腱鞘炎、肩こり、腰痛…毎日赤ちゃんのお世話をするなかで体の不調が起こるママは少なくありません。授乳をしているときに湿布に頼ってもいいのかな?と気になっているのではないでしょうか。
そこで今回は、産婦人科医の藤東先生に授乳中の湿布を貼ってもいいのかや正しい貼り方を教えてもらいました!
そもそも授乳中に湿布を貼っていいの?
湿布は飲み薬に比べてママの体に吸収される薬の成分量は非常に少なく、母乳に入る量はごくわずか(※1)。
極端な使い方をしなければ、湿布の成分が赤ちゃんに影響する可能性は低いと考えられています。痛みがつらいときは無理せず、湿布に頼ってくださいね。
授乳中に使える湿布って?
授乳中に湿布を使いたい場合は、なるべく病院などを受診し、授乳中でも使える種類の湿布を処方してもらうことをおすすめします。
処方される湿布薬について
腰痛などの痛みに対して処方される湿布には、以下のものがあります。
● インドメタシン(インテナース・イドメシン・アコニップ・カトレップなど)
● ケトプロフェン(モーラス)
● サリチル酸グリコール(GSプラスターC)
● サリチル酸メチル(MS冷シップ・MS温シップ)
● ジクロフェナク(ボルタレン)
● フェルビナク(スミル・セルタッチ)
● フルルビプロフェン(アドフィード・フルルバン・ゼポラス・ヤクバン)
● ロキソプロフェン(ロキソニン)
いずれも授乳中には安全に使用できると考えられているので、用法用量をきちんと守って使ってくださいね(※2〜5)。
市販の湿布薬について
市販の湿布を購入したいときは添付文章をよく読み、授乳中の使用が禁止されていない湿布を選びましょう。
授乳中の使用を禁止していない市販の湿布には、ロキソニンSテープやサロンパス、フェイタスなどがあります(※6〜8)。
インターネット通販でも購入できますが、店舗で薬剤師や登録販売者に確認してから購入すると安心です。
藤東先生
「ケトプロフェン」という成分が入っている湿布は、日光が当たるとかぶれるおそれがあります。貼ってから4週間以内は紫外線に注意しましょう。できれば病院を受診して、医師や薬剤師にしっかりと説明を受けてくださいね。痛みの出ている部位によっても、有効的な湿布の種類は異なります。このあとそれぞれ解説していきますね。
授乳中の湿布、正しい貼り方は?
湿布の効果を最大限に発揮するために大切なのは「貼り方」です。何となく貼るとせっかく効果が半減してしまうので、正しい貼り方をマスターしましょう。
次からは授乳中に気になる体の部位別に、湿布の貼り方を藤東先生に伝授してもらいます!
授乳中に腰が痛い場合
大きめの湿布で腰回りを大きくカバーする貼り方です。自分で貼ろうとすると、湿布がよれたりしてうまく貼れないかもしれないので、家族やパートナーにお願いするのがおすすめですよ。
藤東先生
なるべく大きめの湿布を使いましょう。余裕があれば、お尻の上あたりまで貼れると良いですね。
授乳中に手首が痛い場合
手首から親指を包むようにして湿布を貼る方法です。湿布の端に切り込みを入れて、切り込みが親指と人差指の間に来るように貼りましょう。
藤東先生
手首周辺が痛いときは、授乳などの負担によって炎症が起きている可能性があるので、鎮痛薬などが入っている湿布を使うのがおすすめです。
手首や親指の付け根の筋肉だけでなく、肘下にある筋肉をケアするのも効果的なので、そこに湿布を貼るのも良いですよ。
授乳中に肩が痛い場合
首から肩にかけて左右それぞれ湿布1枚ずつ、肩甲骨の内側あたりに左右それぞれ湿布1枚ずつ、合計4枚の湿布を使った貼り方です。
1回に4枚と多めに貼るので、添付文書や医師の指示を確認して、枚数制限以上になっていないかを確認してくださいね。
藤東先生
首から肩にかけて横向きに貼った湿布は、後ろ側だけでなく、鎖骨の上の方まで覆うようなイメージで貼りましょう。カバーできる筋肉が多くなり、より湿布の効果が発揮されますよ。
授乳中の痛みは、
湿布だけでなくストレッチもおすすめ!
授乳中の痛みには湿布のほかにストレッチを併用すると効果的です。藤東先生に授乳中におすすめのストレッチも教えてもらいました!
藤東先生
無理せずコツコツやってみましょう!継続は力なりです。
授乳中に腰が痛い場合
腰回し
- 足を肩幅に広げて立つ
- 肩の力を抜き、腰に両手をあてる
- 水平に腰を回す
猫のポーズ
- 膝を肩幅に開き、両手は両肩の真下にくるような姿勢で四つん這いになる
- 息を吐きながら、おへそを見るようにして背中を丸めていく
- 息を吸いながら、背中を気持ちよい所まで反らす
- 2~3の動作を2、3回繰り返す
授乳中に手首が痛い場合
手首伸ばし
- 両手の指を大きく広げて壁におく
- 壁に両手をギュッと押し付けて手首の前側の伸びを感じる
3. 手の向きを反対にして、同じことを行う
親指伸ばし
- 右手の親指を下に向け、左手でつかむ
- 適度な強さで、親指を反らせるように後ろに引っ張る
ツボ押し
授乳中の腱鞘炎には、「合谷のツボ」と呼ばれるツボを押すのもおすすめです。合谷は、写真のように、親指と人差し指から伸びる骨の境目あたりにあります。
授乳中に肩が痛い場合
1. 両腕を頭上にまっすぐ伸ばし、両手のひらをぴったりあわせる
2. 息を吐きながら、肩甲骨を寄せるようにして、肘を曲げる。手のひらは外向きに。
3. 5回繰り返す。ゆっくりから始めて、慣れてきたらテンポよく行いましょう。
授乳中に痛みがあるときは湿布を頼ろう!
授乳中のママは赤ちゃんのことで忙しく、自分のことが後回しになりがちです。痛みがつらいときは湿布に頼りながら、自分の体もきちんとケアしてあげてくださいね。
監修医師:産婦人科医 藤東 淳也
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
※1 国立成育医療研究センター「授乳中のお薬Q&A」
※2 国立成育医療研究センター「授乳中に安全に使用できると考えられる薬 – 50音順 -」
※3 三笠製薬株式会社「スミルテープ35mg・70mg 添付文書」
※4 祐徳薬品工業株式会社「GSプラスターC「ユートク」 添付文書」
※5 大鵬薬品工業株式会社「「MS冷シップ「タイホウ」 添付文書」
※6 第一三共ヘルスケア株式会社「ロキソニンSテープ 添付文書」
※7 久光製薬株式会社「サロンパス 添付文書」
※8 久光製薬株式会社「フェイタスZαジクサス 添付文書」