トラブル続きのワンオペ育休1年間を経て、僕が気づいたこと。

男性の育休というと、子育てに熱心な男性が「子育てに参加することの素晴らしさ」を語ることが多い印象はあるかもしれません。

しかし半年間の育児休業を2回取得し、合計で1年間のワンオペ育休生活を経験した町田さんは、育休に対してもともと熱い想いなどなかったそうです。

町田さんがワンオペ育休生活を選んだ理由、ワンオペ育休で大変だったことや心がけていたことはなんでしょうか?

町田さんが自身の育休生活の経験をお話ししたイベントのレポートをお届けします。

町田さんのプロフィール

町田さん 育休期間
町田さん 正社員(コンサルタント・編集)/フルタイム
奥さま 正社員(海外営業部)/フルタイム
育休1回目 長男が生後11ヶ月〜1歳5ヶ月までの半年間
育休2回目 次男が生後7ヶ月〜1歳1ヶ月までの半年間

町田さんの育休の特徴は、奥さまと入れ替わりで育休を取得していること。長男、次男ともに、奥さまの仕事復帰から保育園が決まるまでの半年間、町田さんが育休を取得しました。

町田さんの2度の育休は、基本的にワンオペ育児の育休、つまりワンオペ育休だったのです。

なぜワンオペ育休を取ったのか?

町田さん

「男性がワンオペ育休を2回取得」と聞くと、育児に対して熱い想いがあるのだろうと想像したくなりますよね。しかし町田さんが育休を取った理由は「妻がフルタイムで仕事復帰しなければいけないから」。ただそれだけでした。

僕は育休を取ることにさしてアツい想いがあったわけではありません。子供が生まれる前から育休を取ろうと決めていたわけでもないし、もともと子供が好きだったわけでもありません。

僕が育休を取得したのは、息子が0歳で保育園に入れないことが分かったタイミングで、「自分のキャリア的に1年以上は休みたくない」と妻に言われたことがきっかけです。

息子が保育園に入れるまで妻が育休を取得すると、産休と合わせて1年以上休むことになるので、「じゃあ交代しようか」と、僕が育休を取得しました。

というのも、妻は海外営業部で勤務。海外の人とやりとりをしないといけないため、時短勤務という選択肢がありませんでした。時短で働くには他の部署に異動するしかなかったんですが、うちの妻はその部署で働きたくて転職をしていたんです。

やりたい仕事があるのに、育児のために諦める必要はないじゃないですか。だから妻の仕事復帰=フルタイム勤務だったんです。

でも、子供は保育園に入れていなかったので、夫婦ともにフルタイム勤務は不可能。そこで僕が妻と入れ替わりで育休を取得することにしました。これは、1度目も2度目も同じ事情です。

トラブルだらけの半年間。ワンオペ育休、5つの誤算。

ワンオペ育休中の誤算

育休を積極的に取りたいというタイプではないものの、育休を取ることに関してネガティブな気持ちはなかったという町田さん。しかし実際には「僕の育休は大河ドラマのようだった。」と表現するほど、トラブルと誤算の連続だったそうです。

僕の育休期間は、全然ハートフルなものではなくてトラブルだらけ。育休前に予想していなかった、5つの誤算がありました。

誤算1. 自分の育児スキルを過信する

とくに大変だったのが、育休を取って最初の1ヶ月。全ての原因は「俺はできる」と過信していたことです。

おむつ替えとか子供をお風呂に入れるとかのことは、何の問題もないんです。日々やることだからすぐに慣れて、誰でもできるようになります。

でも1ヶ月に1度だけ起きるようなイレギュラーな出来事に、めちゃくちゃ焦るんです。

たとえば洗剤が切れたとき、詰替パックがあるはずの場所にない。妻が育休中に、自分仕様に家をカスタマイズしていたんです。妻は僕の前に産休・育休を取っていて、家にいる時間が僕より圧倒的に長かったので、家の事情に対する情報格差が生まれていたんです。

最初に一ヶ月は、その格差を埋めるのが特に大変でした。

誤算2. 妻が復帰直後からバリバリ働く

妻はフルタイム勤務で復帰しましたが、僕の想定よりもすぐバリバリ働きました。海外出張に行ったり、終電で帰ってきたり、といったことが頻発したんです。

育休中は本当にワンオペ育児で、もう少し早く帰ってきてくれないかな…と思っていました。

ただ、僕はワンオペになってよかったと思っています。

いつでも何でもかんでも妻に頼れてしまうと、結局甘えてしまうんですよ。それができない状況だったのは大変だったけど、僕にとってはよかったと思います。

誤算3. 子育てイベントやサロンを楽しめない

育児だけをしていると一日中1人で家にいるので、「このままじゃ引きこもりになる!」と思って、最初の1、2ヶ月は積極的に外出をしていました。でも子育てイベントや子育てサロンには、基本的にママしかいなかったんです。

パパの友達ができなかったので、妻と同じように、「同じ悩みを共有する友人と過ごす」という意味での育休生活を送ることは失敗に終わりました。

誤算4. とにかく保活が辛い!

