赤ちゃんのお世話のひとつである「耳掃除」。きれいにしたいなと思っても、耳を傷つけてしまいそうで不安なママは多いのではないでしょうか。
そこで今回は、赤ちゃんの耳掃除の頻度と安全に行うポイント、耳掃除のコツや注意点について、小児科医の武井先生のアドバイスと共に解説します。
赤ちゃんの耳垢の特徴は?
耳垢(みみあか/じこう)は、耳の中の皮脂が剥がれ落ちて、外部のほこりなどと合わさったもの。
赤ちゃんは新陳代謝がよく、耳の中で皮脂がたくさん分泌されるため、耳垢がたまりやすいのが特徴です。
そのため赤ちゃんの耳垢は、大きなかたまりとして出てくることがあります。
また一般的な耳垢は黄色ですが、赤ちゃんの耳垢は茶色っぽく見える場合もあります。初めて赤ちゃんの耳掃除をしたときには、黒い耳垢が出てくることも。
これは、お腹の中にいたときの羊水が耳の中に残って固まったものだと考えられていて、心配はいりませんよ。
赤ちゃんの耳掃除の頻度は?
前述のように赤ちゃんは耳垢がたまりやすいのですが、耳垢は自然と外へ出てくる仕組み(自浄作用)があります。
また耳垢には、外からのホコリやゴミが耳の奥に入るのを防ぐ役割もあるので、赤ちゃんの耳掃除はそれほど頻繁に行う必要はありません。
赤ちゃんの耳掃除は、月に1〜2回程度でよいでしょう。
とはいえ、赤ちゃんの耳の清潔さを保つために、毎日お風呂上がりに耳の縁や外側の汚れをガーゼで軽く拭き取ってあげるとよいですよ。
赤ちゃんの耳掃除はどこまでしていいの?
いざ赤ちゃんの耳掃除をしようと思っても、「一体どこまで綿棒を入れていいの?」と心配になるママも多いと思います。
そこでここからは、赤ちゃんの耳の構造と耳掃除をする場所を解説します。
赤ちゃんの耳の構造
赤ちゃんの耳は、大人と比べてとても小さく、耳の入り口から鼓膜までの長さは、約2cmしかありません。
また耳垢がたまるのは、耳の入り口から約1cmのあたり。耳の奥に見える耳垢はそのうち自然と出てくるので、無理に取る必要はありませんよ。
赤ちゃんの耳掃除をする場所
赤ちゃんの耳掃除は、耳の入り口あたりを綿棒でぐるっと1周させるだけで十分です。
このとき耳の中に入れるのは、ベビー綿棒の先から3分の2あたりまでを目安にしてくださいね。
耳の外側や縁は、濡らしたガーゼで優しく汚れを拭き取りましょう。
これで安心!赤ちゃんの耳掃除を安全にするための3つのポイント
赤ちゃんの小さな耳を掃除することは、最初はとっても不安だと思います。
ここからは、安全に赤ちゃんの耳掃除をするための3つのポイントをご紹介します。
1. 綿棒を使う
赤ちゃんの耳掃除をするときは、次の2つを用意します。
- ベビー綿棒
- ガーゼ
赤ちゃんの耳掃除に、竹や金属の耳かきはNG。
耳かきを使うと、赤ちゃんの耳の中を傷つけてしまう可能性があるので、必ず綿棒を使って耳掃除をしましょう。
2. 赤ちゃんの頭をしっかり固定する
赤ちゃんの耳掃除のときにいちばん危険なのが、赤ちゃんが動いて綿棒が耳に当たったり奥に入ったりしてしまうことです。
この写真のように、必ず赤ちゃんの側頭部を片手でしっかり固定して、耳掃除をしましょう。
3. 綿棒は短く持つ
どんなに赤ちゃんの頭を押さえていても、「赤ちゃんが急に頭を動かしたらどうしよう…」と心配なママも多いと思います。
そこでおすすめなのが、綿棒を短く持つこと。
綿棒の綿と柄の部分との境のあたりを持つと、赤ちゃんが動いても綿棒が耳の中に入りすぎることはないので、安心ですよ。
先輩ママ教えて!赤ちゃんの耳掃除のコツはある?
