なんだかイライラする、肌が荒れる、疲労感が抜けない…病院に行くほどではないけどなんだか調子が悪い「なんとなく不調」を抱えていませんか?
この連載では、その「なんとなく不調」を食事を通して改善する方法を、KADOKAWAから発売中の書籍『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』からご紹介します。
↓前回のお話はこちら
#4 「脾」が弱ると
冷えやすい体質になる!

イラスト:Eriy
漢方では、冷えやすい人は「脾」が弱っていると考えます。そして、「脾」にダメージを与える行動を「久坐」と呼び、長時間座りっぱなしでいることを表します。
当然、姿勢はくずれて骨盤はゆがみます。猫背になり内蔵を圧迫することで、代謝や血流が低下して体が冷えます。普段から座位の姿勢に気をつけましょう。
食事では、温かいスープで消化を助けながら栄養補給を。また、消化を促進するため、よく噛んで食べましょう。
冷えやすい体質におすすめの「食薬」は
味覚で楽しむ食薬

冷えやすい体質におすすめの「食薬」は、温かいスープや汁物など食材のうま味を引き出した味わい深い料理です。
食材のうまみを楽しむには、ゆっくりと噛んで、よく味わって食べることが基本です。また、出汁がきいたスープは吸収しやすい栄養素を豊富に含みます。体を温めて代謝を上げたいときにぴったりです。
症状別!おすすめ食材
手足が冷える


・鶏ひき肉
・タマネギ
心臓から遠い手足などの末端や、血行が悪くなりやすい腰回りに冷えを感じる人が多いと思います。この状態を、漢方では「気虚」といいます。
生理前後などで貧血気味になってしまい、体の中でめぐるものが不足していることも、冷えの原因となります。この状態は「血虚」です。
そこで胃腸を温めて、「気血」を効率よくとり入れる食材をスープにしましょう。
おすすめレシピ:
鶏ひき肉のオニオンスープ
タマネギを薄切りにして、しんなりするまで炒め、鶏ひき肉と一緒に煮込みます。塩・コショウで味つけして、パセリなどを飾ったら出来上がり。
食後に眠くなりやすい


・とろろ昆布
・マイタケ
眠くなる原因として、消化管へ血液が集中して脳への血流が減ることや、食後の血糖値が安定しないことなどが挙げられます。
食後にいつも眠くなる人は、「脾気血」の可能性があります。対策として、血糖値の急上昇を抑える食材を選びましょう。
おすすめレシピ:
マイタケととろろ昆布のお吸い物
マイタケを煮たせて、とろろ昆布としょうゆ、みりん、酒で味をつけ、お好みで刻んだショウガ、ネギ、ユズの皮などをトッピングしたら出来上がり。
肌や体のたるみ


・牛すじ
・ゴボウ
たるみはすべて、代謝や筋力の低下によるものですが、漢方では「脾気虚」であると考えます。なるべく体や顔の筋肉を動かすように心がけて、「脾」に「気」を補い、代謝を上げていきましょう。
ここでは、「気」を補いつつ、コラーゲンも補充できるスープを紹介します。
おすすめレシピ:
牛すじとゴボウのスープ
牛すじを下ゆでして洗い、食べやすい大きさに切ったゴボウ、そしてお好みでショウガやニンニクを入れて15〜30分くらい煮込めば出来上がり。圧力鍋があると便利です。
食薬で「なんとなく不調」から抜け出そう!
次回のテーマは「肺」。便秘体質な人が陥りがちな不調やおすすめの食材をご紹介しますね。
また書籍には、今回ご紹介した以外にもさまざまな症状に合わせた食薬が紹介されています。たとえば…
● 悩みやすい
● 雨の日に体調が悪くなる
● 生理前に太りやすい
など!食材の効能についてもさらに詳しく書かれています。
女性特有の不調を解決する内容が満載です。ぜひチェックしてみてくださいね。
女性の「なんとなく不調」に効く 食薬事典
「病院に行くほどではない……でも気になる!」そうした女性の“なんとなく不調”は、この本でスッキリ解決!
不調や基礎体温から悩みを検索して、自分にあった「いま食べるべき食薬」がわかる1冊です。
女性に多く見られる「5つの体質」から導く55の不調解消メソッドを大公開!

書籍筆者:大久保 愛
おおくぼ あい
薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで薬膳を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書に『1週間に1つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。
https://www.horipro.co.jp/okuboai/