「保育園に入れないと、仕事に戻れない」という状況が、とにかくストレスでした。

妻の育休中は夫婦で分担して保活をしていましたが、自分が育休をとったとき、まだ息子の保育園が決まっていませんでした。だから育休取得後は、保活も僕がすべて1人で担当しました。

保活そのものも本当に大変でしたが、それ以上に「このまま保育園が決まらなかったら自分は仕事に復帰できないかもしれない」というプレッシャーが非常に辛かったですね。

ただ、自分の今後のキャリアを真剣に考えるきっかけにもなりました。

誤算5.家族と親族にトラブルが多すぎ

育休中に、僕の父親がガンになったり、祖父が認知症になったり。母親が介護疲れで軽く鬱気味になったり。さらには次男の育休中に長男の発達障害が指摘されたり…。

育休中は育児に専念すればいいんだ、と思っていたんですが、家族や親族にトラブルや手がかかることが相次ぎました。もし仕事をしている間に育児と家族の問題が重なっていたら、果たして対処できていたのかと思うと、自信はありません。

育児と介護は同時に直面しうる課題なので、どう乗り越えるか考える必要があると思いました。でも非常に勉強になりました。

トラブルだらけの育休を乗り越えるための、3つの解決策。

育休を乗り越えるための3つの解決策

町田さんが経験したトラブルは、育休を取得する男性だけでなく、育休中の女性の多くが直面することでもあります。町田さんは半年の育休期間をどのように乗り越えたのでしょうか。

解決策1. 第三のコミュニティを活用する

育休中は本当に毎週のようにトラブルが起きていたので、もし逃げ場がない状況だったら、育休中に確実に潰れていたと思います。

幸運なことに、僕には育休を取る前から仕事と家庭以外に、NPO活動という第三のコミュニティがありました。育休中も活動に参加して、メンバーに子供を抱っこしてもらったりすることで、本当に助けられました。

特にワンオペ育休をとる人にとって、仕事と家庭以外の第三のコミュニティの存在は、とても大切だと思います。

解決策2. とにかく周りに頼る

一般論として、男性は周りに相談したり頼ったりしないと言われています。でも、僕の場合は育休中にトラブルが多かったので、とにかく周りに相談していないとやっていられなくて

役所の窓口の人と友達になるくらい何度も相談したり、どうしても家族を頼らないといけないときは90歳代の祖父母の家に行ったりしました。

あとは、マンションや児童館で知り合った人たちとも積極的に子育てをシェアしました。自分の子供を預かってもらったり、反対に自分の家でも他の家の子供を預かったりしましたね。

そういうのって、今はハードル高い印象があるかもしれませんが、自分から積極的に「あなたの子供を預かるのでうちの子も預かってください!」と声をかけることが大事だと思います。

解決策3. 自分がやりたいことを諦めない

自分がやりたいと思ったことは、育休中もできるだけやりました。育休中だからといって趣味を諦めなかったし、せっかく育休を取っているからと学校にも通っていました。

僕はランニングをしているときが、一人になって頭を空っぽにできる唯一の時間でした。たとえそれが深夜であろうと、そういう時間を作ることで、自分が潰れないように調整し続けていました。

育児だけに専念するんじゃなくて、少しでも自分の時間をつくって気を紛らわすことって、結構大事だと思います。

パパは短期間でもいいから、ワンオペ育児を経験してほしい。

町田さん

無事2人の子供を保育園に入れることもでき、現在は夫婦フルタイムで働いている町田さん。男性の育休は、夫婦で同時期に取得する「ダブル育休」を選択する人もいますが、町田さんは「男性にはワンオペ育休の経験をして欲しい」と言います。その理由は何でしょうか?

男性が育休を取るか取らないか、取るなら夫婦同時か、別々か。夫婦の関係や、会社や、コミュニティなど事情はさまざまなので、ひとつの正解はないと思います。

でもあえてパパに育休をすすめるなら、僕はワンオペ育休を取ることをおすすめします。

なぜワンオペ育休かというと、どこか他人事だった育児を自分ごとにするために、短期間でもいいから一人で育児をする経験をしてほしいからです。

僕のように半年が難しいなら1ヶ月。1ヶ月が難しいのなら、1週間でもいいかもしれません。ワンオペ育児をする状況が作ることができるなら、育休を取る必要すらないかもしれません。

大事なのは「男性が全部一人で子育てと家のことをする期間をつくる」ということだと僕は思います。

僕はワンオペ育休を経て、どんな状況が続くと妻はストレスを感じるのか、妻は今何に困っているのかが分かるようになりました。お互いの家事育児を、何も言わなくてもシェアできるようになりました。

重要なのはコミュニケーションの機会を増やすことではなくて、限られた時間の中で、どれだけ相手のことを思いやれるかどうかだと思うのです。

今は、育休を取っていたころよりも夫婦のコミュニケーションは明らかに減っていて、会話せずメールだけのやり取りで終わる日もあります。

お互いのスケジュールは基本的にいつもパツパツですが、「お互いにやりたいことを尊重する」という夫婦間のルールを、何とか実現できていると思います。

これが我が家で成立しているのは、やっぱり僕がワンオペ育休を経験していることが大きいです。夫婦で共通言語を持つということは、育休後も続く家事育児を夫婦で一緒に乗り越えるために、必要不可欠なことなのではないでしょうか。

だから僕は、短期間でもいいから、パパがワンオペ育児を経験することをおすすめします。

育休をきっかけに、家族のあり方を考えよう

「育児はあくまでも、生活の一部でしかない。だから子供が生まれたからといって、奥さんがフルタイムで仕事復帰することを簡単に諦めないでほしい。」

イベントの最後に、町田さんが言っていた言葉が印象的でした。子育てをしながら夫婦でフルタイムで働くという互いの希望を叶えるために、町田さんはワンオペ育休を選択しました。

どんな家族でありたいのか。夫婦の理想を叶えるための手段を考えることが、まずは大事なのではないでしょうか。