正しい方法を知っていても、気になるのは「うまくできるコツ」ではないでしょうか。
アンケート(※)で集まった、先輩ママたちの赤ちゃんの耳掃除をコツをご紹介します。
赤ちゃんの耳掃除はお風呂上がりに
ママたちから最も多く集まったのが「耳掃除はお風呂上がりがいい」という回答でした。
お風呂上がりは耳の中が湿っているので、耳垢がふやけて汚れが取りやすいようです。
ふーちゃんさん
お風呂上がりの少し湿っている状態がやりやすかったです。あと、疲れてあまり動かないタイミングも◎でした。
りさママさん
お風呂上がりは耳垢が湿っているので、優しくこするだけでとれますよ。
綿棒にベビーオイルをつける
綿棒にベビーオイルをつけるママも多くいました。綿棒をベビーオイルで湿らせることで、カサカサの耳垢も取れやすくなるようですよ。
ラムさん
耳の中が乾燥しているときは、綿棒にベビーオイルをつけて耳掃除をしていました。
ちぃさん
綿棒にオイルをつけると、傷つけることなくスムーズに耳掃除ができますよ。
なかにはオイル付きの綿棒を使っているママも。毎回ベビーオイルをつけるのが面倒だな…と思うママは、試してみるといいかもしれませんね。
ピジョン オイルがついてるベビー綿棒
普通の綿棒を使うと安心
助産師さんからのアドバイスで、ベビー綿棒ではなくあえて普通の綿棒を使うというママもいました。
確かに2つを比べてみると、普通の綿棒は赤ちゃんの耳の入り口あたりにフィットする太さなので、安心して耳掃除ができそうですね。
nappyさん
ベビー用綿棒は細くて奥まで入ってしまって逆に危ないので、大人用の綿棒を使っています。
授乳中に耳掃除をするママも
「赤ちゃんが急に動くと怖い」というママたちは、授乳中に耳掃除をしていました。
特に耳掃除を嫌がる赤ちゃんの場合は、大人しくなっているときにさっと耳掃除をするのがいいようです。
ただし、授乳中に赤ちゃんが絶対に動かないという訳ではないので、頭をしっかり固定することは忘れないでくださいね。
りっくんママさん
授乳しながら寝ちゃったときに耳掃除をすると、動かなくてやりやすいです。
赤ちゃんの耳掃除の注意点
赤ちゃんの耳掃除をするときには、次の2つに注意しましょう。
耳の奥の耳垢を取ろうとしない
コバさん
ついつい奥まで綿棒を入れ過ぎてしまい、キャッと大声で泣かれました…。
赤ちゃんの耳の中に大きな耳垢を見つけると、つい取りたくなってしまうかもしれません。
しかし、絶対に耳の奥に綿棒を押し込まないようにしましょう。
綿棒を無理に押し込むと、かえって耳垢が奥に入ってしまいます。また、綿棒で鼓膜を傷つけてしまう可能性もあります。
耳の奥に大きな耳垢を見つけて気になる場合は、耳鼻科で取ってもらうことをおすすめします。
耳掃除を頻繁にやりすぎない
ヨンちゃんさん
耳鼻科で診てもらった時に、耳の中に大きなカサブタがあり、注意されました。耳の穴を掃除しすぎたようです…。
耳の中はとてもデリケートで、傷つきやすい部分です。
耳垢がなかなか取れないからと、ゴシゴシと綿棒でこすったり、頻繁に耳掃除をしていると、外耳炎を引き起こす場合もあります。
赤ちゃんの耳掃除をするときは、あくまでも優しく汚れを拭き取るイメージで行いましょう。
赤ちゃんの耳掃除でセルフチェック!
こんな耳垢は要注意
赤ちゃんの耳垢が、液体のようなぐじゅぐじゅした黄色い耳だれのようになっている場合は、要注意。
風邪が原因でウイルスや細菌が耳の中が入って中耳炎を引き起こしていたり、耳掃除のしすぎで耳の中を傷つけて外耳炎になっていたりする可能性があります。
いつもと違う耳垢の場合は、耳鼻科を受診しましょう。
赤ちゃんの耳掃除は正しい方法でやろう!
耳垢は自然と出てくるので、赤ちゃんの耳掃除は神経質になりすぎる必要はありません。今回ご紹介したポイントやコツを参考に、安全に赤ちゃんの耳掃除をしてあげてくださいね。
ママが無理に耳垢を取ろうとすると危ないので、不安な場合は耳鼻科で耳掃除をしてもらいましょう。
※ アンケート概要
実施期間:2019年2月7日~2月8日
調査対象:生後1ヶ月〜4歳の子供をもつママ
有効回答数:261件
収集方法:Webアンケート
監修:武井 智昭
小児科/高座渋谷つばさクリニック
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。