最近の抱っこ紐は、赤ちゃんが落下するのを防ぐベルトのように、安全面でさまざまな工夫が施されていますよね。でも、実際に抱っこ紐を使っていると、けっこうヒヤリとする場面に出くわすことがあると思います。
そうした事態を防ぐためには、抱っこ紐を使っていて危険な瞬間がどのようなときなのかを知ることが重要なのではないでしょうか。
そこで今回は、抱っこひも安全協議会が調査した抱っこ紐で危険な瞬間と、そこに寄せられた体験者の声をご紹介します。これから抱っこ紐を買う人も、すでに持っている人も、この記事を参考にして赤ちゃんの安全を守ってもらえればと思います。
30%の人が抱っこ紐でヒヤリハットを経験!
抱っこ紐を使っているときに「危ない!」と思ったことがある人は多いのではないでしょうか。
合計33社の抱っこ紐メーカーと輸入代理店が中心となり設立された「抱っこひも安全協議会(以下JCCS)」が約2,500人に行った調査によると、およそ30%の人が抱っこ紐の使用中に事故、またはヒヤリハットを経験しているそうです(※1)。
30%という数字を多いと見るか、少ないと見るかは人それぞれですが、万が一のときは大切な赤ちゃんに被害が及ぶことを考えると、決して無視できないと思います。
ここからは、JCCSの調査でわかった抱っこ紐で危険な瞬間上位3つと、実際にその経験をしたママ・パパの声をご紹介します。
抱っこ紐で危険な瞬間・第3位:歩行中
抱っこ紐で危険な瞬間の第3位は「歩行中」です。ヒヤリハット経験者のうち、19%の人が歩行中に経験しています。
歩行中に多いヒヤリハットとしては、赤ちゃんが突然のけ反るような動きをして、抱っこ紐から抜け出してしまいそうになるという事象です。赤ちゃんが成長してくると、重くなって不安定になること、腕通しに手を通さずに抱っこ紐を使うことが多い、というのが理由として考えられます。
抱っこ紐をしているときに、ヒールの高い靴を履くのもヒヤリハットが起きる可能性を高めるかもしれないので、やめたほうがいいかもしれませんね。
ヒヤリハット体験談
子供が大きくなってきて、抱っこ紐から腕を出せるようになりました。そうしたら、体の約半分が抱っこ紐の外に出てしまい、落っこちそうでヒヤリとしました。
Y.Hさん
ヒヤリハット体験談
娘が9ヶ月になり、かなり動き回るようになりました。抱っこ紐から出たがって腕が出てしまい、海老反りのような動きをしたので、そのまま抱っこ紐から落ちそうになりました。
K.Mさん
抱っこ紐で危険な瞬間・第2位:かがんだとき
抱っこ紐で危険な瞬間の第2位は「かがんだとき」です。ここでいう「かがんだとき」というのは、腰を曲げた姿勢のことを指しており、ヒヤリハットの30%がこの状況で起きています。
日常的に抱っこ紐を使用し、装着していることが当たり前のようになると、落し物を拾ったり、靴を履いたりするときに、赤ちゃんを抱っこしていることを忘れてしまい、うっかりかがんでしまうことが多いようです。
ヒヤリハット体験談
スリングをして掃除機をかけていて、少し前かがみになったときに子どもが落ちそうになりました。
K.Sさん
ヒヤリハット体験談
銀行ATMの操作画面を見るため前傾姿勢になったとき、背中で留める部分がちゃんと留まっていなくて、息子が抱っこ紐ごと落ちてきてとっさに両手で受け止めました。
T.Mさん
抱っこ紐で危険な瞬間・第1位:赤ちゃんを抱っこ紐に乗せるとき
抱っこ紐で最も危険な瞬間、それは「赤ちゃんを抱っこ紐に乗せるとき」です。34%もの人が、この状況でヒヤリハット経験をしています。
その理由は、抱っこ紐を装着するときに、バックルを留めたりするために赤ちゃんから手を離してしまうためだと考えられます。
起きやすい事象としては、赤ちゃんが落ちそうになるというものです。これは全月齢に共通しています。
例えば、生後1〜4ヶ月の場合、肩ベルトの隙間から赤ちゃんがすり抜けて落下しそうになったという事例が多いようです。
生後4〜12ヶ月の場合は、おんぶするときに落下しそうになったという事例が多くなっています。背中は視界の外であるうえに、腕の可動域の外に位置するため、落下しそうになるのだと考えられます。
ヒヤリハット体験談
最初に紐の長さを調節するために着けたとき、ちゃんと赤ちゃんが抱っこ紐内に収まっていなくて、頭の方から布団に真っ逆さまに落ちそうに…。旦那が赤ちゃんをキャッチしてくれて、事なきを得ました。
R.Kさん
ヒヤリハット体験談
おんぶをしようとしたとき、子供の体が抱っこ紐に収まっていないのに暴れてしまい、落ちそうになりました。
M.Iさん
抱っこ紐でのヒヤリハットを防ぐには?
JCCSの調査によると、取扱説明書を読まずに抱っこ紐を使用した人は12%です。残りの約90%の人たちは、使用前に取扱説明書を読み、DVDなどを見て練習をしたり、店頭で販売員から説明も受けています。しかも、そのうちの75%は自宅に取扱説明書を保管しているそうです(※2)。
それにもかかわらず、多くの人がヒヤリハットを経験しています。
ここからわかることは、時間が経って抱っこ紐の使用に慣れ、注意が薄れてくるからこそヒヤリハットが起こるということです。
抱っこ紐でのヒヤリハットを防ぐには継続的な注意と、安全意識を持ち続けることが重要です。
そのためには、以下のような意識が重要だと思います。
- 定期的に取扱説明書を読み返す
- ほつれや破れといった経年劣化が起きていないことを使用前に確認する
- 慣れた頃こそヒヤリハットが起きやすいということを意識する
抱っこ紐は使い慣れた頃こそ注意が必要!
抱っこ紐って、慣れてくるとつい適当に装着してしまうことがありませんか。少なくとも私はそうです。特に家の中で使うときは、肩ベルトを固定する背中側のバックルを面倒くさくて留めないことがあります。
でも、今回の記事を書くためにいろいろ調べてわかったのは、抱っこ紐は慣れた頃こそ危険だということ。
事故で赤ちゃんが怪我をしてしまってからでは手遅れです。万が一の事態を起こさないためにも、常に安全に気をつけながら、抱っこ紐を正しく使うようにしたいと思います。みなさんも、ぜひご注意ください。
※危険な瞬間を再現するため、今回の記事では赤ちゃんの人形を使って撮影しています。