【産後の腱鞘炎】抱っこと入浴で手首が痛い!授乳中でも湿布は貼れる?

産後のマイナートラブルには、妊娠中から悩まされるものもあります。ですが、産後初めて、それも大半の人が悩まされるのが腱鞘炎です。

手首や腕が痛いと、赤ちゃんのお世話や日常生活に支障が出てしまうことも…。

母乳を与えている場合は湿布を貼っても問題ないのか、手首にかかる負担を減らすにはどうしたらよいのか。専門家のアドバイスを交えながら、産後の腱鞘炎を乗り越える方法をご紹介します。

産後、腱鞘炎になるママはなんと8割!

産後の腱鞘炎

日常生活を送るうえで、腱鞘炎に悩まされることはあまり多くありません。ですが、編集部が産後のママにアンケート(※)をとったところ、なんと8割ものママが産後の腱鞘炎に悩まされたことがわかりました。

赤ちゃんを抱っこすることに慣れていないと、赤ちゃんを落とさないように必要以上に力が入ってしまいます。すると、その緊張によって手首に負担がかかり、手首を痛めてしまうのです。

産後の腱鞘炎は、ママになったからこその痛み、赤ちゃんを愛おしいと思うからこその痛みとも言えますね。

産後の腱鞘炎、辛いのは何をするとき?

腱鞘炎 辛いタイミング

抱き上げるときが辛い…

子どもを抱き上げるときが、いちばん辛いです…。高さがあるほうが楽なので、床ではなく、なるべくハイローチェアに子どもを寝かせています。

利き手が痛いです

抱っこするときに手首を使ってしまっていたようで、それ以来、腕全体で抱くようにしています。利き手がとくに痛かったので、逆の手も使っています。

産後の腱鞘炎はどんなタイミングで辛く感じるのか教えてもらったところ、赤ちゃんの抱っこが圧倒的に多い結果となりました。

無理をして赤ちゃんを抱っこしていたため、腱鞘炎になってしまったとも言えます。

まだ腱鞘炎になっていない人も、知らず知らずのうちに無理を重ねて手首を痛めてしまうかもしれません。赤ちゃんのお世話をする際は、手首に負担がかからないように気をつけてくださいね。

抱っこ、沐浴・入浴が辛い…
産後の腱鞘炎を悪化させないお世話テク

お世話をする際、手首に負担がかからないようにするにはどうすればいいのか、先輩ママのテクをご紹介します。

腱鞘炎を悪化させない抱っこ

腱鞘炎を悪化させない抱っこ

体の上半身を使います

ソファに深く腰掛け、自分の体に赤ちゃんをもたれかけさせるようにして抱っこするのがおすすめ。腕は添えるだけなので、負担が少ないですよ。

抱き上げるときは近くに引き寄せて

抱き上げるとき、赤ちゃんをなるべく自分のほうに引き寄せるのがコツです。こうすると、手首ではなく腕で抱き上げられるので、手首に負担がかかりません。

抱っこ紐の出番です

抱っこするときが最も辛かったので、新生児用のインサートを買って抱っこ紐で抱っこをしていました。

腱鞘炎を悪化させない沐浴・入浴

男性 育児休業 育児休暇 育休 沐浴 体験談

洗面台に乗せると楽です

お風呂場ではなく、洗面台など高さのある場所にベビーバスを置くのがおすすめ。手首の角度を調節しやすく、あまり負担がかかりませんよ。

サポーターをつけています

お風呂は自分で入れなくてはいけないので、サポーターをして乗り切っています。

お風呂マットが使えます!

お風呂で子どもの体を洗うとき、落とさないようにと手首に力を入れてしまい激痛が走ります。お風呂マットを敷いてそこに子どもを寝かせ、体を洗うようにしています。

腱鞘炎を悪化させない授乳

授乳 授乳クッション

授乳クッションが必須です!

