「赤ちゃんは泣くのが仕事」とはいえ、あやしてもあやしても泣き止まないと、どうしていいのかわからなくなりますよね。ひっくひっくと、しゃっくりのような状態が見られると「こんなに泣いてて大丈夫なの?」と心配になるママもいるのではないでしょうか?
今回編集部は、「赤ちゃんが泣き止まなかったときのこと」について、エピソードを募集(※)。泣いて困ったときの状態について、専門家にアドバイスをいただきました。
約8割のママが「赤ちゃんの泣く理由がわからず困った経験がある」
まだ言葉を話せない赤ちゃんがなぜ泣いているのか、おおよその理由を予想することはできても、正確に理解するのはむずかしいですよね。
それでも、育児の時間が増すにつれて、「これまでの経験から、こういうときは、これをすればだいたい機嫌がなおるはず」という傾向がみえてくることもあります。
今回のアンケートでは、あやしてもあやしても赤ちゃんが泣き止まず困ってしまった経験の有無を聞いてみました。
その結果が、上記のグラフです。約8割ものママが「経験がある」と回答しました。
専門家に聞いた!
赤ちゃんが泣き続けるときの対応方法
今回募集したエピソードでは、赤ちゃんが泣き続けて困ったこと・泣き続ける赤ちゃんの様子で心配になったことなども聞いてみました。
理由を察してあげるのが一番の近道ですが、それがわからないこともママにだってあります。赤ちゃんの気分次第で、いつもと違う反応をするときもあります。
そんな泣き続ける赤ちゃんの心配事について、助産師・看護師として活躍している、河井恵美先生と、ベテラン保育士である、中川 薫先生に、アドバイスをいただきました。
\私たちがアドバイスします/
河井先生
看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務していました。助産師の仕事が大好きで、25年以上この仕事をしています。
かおる先生
保育園、知的障害者支援施設を経て、現在は中学校のスタディメイトとして発達障害を持つ子どもの支援をしています。男の子と女の子の母です。
赤ちゃんが泣き続けるエピソード①
泣きすぎて息が止まっている…?
ママのエピソード
りょうくんママさん
チャイルドシートに乗せているときでした。運転をしているのですぐに抱っこをしてあげられなかったこともあり、とにかく怒って手足をバタバタさせて、顔を真っ赤にして泣いていました。
たまに、一瞬呼吸が止まっている気がするのですが、こういうときは、どうしてあげたらいいでしょうか?(生後5ヶ月赤ちゃんのママ)
先生たちからのアドバイス
河井先生
一旦、安全な場所に車を止めて、チャイルドシートから抱き上げてみてください。体勢が辛かったり、身体が何かに当たっていたりして、不快なのかもしれません。
赤ちゃんが必死で泣いている場合、息ができなくなって顔色が変わることもあります。背中などを刺激して呼吸を促してみましょう。
かおる先生
安全を優先しながら、車をできる範囲で早めにとめて、背中を優しく撫でたり軽くトントンしたり、やさしい言葉をかけてあげてください。とにかく安心させてあげるのが一番だと思います。
赤ちゃんは息ができないことにびっくりしてしまい、さらに激しく泣くこともあります。しばらく車がとめられない状況であれば、大人も一緒に焦るんじゃなくて「大丈夫だよ」と声をかけてあげましょう。
高速道路など、すぐには止まれないケースも考えられます。赤ちゃんに声をかけながら、まずはママが冷静さを失わないことを優先しましょう。安全のために運転に集中できるようにすることも大切ですね。
赤ちゃんが泣き続けるエピソード②
泣き止まないときに放っておくのはあり?
ママのエピソード
りったんママさん
頭や体を振って、全身を使って泣くことがあります、授乳したり抱っこしたりすると落ち着くこともありますが、なかなか泣き止まないときも。
どうしても泣き止まないときに、泣き疲れて眠るまで待つという対処をしても良いですか?(生後4ヶ月赤ちゃんのママ)
先生たちからのアドバイス
河井先生
何をやっても泣き止まないこともありますね。親は本当に困ってしまいます。
親ができる限りの手を尽くしても泣き止まない場合は、抱っこしたり、そばで見守ったりしながら待ってあげても良いと思います。
かおる先生
赤ちゃんは泣くことでしか訴えることができないので、できるなら抱っこしたりおんぶしたりして、気持ちに応えてあげたいですね。ですが、抱っこなど色々しても泣き止まないなら、しかたないこともあります。赤ちゃんの安全が確認できる位置で、少し離れて様子をみるのも1つの方法です。
泣きすぎると吐いてしまいこともあり、気管にミルクや食べ物が入って危ないこともあります。泣き疲れるまで待つとしても、抱っこの状態が良いかもしれません。
どんな対応をしても泣き止まないと、ママも疲れてしまいますよね。そんなときは、側で見守りつつ、一度離れてみるのも良いとのこと。泣きすぎて吐いてしまわないよう、体勢にも気を付けてあげてくださいね。
ママが疲れてしまうときは、「今は赤ちゃんの相手をする時間」と割り切ることも大切。家事などは後回し、もしくはやらないと決めてしまう日があってもいいと思いますよ。
赤ちゃんが泣き続けるエピソード③
不機嫌なの?具合が悪いの?
ママのエピソード
むらおさん
産まれたときのように目をギュッと閉じて、口をいっぱい広げて、くしゃくしゃな顔で泣きます。
家の外やベランダなど、外の空気を感じられる場所に出てみると泣き止むことが多いですが、どうしてでしょうか?
