【連載第13回 うんでも、うまずとも。】LGBTと子づくりと


妊娠はするものの流産や死産を繰り返す「不育症」。原因が分かれば治療法が分かる場合もあるが、検査するもまったく異常なし。そして現在まで、いつか奇跡的に出産までたどり着けることを信じて、ただひたすら子づくりに励む日々が続く。そんななかで見つけた、養子縁組という、もうひとつの“母になる方法”。そんな42歳の編集者&バンドマンによる不妊治療と養子縁組の泣き笑い日記。連載13回、バイアスピリンを服用し始める。

青あざが治らない!

吉田けい うんでも、うまずとも
不育症検査の結果、正常値の範囲内とはいえ、血液を固める機能が少し高めの私には、もしかしたら効果があるかも、と血液をサラサラにすべくアスピリンによる治療を開始したのが2015年3月。

毎日基礎体温を測り、高温期に入ったら毎朝一錠ずつ、バイアスピリンを飲んだ。

せっかちの私は、すぐに効果が出ることを期待していたが、気づけば3月は終わり、4月の生理がやってきて、バイアスピリンの服用も一旦ストップした。

相変わらず基礎体温は見事な2層を描き、排卵日にバッチリのタイミングで夫と仲良くした、のに。そして生理も相変わらず規則正しく30日ぴったりでやってくる、のに。やっぱり妊娠しないもんだなぁ。

そんなすぐには、効果なんて出ないか……。

しかし、妙なところで効果は感じていた。とにかく血がサラサラなのだ。サラサラで止まりにくいのだ。

段ボールを潰していて指を切ったら絆創膏がすぐに血塗られて何度も交換しなければならない。ライブで暴れてこしらえた青あざが1週間以上経っても消えない。

そんなわけで、バイアスピリンを飲んでいる期間は、いつもより努めて慎重に過ごした(それでも青あざはつくってしまっていたが)。

そしてこの4月。私のバンドのセカンドアルバムが発売された。発売記念ライブを開催したり、販売促進のために渋谷のレコード店HMVでインストアライブをやったり、ツアーをしたり。

妊活が頭にあって、ツアー本数を減らしたとはいえ、なかなかハードな1ヶ月だった。

LGBTのインタビューを

そして2015年5月。仕事のつながりでLGBTのインタビューWEBメディアの立ち上げに携わることになった。

サイト全体の構成や文章のトーンを決めたり、インタビュー対象者を募集したりするなかで、私のもっとも重要な役割は、LGBT当事者とアライ(LGBTの支援者・理解者)にインタビューしまくって、原稿を書きまくるということだった。

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーMTF、トランスジェンダーFTM、Xジェンダー、クエスチョニング、パンセクシュアル、エーセクシュアル……さまざまなセクシュアリティの方々に話を聞くなかで気づいたことがある。

インタビューを受けてくださった、特に恋愛対象が同性の方や性愛を必要としない方、心と身体の性が一致しない方が語ったこと。

「こんな自分で、親に申し訳ない」

その理由として挙げられた主なことは、「孫の顔を見せてあげられないから」

コレ、誰かも言っていなかったか。

そう、私だ。

そのインタビューWEBメディアのキャッチコピーは「私を生きる。」

ほかの誰とも比べず、自分のままに、自分の人生を歩むことを目指すためのサイト。

そんな想いで立ち上げたのに、私が私を誰かと比べて苦しんでいた。結婚して子どもを産まなければ。親に孫の顔を見せなければ。親がいて子どもがいる“普通の家族”をつくらなければ。

インタビューを通して、たくさんの方々の人生や家族のかたちに触れるにつれて、家族の多様性について考えるようになった。

“普通の家族”に無理になろうとしなくてもいいんだ。子どもがいなくても、私たち夫婦が幸せだったら、いいじゃないか。それが私の人生なんだ。

そう思えて、とてもラクになった。

とはいえ、チャンスがあるなら子どもを産みたい。続きは第14回にて。

写真のこと:我が家の壁には、いくつかの額縁が掛けられているが、なかでもお気に入りなのがコレ。脳の説明図。私、いつも「PARENTAL LOVE(親心)」のところが異様に凝っていて、風呂場でツボ押しやってます……。なぜ。


吉田けい

吉田けい




1976年生まれ。編集者・バンドマン。2010年、6歳下の夫と婚前同棲をスタートして早々に、初めての妊娠&流産を経験。翌年に入籍するも、やっとの妊娠がすべて流産という結果に終わる。その後、自然妊娠に限界を感じ、40歳になる2016年に体外受精を開始。現在は不妊治療を継続しながら、養子縁組を目指す待機養親としても登録中。

実は、この記事の公開日である本日11月28日。そのサイトの初の書籍がちょうど発売されます。ご興味のある方は、みてくださると、とてもうれしいです。

『LGBTと家族のコトバ』(双葉社)

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