【連載第26回 うんでも、うまずとも。】養子縁組の書類審査


妊娠はするものの流産や死産を繰り返す「不育症」。原因が分かれば治療法が分かる場合もあるが、検査するもまったく異常なし。そして現在まで、いつか奇跡的に出産までたどり着けることを信じて、ただひたすら子づくりに励む日々が続く。そんななかで見つけた、養子縁組という、もうひとつの“母になる方法”。そんな43歳の編集者&バンドマンによる不妊治療と養子縁組の泣き笑い日記。連載26回、養子縁組のための書類審査用資料作成に挑む。

子どものことを考えたくない

吉田けい うんでも、うまずとも。

3回の自然妊娠が流産に終わり、2回の体外受精による妊娠も流産。8回の採卵ののち、7回目の胚盤胞移植も着床せず。

初めての流産から8年。いよいよ、もう疲れた。

いつか自分の子どもを抱っこできるはずと、脇目も振らず不妊治療を続けてきた。

とにかく“数撃ちゃ当たる”と思って、どんどん採卵して、どんどん移植してきたけど、もう息切れ。

自分の意思で、次の採卵をお休みした。

今は子どものことを考えたくない。

しばらく、不妊治療のことも養子縁組のことも、考えたくなかった。

でも、そんな私たちに、養子縁組の仲介をしている民間団体Fの、養親になるための書類審査用資料の提出期限が迫っていた。

そう、考えたくないとか言ってられない。

目一杯、子どものいる未来を考えて資料を用意せねば!

限りなくゼロ近くまで下がっていた、私の心の“子どもへの情熱メーター”をグイグイとMAXにまで押し上げて、資料に向き合った。

大げさに聞こえるかもですが、この資料作成、生半可な気持ちでできるもんじゃないんです! それこそ情熱がないと途中で心が折れるほど、大仕事なんです!(ん? でもやっぱり大げさかも)

私たちが提出した資料は、登録審査申込書、質問票、家族構成確認票、履歴書、免許証の写し、住民票と戸籍謄本、所得証明書、健康診断書、家族アルバム、産みの親への手紙の10点。

あと、家庭の経済状況についての報告書も提出した。

書類作成が気持ちの整頓に

ここで、それぞれの書類について説明を。

登録審査申込書とは、夫婦の生年月日や住所など基本的なプロフィールを記入するもの。住居の広さや間取り、赤ちゃんの名前の候補を書く欄もあった。

質問票とは、私たち夫婦に養親となる心構えがあるかどうかを再確認するもの。「もし将来的に子どもに病気や障碍が出た場合でも、生涯あなたの子どもとして愛すことを理解していますか?」などの質問があった。

家族構成確認表とは、夫婦それぞれの家族の年齢や居住地、職業などを記入するもの。家族の理解を得られているか、いざというときに家族の協力が得られるかどうかも、審査のポイントになっているのだと思う。

履歴書とは、多くの人が一度は記入したことがあるだろう、あの履歴書のこと。学歴や職歴、免許や資格について記入した。

免許証はコピーをとって、住民票と戸籍謄本は区役所に取りに行った。いずれもコピーでOKだった。

所得証明書に関しては、夫婦それぞれの確定申告書のコピーを提出した。私たち、ふたりとも自営業なもので、所得証明といえば確定申告書。

健康診断書は、夫は最近の人間ドックの結果報告書のコピーを提出。私は、なるべくクイックに診断書を作成してくれる病院で健康診断を受けた。年に1度は健康診断しておかないといけないな、と反省。

家族アルバムとは、夫婦とその家族の写真、住居の各部屋の写真、夫婦それぞれの趣味の写真などを提出。部屋の中を人様にお見せできる状態にするための大掃除が大変だった。こまめに片付けしなきゃな、と反省。

そして、産みの親への手紙。養子を迎えられるかどうかも分からない段階なわけで、産みの親がどんな人か分かるはずもないのだけど、自分が産んだ子を私たちに託すと決断してくれた人の気持ちを想像しながら書いた。

感謝の言葉と、親となる決意を書いたつもり。

すべて、審査において何が正解か分からない。だからこそ、格好つけないよう、私たち夫婦の気持ちを素直に書くようにした。

あ、あと、家庭の経済状況についての報告書は、夫婦それぞれの収入と、家賃やローン、保険料、生活費の内訳などの金額を細かく記入して提出した。

資料を完成させるまで1週間ほどかかったかな? なんだか達成感があった。

そして何より、私たちがなぜ子どもがほしいと思うのか、もう一度、考える機会になった。

続きは第27回にて。

写真のこと:少しだけ血が固まりやすいかも、と言われている私のために、友人がブレンドしてくれている韃靼蕎麦茶。血液サラサラ効果が期待できて、黒豆や生姜も入ってる。よ〜くかき混ぜて、パックに詰める作業中。


吉田けい

吉田けい




1976年生まれ。編集者・バンドマン。2010年、6歳下の夫と婚前同棲をスタートして早々に、初めての妊娠&流産を経験。翌年に入籍するも、やっとの妊娠がすべて流産という結果に終わる。その後、自然妊娠に限界を感じ、40歳になる2016年に体外受精を開始。2018年11月、構成・編集を手がけた書籍『LGBTと家族のコトバ』(双葉社)を出版。

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