また、不機嫌なときと病気のときの泣き方の違いもあれば知りたいです。(生後6ヶ月赤ちゃんのママ)
先生たちからのアドバイス
河井先生
思い切り泣いている様子ですね。赤ちゃんが泣くことに一生懸命になっているときに、ふと違う温度の空気、外の雑音を感じると、気がそれるのかもしれません。
病気のときも不機嫌になるので、泣き方に違いがあるかと言うと難しいところです。ただ、病気だと元気がないこともあります。泣き方に活気があるかどうかも、見てあげてください。
かおる先生
外の空気を感じると気分転換になるのだと思います。泣き止むのであれば、うまく気がそれたのでしょうね。
色々なものに興味をもつというのもあるかもしれません。「猫がお散歩してるよ」「ブーブーきたね」と声をかけるのもおすすめです。外に連れて行っても泣き止まないときも、もちろんありますが。
不機嫌なときと病気のときの違いですが、見分けはつきにくいかもしれません。抱っこしたときに熱いと感じたり、おむつを替えても抱っこしても何してもグズグスしていることでしょうか。
ただ、毎日関わっていると「いつもと違う」という感覚が自然にわかってきますよ。そんなときの親の勘は、なかなかするどいと思います!
不機嫌なときと病気なときの泣き方の違いについては、見分けるのは少し難しいようですね。しかし、毎日接しているからこそわかる「直感」がママには備わっているとか。
「なんか違うな」と感じたら、その日は遠出を控えたり、近所の小児科を調べておくと良いですね。
赤ちゃんが泣き続けるエピソード④
泣きすぎて吐くことがあるけど大丈夫?
ママのエピソード
みーもママさん
赤ちゃん語で文句を言いながら泣きます。ゆらゆらしたり、トントンしたり、抱き方を試行錯誤しています。
それでも泣き止まないときは、泣きすぎてたまに吐くことも…。赤ちゃんにとって泣くことは肺が鍛えられると聞きますが、吐くまで泣くのはあまりよくないですか?また、赤ちゃん語には意味があるのでしょうか?(生後10ヶ月赤ちゃんのママ)
先生たちからのアドバイス
河井先生
赤ちゃんが自分で泣きをコントロールできなくなり、吐いてしまったのでしょう。
それまで、赤ちゃんを落ち着かせようとして色々と工夫されたと思います。ですが、大人が赤ちゃんの泣きをコントロールするのなかなか難しいですよね。もし吐いてしまうことがあれば、縦に抱っこをして、吐いても喉に詰まらないよう、楽な姿勢にしてあげてください。
赤ちゃん語(喃語)についてですが、赤ちゃんの言葉は私達が使っている言葉とはちょっと違います。声色や声の大きさ、声を発している表情などに、私は意味があると考えています。
ただ、解明するのは難しいところですね。大人が、「何を言っているだろう」「どうしてほしいのだろう」と、赤ちゃん表情とともに、気持ちを探ってみるしかないと思います。
かおる先生
激しく泣いていると肺はいつもと違う動きをするかもしれませんが、「吐くまで泣かせる=肺を鍛える」にはならないと思います。吐くまで泣くのはあまり良いとはいえません。
赤ちゃんは、信頼できる誰かにSOSのサインを出して泣いています。赤ちゃんは自分を表現できる数少ない方法で一生懸命に大人に助けを求めているので、大人は「あなたが泣いたらすぐに助けてあげるわよ」ということを態度で示してあげてくださいね。
すぐに対応出来ないときは、「ごめんね」と声をかけてあげてください。乳幼児期にそうすることで、情緒が安定し親子の信頼関係も強くなっていくのだと思いますよ。
赤ちゃん語の文句はやはり不快を表しているのだと思いますよ。赤ちゃんなりの訴えなので「うんうん」と、相づちをうってあげてください。心を育てることに通じます。
ときには、ママが対応していてもなかなか泣きやまず、勢いで吐いてしまうこともありますよね。
万が一吐いてしまったときでも、喉に詰まらせないよう、体勢にも気を使ってみると良いかもしれません。
赤ちゃんが泣き続けると、ママはお手上げ状態になってしまうことも。
ですが、安心できる言葉をかけながら、根気よく赤ちゃんの様子を伺っていれば、何が原因か見えてくるかもしれません。
赤ちゃんが泣くときはママが慌てないことが大切
いつまでも泣き止まないと、住んでいる環境によってはご近所に迷惑にならないかと焦ってしまうこともありますよね。
ですが、そんな焦っているママの雰囲気を赤ちゃんが察して、落ち着かないなんていう話も聞きます。一度外の空気を吸ってみる、お茶を飲んでみるなどして、ママの気持ちを切り替えてみてくださいね。
取材協力:河井 恵美
看護師、助産師
看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。救急、外科外来等も経験し、看護師教育や思春期教育にも関わっていました。助産師の仕事が大好きで、25年以上この仕事をしています。青年海外協力隊でコートジボアールとブルキナファソに赴任した後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。2008年から夫の仕事関係により、シンガポールに住んでいます。2人の子どもを育てつつ、現地の産婦人科に勤務し、日本人の妊産婦さん方に関わっています。インターネットでエミリオット助産院開設中。
取材協力:中川 薫
保育士
保育士歴15年。
保育園、知的障害者支援施設を経て、現在は中学校のスタディメイトとして発達障害を持つ子どもの支援をしています。子どもがわかりやすく安心して学校生活や学習ができるようなサポートを提供。男の子と女の子の2児の母。
※1 アンケート概要
実施期間:2018年12月14日
調査対象:0~2歳の赤ちゃんがいるママ・パパ
有効回答数:285件
収集方法:Webアンケート