登場人物
こぐまさん:こころやさしいこぐま。悩めるみつこの良きパートナー。スプーンがうまく持てない。
みつこ(28):日々の家事や育児に奮闘する悩める主婦。掃除は苦手だけど、ふきんの煮沸消毒がマイブーム。
はちろう(1):おっとりのんびりマイペース男子。こぐまさんの肉球はグミでできていると思っている。
第15話
作者のあとがき
いわゆる、泣ける映画をあまり見なくなったのはいつからだろう。
気づいたらあまり好きではなくなっていた。
それはなぜなのか考えてみたところ、映画の山場で「はい、今泣くところですよー」と言われている気がしてしまうからだった。
その感覚がくると冷静になり、涙もひっこむ。
私は自発的に、気持ちのままに泣きたい。
例えば目の前で人が悲しんでいたとする。
私はかわいそうだと同情する前に“あ、今かわいそうって思う場面だ”と考えてしまう。
要するに頭が気持ちを追い越してしまうのだ。
そうすると自分の気持ちに疑念が浮かぶ。
本当に私は心から同情しているのか?
そういう場面だから…
そういう気持ちに“ならなくてはいけない”場面だから、そう感じているのではないか?
なぜこんな風になったのだろう。
空気を読むのが大事だと思って生きてきたからか。
はたまた無理にねじ込まれた道徳心を拒絶しているのか。
でも、自然と涙が出てくる時もある。
画面の向こうで、人がなんでもない日常を平穏に過ごしていると泣けてくる(それはそれでどうなのか)。
がじゅまる
作者