離乳食中期は歯茎を使ってつぶす「もぐもぐ期」、後期は歯や歯茎で食べ物を噛む「かみかみ期」と言われていますが、この時期に「離乳食を噛まずに丸のみする」という赤ちゃんは少なくありません。
そこで今回は、日本小児科学会専門医の武井先生に、離乳食中期〜後期の赤ちゃんが離乳食を丸のみする理由を聞いてみました。先輩ママが実践している対処法も紹介するので、参考にしてみてくださいね。
離乳食を噛まずに丸のみしてる!?
離乳食中期〜後期になると、歯茎でつぶせる程度の固さにして離乳食を作ります。ある程度固形であるはずの離乳食ですが、赤ちゃんが食べている様子をみて「噛まないで飲み込んでいる?」と、戸惑ったり心配したりするママは多いようです。
Kママ
離乳食中期、子供に多少形のあるものをあげるようになったのに、すぐに口の中からなくなっていて…。これは噛んでいないなと思いました。
かわさん
生後9ヶ月のわが子。5mm角のものでも噛まずに丸のみ。うちと同じくらいの子は「カミカミ期」らしいけど、うちは「ゴックン期」です…。
puntand*°さん
離乳食を少し固めにしたのですが丸のみをしてしまい…。そのせいかうちの子はお腹の調子を壊してしまって…。
なかには、お腹の調子に影響したというママもみられました。消化に負担がかかるとなるとどうにかしたいですね。
どうして赤ちゃんは離乳食を丸のみするの?
「噛む」という動きは、歯や顎の発育につながったり、満腹感が増して食べすぎを防げたりする働きもあるので、できれば噛んで食べてほしいもの。
なぜ、赤ちゃんは離乳食を噛まずに飲み込んでしまうことがあるのでしょうか。武井先生に考えられる理由を聞きました。
武井先生
赤ちゃんがモグモグ・カミカミしないのは、まだ「噛む」ということがどうやってするものなのか理解していないからだと考えられます。
ほかにも、まだ味覚が充分に発達していないため、大人のように噛んで味わうということをしないので、噛まずに飲んでしまうんです。
離乳食をしっかり噛んでほしい!
先輩ママおすすめの対処法は?
そんな赤ちゃんに対して、先輩ママはいろいろな方法で離乳食を噛むよう促していました。
ここでは、先輩ママが実践している方法とともに、その方法に関する武井先生からのアドバイスや意識するといいポイントを紹介します。
大人もモグモグと口を動かして真似をさせた
いちばん手軽に取り入れられそうなのが、赤ちゃんの前でお手本を見せるという方法です。
Mママ
モグモグして見せれば真似っ子して噛んでくれると思い、子供が口に物をいれたとき、顔の目の前でモグモグして見せました。
なんだか面白かったらしく、キャイキャイ笑いながら同じようにモグモグしてくれるようになりました。子供の気を引くのも大切なのかも。
武井先生
ママ・パパが食べる真似をして見せるのは効果的ですね。ゆっくり噛む真似をするのがポイントです。
赤ちゃんが真似をすれば、「噛む」という動作を理解することにつながり、離乳食を噛むことを覚えます。
食べ物の大きさと固さにこだわった
赤ちゃんが自発的に噛むように、固さやサイズを変えたというママも。
まおさん
息子は離乳食を丸のみしていたのですが、いつもより大きめにカットしたバナナの輪切り1/4サイズをあげたら、ちゃんとモグモグごっくんしました!
つまりは大きければちゃんとモグモグする…私が食べ物を細かくしすぎていたのですね。
真由美さん
離乳食を丸のみして詰まらせるから保健師さんに相談したら、「離乳食が柔らかすぎる!パンぐらいのものをあげてごらん」と言われ、パンをあげてみました。
すると、ちゃんとモグモグしてパンを食べていました。私が子供を赤ちゃん扱いしすぎていました。
武井先生
少し大きめでほどよく柔らかいものを与えることは、噛むことを促すのに効果的な方法です。
あげるものの形状は、バナナの1/4くらいのサイズでやわらかいものが良いですよ。
パンは、バナナと同じく噛むことを促す食事の形状であり、甘みもあるので、赤ちゃんも好んで食べるのではないでしょうか。
ほかにもりんごやにんじんも、カットしてやわらかくすれば、咀嚼を促すのにぴったりですよ。
噛むことを促すときは
食道につまらないように注意!
赤ちゃんが噛むように促すときは、食べ物を少し大きめにしたり、噛みやすい固さにしたりすると良いとご紹介しましたが、その際に注意したいことを聞きました。
武井先生
噛むことを促すときは、固いものや大きすぎるものを与えないように気をつけてください。
まだ食べることに慣れていないので、噛まずに飲み込んで食道や気管にものを詰まらせる可能性があります。
赤ちゃんにあげるときは、丸のみしていないか、喉に詰まらせて苦しそうにしていないかなど赤ちゃんの様子を見てあげてくださいね。
これまで与えたものから、急激に大きくしたり固めにしたりするのは禁物です。様子をみながら、少しずつ変えていきましょう。
噛む動きを見せることや
噛みやすい大きさ・固さを試してみよう!
赤ちゃんが離乳食を噛まないのは、「噛む」ということをまだ理解していなかったり、噛まなくても食べられる柔らかさだったりすることが要因ということがわかりました。
離乳食を噛まずに丸のみするときは、先生のアドバイスや先輩ママの対処法を参考に、赤ちゃんの様子を見ながら試してみてくださいね。
取材協力:武井 智昭
小児科/高座渋谷つばさクリニック
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。