯になりやすくなります。

健診で虫歯が見つかる赤ちゃんの多くが、上の前歯に虫歯ができています。

乳歯の虫歯、これって本当?Q&A

赤ちゃん 仕上げ磨き 歯磨き

赤ちゃんの乳歯を健康に保とうと、日頃から気をつけてケアしているママも多いと思います。

ママたちから寄せられた乳歯の虫歯にまつわる疑問を、歯科医の茂山先生に教えてもらいました。

磨き残しが気になります…

奥まで歯ブラシを入れると嫌がるので、磨き残しがあるのでは…と心配です。

乳歯で磨き残しが多いのはどこですか?また、磨き残しがある場合、どのようなケアをしたら虫歯になりませんか?

みかママ

茂山医師

茂山医師

上の歯と奥歯に気をつけましょう

赤ちゃんや子供の歯はいわゆる「すきっ歯」で、歯と歯の間に隙間があります。前歯は歯ブラシだけでも磨けますが、奥歯は歯ブラシだけでは歯と歯の間に汚れが残り、そこから虫歯になることが多いです。

生えている歯が前歯4本くらいまでの時期は哺乳瓶を使っている赤ちゃんも多いので、その時期は上の歯に虫歯ができやすくなります。唇を優しく避けながら、ていねいに磨きましょう。

奥歯が生える1歳半頃からは、フロスを併用して歯磨きをしてあげるといいですね。

夜間の授乳は虫歯になりますか?

うちの子は、添い乳をしないとねんねできません。今、上下の前歯が生えている状態です。このままだと虫歯になりますか?

つむぎママ

茂山医師

茂山医師

乳糖が虫歯を引き起こす可能性も

母乳やミルクに含まれる乳糖が、虫歯を引き起こす可能性はあります。とくに、夜寝ている間は唾液の量が減少するため、日中よりも虫歯へのリスクが高まります

虫歯は糖があると必ずできるものではなく、口の中に定着している常在菌の種類、食事の間隔(ダラダラ食べ)など様々な要素に影響されます。

母乳・ミルクを飲み続けている赤ちゃんは、1歳半を境に、卒乳している赤ちゃんに比べて虫歯になる率が一気に上がります。そのため1歳半までに卒乳することを勧めていますが、卒乳はスムーズにできないこともありますよね。以下に、卒乳できていないときにも有効な虫歯の予防法をご紹介します。

● 虫歯菌の定着をなるべく防ぐために、口移しはしない
● 食器を分ける(1歳半〜3歳ごろ)
● 寝る前に歯磨きやガーゼ磨きをする
● 生活リズムを整え、食事と食事の間の時間を十分にとる

生活習慣を見直して乳歯を虫歯から守ろう

歯ブラシ 家族

大人の私たちでも、虫歯ができてしまったことに気づくと憂鬱ですよね。

せっかくきれいな状態で乳歯が生えてきたのだから、赤ちゃんの歯は健康に守ってあげたいもの。

神経質になりすぎる必要はありませんが、虫歯ができる4つの条件に当てはまる生活習慣をしていないか、家族みんなで見直してみてもいいですね。

※2 アンケート概要
実施期間:2018年11月26日~2018年11月28日
調査対象:「ninaru baby」利用者
有効回答数:72件
収集方法:Webアンケート


取材協力:茂山 久夫

取材協力:茂山 久夫

歯科医師/茂山歯科医院

九州歯科大学卒業後、同歯周病科にて4年間診療、その後開業医での勤務を経て、現在は福岡県中間市にて診療を行う。日本歯周病学会、J.A.C.D(The Japanese Academy of Comprehensive Dentistry)、日本顎咬合学会、北九州歯学研究会若手会に所属。「一生を通じて付き合える歯医者さん」をコンセプトに、本人以上に患者さんのお口を分かっている、そんな信頼できる歯科医師を目指しています。大切な歯を守る第一歩は子どもの頃に作られる習慣と正しい知識です。子育てのお悩みの解消に少しでも貢献できたらと思っております。