授乳するときにもっとも痛みを感じました。それ以来、授乳クッションとバスタオルで高さを調節し、手は子どもに添えるだけにしています。

寝かせた状態で飲ませました

痛みで抱っこできないときは、上体を少し起こして子どもを寝かせてミルクを飲ませました。

このほかに、ベッドやハイローチェアの上でおむつ替えをするというテクも多く見られました。

産後のママから腱鞘炎の相談をよく受けるという助産師で看護師の河井先生は、ママ達に以下のようなアドバイスをするそうです。

河井先生

河井先生

手首がねじれないように気をつけて

産後の腱鞘炎は、利き手に起こることが多いですね。赤ちゃんを抱っこするときは、負担が利き手に偏らないように意識しましょう。

抱っこするときは赤ちゃんの体を支える手を交代したり、痛い方の手首はねじれないようにするといいですよ。

授乳時は、赤ちゃんを支えるためにとくに腕に負担がかかります。ママが楽な姿勢や腕の形、手の位置を探して授乳できるといいですね。

手首をねじる動作は激痛が…
産後の腱鞘炎を悪化させない生活テク

赤ちゃんのお世話以外にも、手首に負担がかかる家事や行動はたくさん!先輩ママから寄せられた、生活の知恵をご紹介します。

包丁はピーラーとキッチンばさみで代用

腱鞘炎 生活の知恵 調理 ピーラー

包丁を使うと手首が痛むので、ピーラーやキッチンバサミで代用しました。あと、カット野菜もよく使いました。

小鍋やミニフライパンで調理する

産後の腱鞘炎 ミニフライパン

重いフライパンや鍋は手首に負担がかかるので、なるべく軽い調理器具を使うようにしました。木べらは、握って持つと手首を痛めずに済みます。

スマホはテーブルに置いて見る

産後の腱鞘炎 スマホ

スマホを操作していると、どうしても手首に痛みが走ります。スマホはテーブルに置いて操作すると、手首をひねりにくいですよ。

シャンプーはブラシでする

シャンプー ブラシ

手首だけでなく、親指を使っても激痛が走ります。シャンプーをするのが辛いので、専用のブラシで髪を洗っています。

手を着くときはグーで

産後 腱鞘炎 立ち上がる

立ち上がるときは、手のひらではなく、拳を握った状態で着くと痛みが少ないのでおすすめです。

産後の腱鞘炎が痛い!
授乳中に湿布を貼ってもいい?

腱鞘炎の痛み ケア

痛みが強いとき、どのようなケアをしているか先輩ママに教えてもらいました。「湿布を貼る」が最も多い結果となりましたが、授乳中に湿布を張っていいのか不安に思う声も同様に多く聞かれました。

痛み止めでガマンしました

湿布は赤ちゃんによくないと思い、病院では痛み止めの薬だけをもらいました。

匂いが気になりました

湿布の匂いを赤ちゃんが嫌がるかも…と思って、湿布は使いませんでした。

産後の腱鞘炎で痛みが強いとき、授乳中でも湿布を貼ってよいのか河井先生に教えてもらいました。

河井先生

河井先生

湿布や軟膏は授乳中でも使えます

湿布や痛み止めの軟膏(ジェル)がママの血液中に吸収される量は、飲み薬よりもとても少ないとされています。さらに、母乳に移行する量はごくわずか。

一般的な使用方法で湿布薬を使う分には、赤ちゃんに影響を与える可能性は低いとされています(※1)。

「湿布の匂いを嫌がって、赤ちゃんが抱っこを嫌がった」という声も聞かれました。匂いが気になるときは、無香料の湿布を選ぶといいですね。

ママの体にへの負担が少ないお世話を

赤ちゃん ママ お世話

今回、全国のママに産後の腱鞘炎についてアンケートを取ったところ、「なるべく手首をかばいたいけれど、育児をしていると無理なことが多い」という声がありました。

ですが、赤ちゃんは日に日に成長して体重が重くなっていくので、ママの体にかかる負担はさらに大きくなります。

今回ご紹介したお世話や日常生活でのテクを取り入れ、少しでもママの体にかかる負担を和らげてくださいね。


監修:河井 恵美

監修:河井 恵美

助産師、看護師/エミリオット助産院

看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わっていました。助産師の仕事が大好きで、25年以上この仕事をしています。青年海外協力隊でコートジボアールとブルキナファソに赴任した後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。2008年から夫の仕事関係により、シンガポールに住んでいます。2人の子どもを育てつつ、現地の産婦人科に勤務し、日本人の妊産婦さん方のサポートをしています。Web上でエミリオット助産院を開設し、助産師オンラインサービスで様々な相談も受けています。

※アンケート概要
実施期間:2019年5月30日~2019年5月31日
調査対象:子育てアプリ「ninaru baby」利用者
有効回答数:471件
収集方法:Webアンケート