夏になって暑い日が続くと、赤ちゃんがいる部屋の室温は何度に設定すればよいのか迷う人も多いと思います。
「室温は28度に設定」と書かれた育児書もあり、少し暑くない…?と感じるママやパパもいるかもしれませんね。
夏場、赤ちゃんがいる部屋の室温はどう調節すればよいのか、基本となる考え方を助産師の佐藤先生に聞いてみました。
8割の家庭でエアコンを利用!
でも、赤ちゃんの体の冷えが心配!
編集部では、「昨年の夏に赤ちゃんのいる部屋でエアコン(冷房)を使いましたか?」というアンケートを実施(※)しました。
すると、220名以上の先輩ママから回答があり、北は北海道から南は沖縄県まで約8割のママがエアコンを利用していたことがわかりました。
さらに、冷房を使う際にどんな点に注意していたか聞いたところ、以下のような結果に。
● 赤ちゃんの体が冷えていないか
● 赤ちゃんに風が直接あたっていないか
など、赤ちゃんの体が冷えすぎていないかを心配している人が多いこともわかりました。
ママやパパにとっての快適な室温が赤ちゃんにとっても快適なのかわからず、調節に苦労している人が多いのかもしれませんね。
赤ちゃんにとって最適な室温は何度?
アンケートの結果から、多くのママは冷房を使うことで赤ちゃんの体が冷えすぎないかを気にしていることがわかりました。
では、何度なら赤ちゃんにとって最適な温度と言えるのでしょうか?助産師の佐藤先生に聞いてみました。
佐藤先生
その日の気温や居住環境などによっても異なるため、何度が赤ちゃんにとって適当な室温ということは言えません。
赤ちゃんのいる部屋の室温は、外気温との差を4~5度以内を目安にしましょう(※1)。たとえば、気温が32度なら、室温を27〜28度くらいに設定するといった具合です。
赤ちゃんは体温を調節する機能が発達しておらず、周囲の温度に影響を受けて体温が上がったり下がったりします。なので、涼しい室内から暑い屋外に出ると、急激な温度変化で赤ちゃんの体に負担がかかってしまいます。
できるだけ屋外との温度差を作らないように、室内が冷えすぎないよう注意してください。
室温が低くないか、見極める方法は?
赤ちゃんのいる部屋の室温の目安はわかりましたが、赤ちゃんの体が冷えていないか気になるママも多いのではないでしょうか。
赤ちゃんの体が冷えていないか、赤ちゃんが快適に過ごせているかどうかは2つの方法でチェックできます。
方法① 体温が平熱の範囲内か
乳幼児であれば37度±0.5度が平熱なので、体温がこの範囲かどうかチェックします。
平熱の範囲よりも低いようなら室温を上げたり、服を1枚追加するなどして調節しましょう。
方法② 足が冷たくないか
赤ちゃんが寝ているときなどに、タオルケットをかけていても足先が冷たいときは、体温が低くなっている可能性があります。室温を上げるか、もう1枚タオルケットをかけてあげましょう。
赤ちゃんの手を触って寒い/暑いを判断する人もいますが、手は服やタオルケットから出ていることが多いため、体温に関係なく冷たいことがあります。寒いかどうか判断しにくいので、足先を触るようにしましょう。
佐藤先生
赤ちゃんにとって快適な環境は、以下も目安になります。
● 室温が24~26度
● 湿度が50~60%
一つの基準として、覚えておくといいですよ。
ちなみに、春〜夏であれば赤ちゃん(1歳頃まで)の衣類は肌着+ロンパース(おすわりができるようになってからは、肌着+上下セパレートの服も可)が基本。衣類2枚を着せた状態で、上記の環境になるよう調整しましょう。
1歳頃になったら肌着はなくし、上下セパレートの衣類だけでも十分です。
赤ちゃんの体を冷やしてしまう勘違いとは?
赤ちゃんの様子をこまめに見ているママでも、意外と見落としてしまうポイントもあるそう。当てはまるものはありませんか?
室温計で温度を確認すればOK?
アンケートの結果、約6割のママがエアコンの設定温度のほかに、室温計の温度もこまめに確認していました。ですが、これだけでは十分ではないそうです。
佐藤先生
赤ちゃんの近くに室温計を置いてチェックするのが大切なポイントです。
というのも、室内の場所によって温度が異なり、たとえば、床の近くは温度が低くなりやすいんです。
床に布団を敷いて赤ちゃんを寝かせている場合は、背中や足が冷たくないか確認し、必要があれば追加でタオルケットなどを1枚かけてあげましょう。
エアコンはスイング機能を使えばOK?
冷気が一か所にたまらないように、部屋全体が快適な温度になるようにスイング機能を使う人もいるのではないでしょうか。
ですが、エアコンのスイング機能の使い方でも注意点があるそうです。
佐藤先生
はじめにも紹介したように、赤ちゃんは体温を調節する機能が発達していません。冷たい風が直接当たると、その影響で体温が急激に下がってしまいます。
スイング機能を使う/使わないに関わらず、赤ちゃんには冷風が当たらないように、寝かせる場所に注意をしてください。
外気温と4~5度の差を目安に室温調整を
赤ちゃんは「暑い」や「寒い」といった意思表示ができないため、大人が気づいて温度調節してあげることがとても大切です。
赤ちゃんにとって最適な温度は、一定ではありません。外気温との差を4~5度を目安に室温をあわせ、赤ちゃんの体温などを参考にうまく調整していきましょう。
取材協力:佐藤 裕子
助産師 / マタニティハウスSATO
日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助産院では、日々多くのママたちからの母乳相談や育児相談を受けています。具体的に悩みを解決でき、ここにくると安心してもらえる、そんな助産師を目指しています。
※ アンケート概要
実施期間:2019年5月5日~5月6日
調査対象:子育てアプリ「ninaru baby」利用者
有効回答数:223件
収集方法:Webアンケート