多くのママから「出産後、思うように母乳が出なくて悩んだ」という声を聞きます。出産という大仕事を終えたばかりのママの体は、ママが思う以上に大きなダメージを受けています。
そして、慣れない赤ちゃんのお世話で十分な睡眠が取れず、疲れきってしまっている人も少なくありません。
「いつになったら完母でいけるようになるの?」
今回は、混合を経て、完全母乳育児になったママたちのリアルな声をご紹介します。
新生児期は最も母乳に悩むころ
「ninaru baby」のアンケート(※2)で、大半のママが新生児期に母乳の出に悩みを抱えていたと回答しています。
新生児期のママの体は出産のダメージから回復しきっていなく、思うように体が動かない時期です。
赤ちゃんもおっぱいをまだ上手に吸えなかったり、満足するまで飲む体力がなかったりして、授乳が上手くいかないことも少なくありません。
加えて、産後のホルモンバランスの変化で情緒が不安定になるママも少なくなく、悩みが深くなってしまうこともあります。
「いつになったら母乳が出るの?」
先のアンケート結果からもわかるように、新生児期は思うように母乳が出ずに、悩んだママが多く見られました。
生後すぐのタイミングからミルクの力を借りつつ、おっぱいのマッサージをしたり、頻回授乳をしたりして、完母を目指してたという声が多く聞かれました。
そのときの苦労や悩みは、並々ならぬものがあります。
子供の口が小さく、そして、私のおっぱいが陥没乳頭だったこともあり、生後2週間、まったくおっぱいを飲めない日が続きました。
母乳外来に行ったり、乳首と手首が痛くなっても泣きながら搾乳し続けました。
産後のホルモンバランスの影響か、精神的にも不安定で涙が止まらず「このままおっぱいを飲ませてあげられないのでは…」と考えてばかりいました。
ゆゆママ
「赤ちゃんに吸わせていればおっぱいが出るようになる」と指導されたけれど、どれだけ頻回授乳を頑張ってもおっぱいの量が増えず、辛かったです。
吸わせても吸わせても子供は泣いてばかりで、いつになったら母乳が出るようになるんだろう…と、ずっと思っていました。
完母にたどり着いたのは、生後2ヶ月半のときでした。
Aママ
完母になったタイミングは人それぞれ異なりますが、ちょうど半数の人が生後1ヶ月以降になって完母に移行していました。
数ヶ月間をかけて完母に移行した人、混合のままだった人、そしてミルクに移行した人もいます。
次の章では、アンケートに協力してくれた、2ヶ月かけて完母に移行したママの体験談をご紹介します。
生後2ヶ月で完全母乳になった私の体験談
9月のある晴れた日に、娘は誕生しました。身長47.2cm、体重2,938gの少し小柄だけれど、元気いっぱいに泣く女の子です。
自分自身がミルクで育ったこともあり、出産前は「できることなら母乳で育てたい」くらいに考えていました。
【生後1週目】おっぱいが思うように出ない
生後5日目に退院。里帰り出産だったため、家族の待つ実家に帰りました。
母乳の出があまりよくなかったので、生後すぐからミルクを足していました。
授乳間隔は日によって異なり、1時間おきのこともあれば、4時間空いたこともありました。
おっぱいを左右5〜10分ずつかけてあげてから、ミルクを40ml程度足していました。ミルクは残すこともあれば、足りずに追加することも。
胸が張ってくる様子を感じるけれど、一方で乳首の先端の皮膚が荒れ始め、とにかく痛い…。授乳後はクリームを塗ってからラップで保護して、悪化しないことを祈るばかり。
明日もおっぱいをあげられますように。
【生後2週目】体重の増えがイマイチ…
新生児黄疸の治療のため、出産した病院へ。
体重を測ってもらったら体重の増えが少ないとのこと…。
助産師さんから「おっぱいは少しずつ出るようになるから大丈夫よ」と言われ、不安がやわらいだことを覚えてます。
もしかしたら「大丈夫」という言葉が欲しかったのかもしれない。
おっぱいの回数は1日あたり7〜10回。追加したミルクの回数は7回程度で、1日合計250〜320ml。
完母にしたいという気持ちが強くなっていくけれど、おっぱいだけでは満足しないのかグズグズ泣いてばかり…。
あぁ、またミルクを足さなくちゃ…。
【生後3週目】おっぱいの途中で寝てしまう
黄疸の経過を見るために、再び受診。
体重が順調に増えていた!さらに、「おっぱいをあげる回数を増やして、ミルクはやめても大丈夫よ」だって!
やった!やった!やった!やったーっ!
それなのに娘はおっぱいでは満足せず、グズグズ泣いてばかり。
「おっぱい出てるわね」って言われたんだよ?
「ミルクはやめていい」って言われたんだよ?
それなのに、なんで満足するまでおっぱいを飲んでくれないの?どうしておっぱいの途中で寝ちゃうの?
あぁ、今日もまたミルクを足さなくちゃ…。
【生後4週目】
いつになったら授乳回数が減るの?
