「父勉」という名の育休を約1年過ごした鈴木おさむさん。前回は、著書である「ママにはなれないパパ」の内容にふれながら、パパ目線の育児についてインタビューをしました。
今回は「父勉以降」の現在にかけて、息子の笑福くんと妻の大島美幸さん(森三中)との関係性や、夫婦で仕事復帰した現在の生活のなかで意識している「家族の時間のつくりかた」について伺いました。
ママの一言は子供に大きく影響する
ー仕事の合間に家に戻られていることもあるようですが、たまたまできた空き時間に戻られているんですか?
そうですね。車で移動しているからできることなんですけど、それは意識してやってますね。
ーそのことを大島さんはどんな風に感じているのでしょうか?
妻は自分が嬉しいというより、子供にとってどうかっていう目線で言いますね。僕が子供とどんな関係性を築いていくかっていう意味で。
ー本の中には、大島さんが「今日お父ちゃんがいないのは仕事を頑張っているから」と、お父さんがいない時間の意味をお風呂の中で笑福くんに伝えるエピソードがありますよね
僕が1年休んで僕なりに努力もしたので、その評価を妻がしてくれているんだと思います。
子供との関係性は過ごした時間に比例するってことは、母親が一番わかってるじゃないですか。
逆に言うと、母親は子供を洗脳することもできちゃいますよね。たとえば、母親が「お父さんはバカ」って言い続ければ、子供は父親をバカだと思ってしまう。
シングルマザーの母親に育てられた芸人さんから聞いたのですが、「父親はろくでもない」という話を母親からずーっと聞かされて育ったらしいんです。で、彼が自分が親になって自分の子供と向き合ったときに、そのことを「おそろしい」と思ったんですって。
世の父親は、もっとそのおそろしさに気づくべきですよね。
子供が過ごす環境ってとても大事
出典: 鈴木おさむオフィシャルブログ ( ameblo.jp )今年8月に海を攻略した笑福くん。
ー「父勉休業を終えたあとは、ついつい家族との時間が少なくなりがち」というお話が本の中に書かれていましたが、仕事復帰以降、家族との時間で意識していることってありますか?
僕はまず、妻には今日は何があったとか、最近何をしたとかを必ず報告するようにしています。そして子供とは、たとえ15分でもちゃんと相手をする。子供のテンションが上がるようなことをするんです、かくれんぼでも、ほかに好きな遊びでもなんでも。
ー仕事復帰後、生活スタイルもだいぶ変わったと思いますが、笑福くんとの過ごし方で変わったことはありますか?
僕と子供、ということではないんですが、子供が2歳くらいの頃から、妻の不在のときは、子供を栃木にある妻の実家に預けるようになりました。それまでは、妻のお母さんがこっちに手伝いに来てくれてたんですけど。
子供が向こうに行くと、めっちゃかわいがられるんですよ。人の愛情受けて育つってすごいなって思いますね。
妻の実家で良いのは、自然がいっぱいあること。春なら田植え、秋なら収穫。田んぼにいけば虫がいるし、野菜は採って食べるし。お金出してキャンプとかしなくても、そういう生活を3ヶ月に1回でもできるっていうのは、子供にとってすごく大きいことですよね。
ーブログでは栃木でとったカブトムシを飼っている様子も書かれていますね
自然の中で捕ったら、戦いに負けて角が折れているカブトムシなんかもいるんですよ。そういうのを子供が見て「なんで折れてるの?」とか聞いてくる。角が折れてるカブトムシなんて、お店では売ってないですよね。そういう経験って、大事だなあと思います。
僕の実家は千葉の房総なんだけど海が近いんです。子供が去年は海が怖くては入れなかったけれど、今年は保育園で水遊びをしているからか、海も入れるようになって。
僕の実家には海があり、妻の実家には自然があり、実家に行けばおじいちゃんやおばあちゃんにも遊んでもらえる。与えられている環境は最大限利用した方がいいなって思いました。
寂しいと感じてくれたことがうれしい
ー先日のブログで、大島さんが海外出張されるときに初めて笑福くんが泣いたとありましたね
妻は出張のたびに泣いてましたけど、笑福が泣いたのは今回が初めて。最近なにかにつけて「ママがいい」って言うんですよ。母親と離れることに「寂しい」という気持ちを出すようになりました。
妻が出発するときに泣いたあと、僕は子供を抱っこしたり好きな動画を見せてあげたり、アイスでつってみたりしたんです(笑)。そうしたら10分くらいで泣き止んで、「もう泣いてないよ」って自分から言ってきました。離れる瞬間だけさみしいって、自分でもわかってるんですよね。
その翌々日に妻の実家の栃木に連れて行ったんですけど、今度は僕と離れるときに笑福が泣いたんですよ。やっぱうれしいですよね、そういう気持ちになってくれたんだって。
子供が楽しむことを夫婦で分担する
ー本のタイトルは「ママにはなれないパパ」ですが、逆にママもパパにはなれない部分ってないでしょうか?
僕は、妻がいないときに子供にどういう体験をさせるかを常に考えていますね。
妻の実家に行く途中、上野で開催されている香川照之さんの昆虫展に連れていったりとか。虫が苦手な母親が多いのか、昆虫展って父親が子供と来ることが多いみたいですね。子供はすごい喜んでいましたよ。
父親と母親と子供の3人で一緒にやった方がいいこと、母親と子供でやった方がいいこと、父親と子供でやった方がいいことって、それぞれありますよね。例えばガチャガチャとかね。母親ってわざわざ子供をゲーセンにつれていかないでしょ?
先日は、僕と子供でジュラシックワールドを一緒に見に行きました。僕は映画が大好きなので、映画は僕が連れて行こうと。
母親と父親の遊び方の種類の違いみたいなものを意識して、遊びも上手に分担するとすごくいいなって最近思います。
夫婦・家族のありかたを考えてみる
ー最後に、著書「ママにはなれないパパ」で伝えたいことを教えてください
育児中は日々のできごとが流れていってしまいますよね。あまりにも怒涛のように時間が過ぎていくので。
「こんなことあったなー、こういうことだったなー」って、1回ずつかみしめる時間もないだろうから、お母さんにはこの本を読んで、もう1度かみしめてもらえたら良いですね。「あるある」って笑ったり、共感してもらったり。
お父さんには、最初にも言いましたが、仕事と家庭と分けて考えがちだけど、意外と分けて考えない方がいいということ。どっちもがんばる、どっちも楽しむ。
家庭をがんばるっていうと「がんばらなきゃいけないのか…」と思うかもしれませんけど。でもがんばらなきゃいけないんですよね。根性いるし。
最近、60歳くらいで最近熟年離婚される人って僕の周りにもいて。「まさか俺が」って思うんですけど、でも捨てられるんですよ、ほんとに多い。そんな切ないことってないですよね。
子供が大人になったときにのことも考えて、常に家庭というものを意識していかないと、男ってほんとに簡単に捨てられるなって。
そうならないためにも、子供が生まれたら、将来の夫婦のありかたっていうのを考えるのも意外と大事なのかなって思いますね。
全2回にわけてお届けした、鈴木おさむさんの育児や家族に対する思い。妻がどんなことを感じているのか、夫がなにを思っているのか、お互いを知るきっかけとしても、「ママにはなれないパパ」おすすめです。
鈴木おさむ著「ママにはなれないパパ」