肩こりに悩まされる女性は、もともと少なくありません。出産後は睡眠不足や慣れない育児での疲労、授乳や抱っこにより、肩こりに悩まされる人がさらに増えるようです。
肩こりがひどくなると頭痛や吐き気がすることもあり、赤ちゃんのお世話がままならなくなってしまうことも…。
この記事では、産後の肩こりはなぜ起きるのか、赤ちゃんにも安心な対処法についてご紹介します。
肩こりは産後の不調でもっとも多い悩み
全国のママに産後の不調についてアンケート(※)を取ったところ、81%もの人が肩こりに悩まされているという結果に。じつは、産後の体調不良で、もっとも多くの人が悩まされているのが肩こりでした。
産後の肩こりに悩まさている人のうち35%は、産後はさらに肩こりが悪化したか、産後になって初めて発症したと回答しています。
産後、肩こりがひどくなる理由は?
産後の肩こりに悩まされているママに、肩こりの症状について教えてもらいました。
床に座っての授乳で悪化…
背もたれのない床などで授乳をすると、肩こりがひどくなります。肩だけでなく、首から背中まで張ってしまいます。
産後から肩こりに悩まされています
うちの子は抱っこをしないと寝ないので、抱っこ紐で抱っこして寝かしつけています。首から背中にかけて硬くなってしまっていて、頭痛がするときもあります。
授乳の姿勢で肩こりに
授乳時に猫背になっているせいで、肩はもちろん、首筋までこり固まっています。
多くのママは、授乳や抱っこから肩こりを発症しているようです。産後に肩こりが起こる理由を、看護師で助産師の河井先生に教えてもらいました。
河井先生
育児による疲労が大きいですね
産後の肩こりを訴えるママは、産後の体力が回復途中の方が多いですね。そして、1人で育児を頑張っていて、休む時間がままならなかったり、授乳で睡眠不足になっていることが多いです。
「抱っこしないと泣いてしまうから」と、赤ちゃんをよく抱っこしているママも、肩こりに悩まされていることが多いですね。産後の肩こりの原因をまとめると、以下になります。
● 睡眠不足・運動不足で血流が悪い
● お風呂にゆっくり入れていない
● 育児の疲れが溜まっている
● 授乳や抱っこで同じ姿勢をとり続け、肩や首の筋肉が緊張している
産後の肩こり、先輩ママの対処法は?
産後の肩こりの対処法を聞いたところ、育児や家事の合間にストレッチをしたり、家族にマッサージをしてもらっている人が大半を占めました。
こまめにストレッチをしています
なるべくお風呂で肩を温め、気がついたときにストレッチをしています。
家族にマッサージしてもらっています
夫にマッサージをしてもらっていますが、それでも肩はかなり凝っています。
自分で肩もみしています
自分で肩をもんだり、肩を回してこりをほぐすようにしています。ですが、首や肩がコチコチで頭痛まで起きる状態です。
ストレッチやマッサージをしているものの、「あまり効果はなく、肩こりがなかなか解消されない」という声も聞かれました。
授乳中でも湿布、塗り薬は使ってもいい?
肩こりの一般的な対処法として挙げられるのが湿布ですが、産後のママで湿布を使っていたのはわずか8%でした。
それもそのはず、多くのママが「授乳中に湿布を使うと影響があるのでは」と気にしていました。
授乳中に湿布を使っても問題はないのか、河井先生に教えてもらいました。
河井先生
赤ちゃんに影響する可能性は低いです
湿布やジェルなどの塗り薬を一般的な範囲で使用する分には、赤ちゃんに影響が出る可能性は低いとされています。
湿布や塗り薬がママの血液中に吸収される量は飲み薬よりとても少なく、母乳に移行する量はさらに少なくごくわずかと言われています(※1)。
磁気バンを使用しているママは、はがれ落ちたときに赤ちゃんが誤飲しないように気をつけてくださいね。
肩こりを我慢して赤ちゃんのお世話をすると、さらに疲れてしまったり、適切な判断ができないこともあります。痛みが強いときは、湿布も上手に使ってはどうでしょうか。
助産師・河井先生がすすめる
産後の肩こり対処法とは?
日常生活の中でちょっとした注意をするだけで、産後の肩こりは緩和できるそうです。この章では、河井先生が産後のママにアドバイスしている肩こりの対処法をご紹介します。
目を酷使しない
河井先生
産後、目の疲れを感じているママも多いですね。そんな中でスマホやパソコンを使いすぎるとさらに目が疲れ、肩こりを悪化させることも。また、同じ姿勢を取り続けることで、肩や首に負担をかけてしまいます。
スマホやパソコンは、長い時間、続けて使わないように気をつけましょう。
正しい姿勢を意識する
河井先生
授乳やおむつ替えなど、赤ちゃんのお世話をしていると前かがみになることがよくあります。前かがみの姿勢は、肩や首、背中に負担がかかり、肩こりを悪化させる可能性があります。
スキマ時間に腰や背中を伸ばしたり、内側に縮こまった肩を外に広げるといいですよ。
ビタミンB群・Eを積極的に摂る
河井先生
ビタミンB1には、乳酸を分解して筋肉の疲れを和らげる効果があります。水に溶けやすく熱に弱い性質があるので、積極的に食卓に取り入れるといいですね。ビタミンB6、B12も併せて摂るといいですよ。
また、ビタミンEには血管の拡張を促す作用があるので、肩こりの解消が期待できます。
【多く含まれる食材】
ビタミンB1:豚肉(ヒレ、もも)
ビタミンB6:さんま、カツオ、レバー
ビタミンB12:しじみ、さんま、レバー
ビタミンE:アーモンド、西洋かぼちゃ
ママにかかる負担を減らして育児をしよう
肩こりがひどいと睡眠の質が悪くなり、疲れがさらに溜まってしまうこともあります。
赤ちゃんがお昼寝しているときはママも一緒に休んだり、スキマ時間にはストレッチをするなどして、少しでも肩こりをやわらげましょう。
痛みがひどいときは湿布や塗り薬も上手に使って、ママの体にかかる負担を減らしてくださいね。
監修:河井 恵美
助産師、看護師/エミリオット助産院
看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わっていました。助産師の仕事が大好きで、25年以上この仕事をしています。青年海外協力隊でコートジボアールとブルキナファソに赴任した後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。2008年から夫の仕事関係により、シンガポールに住んでいます。2人の子どもを育てつつ、現地の産婦人科に勤務し、日本人の妊産婦さん方のサポートをしています。Web上でエミリオット助産院を開設し、助産師オンラインサービスで様々な相談も受けています。
※アンケート概要
実施期間:2019年5月30日~2019年5月31日
調査対象:「ninaru baby」利用者
有効回答数:471件
収集方法:Webアンケート