夜、グズグズして寝ない日が続く。抱っこしてあやしてもグズグズ…。代わりに、日中はおっぱいを飲みながら寝てしまう。
もう、夜が来るのが怖い。
おっぱいの回数は1日あたり11〜14回。授乳にかける分数も増やすようにしていて、授乳回数を増やした分だけ乳首はさらに痛い。
いつになったら授乳回数が減るんだろう。
いつになったら完母でいけるんだろう。
夜中、ミルクを飲ませたら、そのままスーッとねんね。やっぱりお腹が空いていたんだ。
あぁ、今日もミルクを足してしまった…。
【生後5週目】
乳腺炎になりかけて胸がパンパン
授乳回数は1日10〜13回程度。授乳にかける時間も長くしているから、乳首が痛くて痛くてついにギブアップ。今日は、搾乳をしてなんとか乗り切った。
あれ、搾乳してもなんだかおっぱいが張っている感覚が…。
1ヶ月健診で診てもらったところ、「お母さんも赤ちゃんも問題ありませんね」とのことでほっとひと安心。
そして、乳腺炎になりかけていたということも判明。揚げ物や甘いものは控えてきたから、もしかして、おっぱいの出がよくなってきたということ?
よし、もうひと踏ん張り! …でも、なんだか顔の湿疹がひどくなってきたな。なんだろう。
【生後6週目】
ミルクを足さない日が増えてきた!
おっぱいだけで過ごせる日が増えてきた!
1回あたりの授乳も3〜7分くらいと短くなってきて、上手に飲めるようになったみたい。体重も順調に増えて4,300g。そろそろおむつをSにサイズアップする頃かな。
昼間は相変わらずの頻回授乳だけれど、夜は4時間くらいまとめてねんねする日も。ちょっとリズムが整ってきたかな。
ただ、湿疹がひどくなっているのが気になる。左頬は少しただれているような印象。単なる湿疹じゃないのかな…。
【生後7週目】1日16回の授乳でフラフラ…
授乳リズムが整ってきたと思っていたのに、連日、抱っこしてもグズグズして寝てくれず。今週は、1日16回も授乳していた…。
ねんねしても1〜2時間程度で、私の体力も限界。日中、少し休ませてもらう。
外出中に2回ミルクを足したけれど、今週は、なんとかおっぱいだけで乗り切れた。先週は、リズムが整ってきたかな?なんて思っていたのに。
湿疹だけでなく、お尻も真っ赤にかぶれていた。なんだろう。おむつかぶれならいいのだけれど…。
【生後8週目】
なんで?おっぱいを欲しがらない日が…
相変わらず夜中にグズグズするけれど、日中は3〜4時間まとめてねんねするようになってきた。
このまま完母で行けたらいいのだけれど、顔の赤い湿疹がなかなかよくならない。これ、母乳の影響じゃないよね…。
ここ数日、おっぱいをあまり欲しがらない。1日10回程度授乳はするけれど、明らかに飲みがよくない…。
体重は順調に増えていて4,800gを突破しているから、ミルクは足さなくてもいいよね。大丈夫だよね。
【生後9週目】
やっと完母に。最後は哺乳瓶を嫌がった
今週は、びっくりするくらいねんねと授乳のリズムが整っていた。
夜中は1時に授乳すると、次は6時くらいまでねんねしていた。授乳の回数は、1日10回で安定している。突然の変化で、私もびっくり。
母に娘の面倒をお願いして、短時間の外出。その間、母がミルクを飲ませようとしたところ泣いて嫌がり、このまま完母に。
生後63日目。やっと、やっと完母にたどりついた。
完母にたどり着き、その後にわかったのは、娘には乳・卵のアレルギーがあるということ。スクラッチテストを実施して、はっきりとわかった。
検査後、医師の指示で、母乳を与えているうちは私の食事からアレルゲンを完全除去することに(※1)。でも、ふとした時に母の言葉を思い出す。
「あなたが母乳をあげたいと思うのなら、あなたができる範囲でやればいいんじゃない?」
そうだ。私が、この子のママなんだ。私が、この子を母乳で育てたいと思ったんだ。
ママの気持ちを何より大切に
先輩ママの体験談、いかがでしたか?
「母乳」については、多くのママが同じように悩み、ときに心を痛めてしまっているのではないでしょうか。
すんなり完母になる人もいれば、数ヶ月間をかけて完母に移行する人もいます。もちろん、混合、ミルク育児に切り替える人もいます。
どの選択をしたとしても、それはママが、赤ちゃんとママ自身を考えてのこと。ママの気持ちを大切に、この先も赤ちゃんの成長を見守っていってくださいね。
(※1)厚生労働科学班の『食物アレルギーの診療の手引き』では、「母乳栄養や混合栄養の場合、除去試験を行うときには母親の食事内容からの除去も必要である」と記載しています(参考文献1)。
一方、アレルギー性の疾患の予防のために、授乳中に食物制限を行うことは十分な根拠がないとされています(参考文献2)。
授乳中の赤ちゃんに食物アレルギーの疑いがある場合は自己判断をせず、必ず、専門医を受診し、治療・処置の指示をもらうようにしましょう。
(※2)アンケート概要
実施期間:2018年9月13日~2018年9月16日
調査対象:「ninaru baby」利用者
有効回答数:2,562件
収集方法:Webアンケート