赤ちゃんとコミュニケーションが取れるようになるので、育児がグッと楽になる「ベビーサイン」の連載第2回目。
日本ベビーサイン協会の長屋さんに、ベビーサインの始め方や生後6〜7ヶ月頃におすすめのサインをお聞きしました(前回記事は下記を参照してください)。
ベビーサインを始めるのに特別なことはない
−今日帰ったら、さっそく娘にベビーサインを教えてみようと思うのですが、どうやって始めればいいんでしょうか?
日本ベビーサイン協会・長屋さん:特別なことは必要ないんですよ。
普段の生活の中で、ママやパパが赤ちゃんに語りかける場面があると思うんですが、そのときにサインを一緒にやってあげるだけでOKです。
目にするものや触れるものを「お手てで表現するとこうなんだよ」と、語りかけるときに手の動きを見せていると、赤ちゃんはだんだんとベビーサインを理解していきますよ。
−サインを覚えるためだけの時間は作らなくていいんですか?
長屋さん:はい。覚えるサインの数をあらかじめ決めておく必要もありません。
初めてのおすすめは【おっぱい・ミルク】【もっと】【おしまい】
−では、生後6・7ヶ月くらいでベビーサインを始めようと思ったときに、おすすめのサインがあれば教えてください。
長屋さん:初めてベビーサインに挑戦するのであれば、【おっぱい・ミルク】【もっと】【おしまい】がおすすめですね。
−なるほど。それはなぜでしょうか?
長屋さん:毎日使えて、赤ちゃんのお世話に役立つからです。
【おっぱい・ミルク】を赤ちゃんが覚えてくれてお腹が空いたときにこのサインをしてくれると、本当に助かるんですよ。泣いて訴える必要がなくなるので、赤ちゃんにとってもママにとってもストレスが減ります。
【もっと】は食べ物だけでなく、絵本やお遊びにも使えて便利です。赤ちゃんがどんなものに興味があるかがわかるので、育児が楽しくなりますよ。
【おしまい】もいろいろな場面で使えます。お腹いっぱいになったときや、遊び疲れたときに、赤ちゃんが自分からこのサインをすることもあるし、ママの方から「もうおしまいだよ」と語りかけることもできます。
−ぜひ、やり方を教えて欲しいです!
長屋さん:もちろんです。
【おっぱい・ミルク】のベビーサインは?
長屋さん:片手を胸の前でグー・パーするのが【おっぱい・ミルク】のサインです。
赤ちゃんを抱っこしながらミルクを作ったりしていると、このサインをしてくれたりしますよ。
「ミルク」を「母乳」と区別したいときは
−母乳とミルクを区別したいときはどうしたらいいですか?
長屋さん:あえて区別する場合、ミルクのときは【粉ミルク】のサインを使いましょう。片手で哺乳瓶を持ちながら、スプーンで粉ミルクをすくって入れる動きが【粉ミルク】のサインですよ。
【もっと】のベビーサインは?
長屋さん:両手の指先を軽く閉じて、そのままトントンと指先同士を触れ合わせるのが【もっと】のサインです。
赤ちゃんが食事中にこのサインをしたら「もっとちょうだい」の意味だし、絵本を読み終えたときにしたら「もっと読んで」、遊び終えたときにしたら「もっと遊んで」という意味になりますよ。
【おしまい】のベビーサインは?
長屋さん:【おしまい】のサインは、開いて上に向けた手を素早く回転させて下に向ける、というものです。
−このサインは使える場面が多そうですね。
長屋さん:そうですね。例えば、お風呂がおしまい、遊びがおしまい、絵本がおしまいなど、物事の区切りのたびに【おしまい】のサインを見せてあげるといいですよ。
手話をベースにしたサインが便利な理由
−どのサインも1日何回も使ってしまいそうですね。ところで、ベビーサインは今教えていただいた通りの動きでなければいけないんですか?
長屋さん:いいえ。例えば【おっぱい】のサインの動きが、必ずしもグー・パーである必要はありません。今紹介したのは、あくまで当協会がおすすめしている動きです。各家庭でオリジナルの動きを考案してもらってもかまいませんよ。
ただ、サインの動きを自分で考えるのって結構たいへんじゃないですか?
−確かに。1個や2個ならまだしも、10や20になると大変な気がします。
長屋さん:それに、サインの動きが共通していると、ママが他の家庭の赤ちゃんとサインを使えたり、保育園でも先生とお子さんがコミュニケーションが取れたりして便利なことが多いんです。
先生に簡単なサインを覚えてもらえれば、「今日、○○ちゃん、元気に【ミルク】のサインしましたよ」と、保育園での子供の様子を教えてくれることもあるので、先生とママのコミュニケーションにも役立つんですよ。
−それはいいですね。日中の子供の様子は多くのママ・パパが気になることだと思います。
長屋さん:当協会でおすすめしているサインは、アメリカ手話をベースにしたものと日本手話をベースにしたものがあります。どちらを選ぶかは各ご家庭のご自由にしていただいてます。
−オリジナルのサインを作るのは大変なので、手話の動きを参考にしたサインをおすすめしているということですね。よくわかりました。
次回は、赤ちゃんがベビーサインをしてくれないときの対処法!
娘がお座りもできなかった頃を思い返すと、おっぱいを吸っているか、寝ているかのどちらかしかしていませんでした。そのイメージがあまりにも強烈だったせいか、赤ちゃんは「おっぱいが欲しい」「眠い」のどちらかしか欲求がないのだと、勝手に思い込んでいました。
でも、長屋さんにお話をうかがっていると、まったくそんなことはないというのがよくわかります。赤ちゃんも様々な欲求や感情を持っていて、ベビーサインを使っていろいろとママやパパに訴えかけてくるようですね。
お話しを伺っている最中にも、早く家に帰って娘にベビーサインを教えたいと思ってしまいました。
次回の連載第3回では、ベビーサインを教え始めたママたちの多くが抱く、「一体いつになったら子供がベビーサインを使うようになるのか?」「いつまでたっても子供がベビーサインをやってくれない!」といった疑問や悩みについて、長屋さんにお聞きします。
ご期待ください!
取材協力
参考書籍
『親子で楽しむベビーサイン』(実業之日本社/吉中みちる・まさくに著)
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