育児をしていると、傷ついたり悩んだり、涙してしまうことって少なくないですよね。
そんなときに、「ふぅっ」と一息ついて読んでほしい「母ちゃんドクター 須藤暁子先生のエッセイ」をお送りします。
母ちゃんはみんながんばって、悩んで、涙している。あなたの心に、やさしい言葉が届きますように。
【♯2】母乳が出ない…
子供をなるべく母乳で育てたいと思っているのですが、おっぱいの出がよくなく、赤ちゃんは泣いてばかりです。
1ヶ月健診でも、「完母で行きたいなら、とにかく吸わせないと」とアドバイスされたので、泣くたびに授乳をしています。
1時間おきに授乳することも珍しくなく、最近は、授乳しながら一緒に泣く日々です…。(匿名希望ママ)
まるで自分のような「あなた」へ
勇気を出して教えてくださって、ありがとうございます。
まるで自分の事のように思えました。
まさに私も悩んだ内容であり、いま、私の親友がこの真っ只中にあります。
少しでも気持ちが楽になるといいと思って書きますね。
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私も同じでした。
完全母乳にこだわっていた一人目育児。
母乳が自然と出るものではないのだと初めて知り
出産したその日から愕然としていました。
痛くて、出なくて、
でもとにかく吸わせなくちゃいけなくて、
想像していた光景と違う。
すぐにお腹が空くのか
出ないのにあげなくてはならなくて
一日の大半は抱っこして授乳。
腕も肩も痛くなり
一人で辛いし
もう無理だ、ごめんねと、
何度も何度も泣きました。
どうしたらいいの
誰かに助けてほしい、と思っていました。
今思うと、
産後ホルモンの攻撃を受けていたのかもしれません。
もちろん母乳の良さってわかっているから
なかなかできない自分が
母親失格なんじゃないかなって
大げさではなく、毎日考えていました。
二人目育児はミルクと母乳の混合にしました。
はじめは少し抵抗がありました。
インターネットや育児書から
色々な情報が目に入ってきていたからです。
でもすぐに
『問題はそこじゃない』と気がつきました。
これが今の私が出す答えで、
今の私は『母乳育児ができない』のではなくて
『ミルク育児ができる』と考えると
有り難いと思えたし
嬉しくなりました。
私は、少し楽になりました。
家族の笑顔も増えました。
今思うと、
ミルクも正解でした。
だって、その時にできることをしたから。
結局
母乳も、ミルクも
どっちも幸せでした。
だって赤ちゃんと自分がいるのだから。
私たち『母親』は
子どもを守ることに関してはとても強いけれど
子どもにとって良い母かどうかと問われると
めっぽう弱い。
どんな些細なことでも
『ごめんね、赤ちゃん。』って
まず自分を責めてしまうし
悩んでしまう。
だから
とても幸せなはずなのに
とても苦しい。
だけどこれだけは言える。
『母親』が一番
子どもの事を考えている。
だからこれから先
誰かに何かを言われたとしても
例えばそれが
もしも自分のやってきたことと違っても
後悔をしなくていい。
『そのとき』の私が
『そのとき』の状況の下
『そのとき』の判断で
『そのとき』にできることをできるだけやることが
『そのとき』の正解。
それでいい。
できんもんは、できん。
『あなたのおっぱい』は、『あなた』じゃあない。
あなたの価値は、おっぱいじゃあない。
あなたの価値は、『あなたが生まれたこと』
あなたが頑張ってお腹で育てて
あなたが頑張って産んで
子どもとあなたが生きていることが
もう、すごいことじゃん。
えらいじゃん。
頑張っているじゃん。
そんなに必死に猫背しなくていいから
ちょっと窓開けてさ
上を向いて
胸いっぱいに
冷たい空気、入れてみ。
大丈夫だから。
須藤 暁子
すとう・あきこ
1983年生まれ。
医師・執筆家。2人のヤンチャな男児のママ。育児と仕事に奮闘し、ときに悩む飾らない言葉が、多くのママから支持を集める。インスタグラム(@akiko_suto)では、日常生活を発信中。ブログ「Dr.須藤暁子の読むおくすり」は1日20万PVを誇る。育児に奮闘する毎日を綴ったエッセイは、3冊とも大好評発売中。
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