小児科医ぱぱしょーの「泣き止まないだけで受診する理由になる」後編

はじめまして。小児科専門医で二児のパパのぱぱしょーです。
小児科医師と父親の立場から、子供の健やかな成長をサポートするための「ちょっとしたコツ」を発信しています。
今回は「泣き止まないだけで受診する理由になる/後編」をお届けします。

赤ちゃんが泣き止まない…!

赤ちゃんが泣き止まず、いつもと様子が違うとき「どこか具合が悪いのかな?」と不安になると思います。前編では、泣き止まない3つの理由についてお話しました。

今回は、赤ちゃんが泣き止まないときのママの心理や対処法について触れてみたいと思います。(パパの場合はママのところをパパに読みかえて読んでください。)

赤ちゃんが泣き止まない理由は3種類

赤ちゃん 手 親子

前編でご紹介したとおり、赤ちゃんが泣き止まない場合、次のような可能性が考えられます。

  • 緊急的に処置が必要なケース
  • 緊急的な処置は不要だが、何かしらの原因があるケース
  • 理由がなくても泣き続けるケース

このうち病気が隠れている場合は、医療処置が必要ですが、理由がなく赤ちゃんが泣き続ける場合、ママのストレスがピークに達することがあります。

赤ちゃんはママを責めているわけではない

ママ 悩み

赤ちゃんが泣き続けると、自分の育児を責められているように感じたり、「私のことが嫌いなの?」とネガティブに感じたりしてしまうこともあるかもしれません。

たとえ赤ちゃんが激しく泣いて、泣き止まないとしても、赤ちゃんはそんなネガティブなメッセージを発するために泣くわけではありません。

早く赤ちゃんを泣き止ませたい

赤ちゃん 泣いてる

特に家や部屋といった密室の中の育児では、泣き続ける赤ちゃんに焦りを感じ、早く泣き止ませたいという心理が働き、色んなことを試すと思います。

おっぱいやミルクを飲ませたり、抱っこしてゆらゆらしたり、ちょっと外に出てみたり、シャワー音やホワイトノイズを効かせてみたり、車に乗せて走らせてみたり…。

泣き止ませるために最初は軽くゆらゆらしていたのが、いつのまにか激しく揺さぶってしまうこともあるかもしれません。

「乳児揺さぶられ症候群」で脳障害が起こることはよく知られていますが、追い詰められてストレスを感じると、危険性を知っていても赤ちゃんを激しく揺さぶってしまう可能性があるのです。

泣き止まない赤ちゃんに、ママができること

水を飲む

あらゆる方法を試しても赤ちゃんが泣き止まないことがあります。

理由がわからず泣き止まない赤ちゃんと対峙してママが精神的に追い詰められたとき、どのような行動を取ればいいのでしょうか?

一旦その場から離れる

赤ちゃんが泣き止まずイライラしたら、赤ちゃんを安全な場所に寝かせて、一旦その場から離れましょう。

水を飲んだり、スマホを見たり、何でもいいのでひと呼吸置くようにします。

少しだけ一人になりましょう。

他に人がいれば対応をかわってもらう

1対1の育児ほどストレスを感じるものはありません。他に人がいれば、対応をかわってもらいましょう。

代わってくれる人がいなければ、SNSや電話で誰かに話を聞いてもらうのも一つの方法です。

親のストレスコントロールは、赤ちゃんを守るために必要なこと

赤ちゃん 泣く 抱っこ

赤ちゃんが泣いていても、大丈夫です。

赤ちゃんの泣き声が近所迷惑になるかと気にする必要はありません。

一番大切なのは、親のストレスコントロールです。

ここでの親のストレスコントロールは、赤ちゃんを守るための大切な「子育てスキル」です。

赤ちゃんが泣き止まなくて不安な場合は小児科を受診してもいい

この時期の赤ちゃんを泣き止ますために様々な方法が試されていますが、決定的なものは見つかっていません。

もし泣き止まない赤ちゃんにママが何かしらの不安を感じるようなら、小児科を受診しましょう。

小児科の現場で「泣き止まない」はとても大事な症状で、ときに重大な病気が隠れています。「泣き止まない」だけで十分に受診する理由に値します。


パパ小児科医

パパ小児科医

(ぱぱしょー)


二児の父で小児科専門医。子育て当事者の立場から、また医療者の立場から子供の健やかな成長をサポートするための「ちょっとしたコツ」を発信しています。
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