妊娠がわかってから禁煙している人もいるのではないでしょうか。ママ自身が喫煙していなくても、旦那さんや同居している家族が喫煙していた場合、禁煙してもらったというケースもあるかもしれませんね。
そこで今回は、赤ちゃんのいる家庭とタバコについて考えてみたいと思います。「授乳中のママでも、電子タバコなら安全」という噂もあるようですが、果たして本当なのでしょうか?
受動喫煙対策は進んでいるけれど…
今、受動喫煙対策が進む中で、「電子タバコ」への注目が集まっています。
その中で、「電子タバコ」に対する認識に誤りがあったり、誤った思い込みによって赤ちゃんやママが危険にさらされる事例も報告されています。
そこで今回は、電子タバコがママや赤ちゃんに与える影響についてご紹介します。
電子タバコは紙巻きタバコと何が違うの?
まず、一般的に「電子タバコ」と呼ばれているもの多くは、正しくは「加熱式タバコ」といいます。
電子タバコ・加熱式タバコと、紙巻きタバコの最大の違いは、タバコの葉に火をつけて燃やすかどうかです。
日本で広く流通しているのは「加熱式タバコ」で、代表的な商品に「アイコス」があります。「アイコス」などは、タバコの葉に熱を加え、その蒸気を摂取します。
一方の電子タバコは、香料の入った液体を加熱してその水蒸気を摂取します。
紙巻タバコ | 加熱式タバコ | 電子タバコ | |
吸い方 | タバコの葉に火をつける | タバコの葉に熱を加える | 香料の入ったリキッドを加熱する |
主な商品 | マイルドセブンなど | アイコスなど | AIO/PICOなど |
加熱式タバコと電子タバコを混同していた人もいるのではないでしょうか。
この記事では読者ママの混乱を避けるために、ここからは加熱式タバコ(アイコスなど)も「電子タバコ」としてご説明します。
「電子タバコなら授乳中でも安全」って本当?
電子タバコについて、きちんと理解できている人はどれくらいいるのでしょうか?「ninaru baby」では、約850人のママにアンケートを実施しました(※)。
約半数のママと赤ちゃんが、日常的にタバコを吸う人に接していることがわかりました。
同居している家族に喫煙者がいますが、電子タバコは煙が少ないし、臭いも気にならないのでよいと思います。
hiママ
周りに喫煙者がいないので詳しくは知りませんが、普通の紙巻きタバコより害が少ない印象があります。
なおちゃんママ
副流煙がないらしく、火も使わないのでその点は安心だと思います。
あおママ
煙と臭いが気にならないので、周りで吸っている人がいてもイヤな気になりませんね。
Muuママ
タバコを吸う人が、吸わない人に配慮してくれているのかな、と感じます。一般的なタバコより、よいイメージがあります。
もいもいママ
電子タバコについて、紙巻きタバコよりよいイメージを持っている人、よく知らない人が多いことがわかりました。
実際、「電子タバコは害がないから、授乳中でも吸えると聞いた」と回答したママもいました。
ちょっと待って!
「電子タバコは害がない」とは言えません
2016年に、生後9ヶ月の赤ちゃんが電子タバコ(正しくは、加熱式タバコ)の葉を食べ、救急外来で胃洗浄を行うという痛ましい事故が起こりました(※1)。
治療のためにメーカー(販売元)に成分を確認したところ、詳細な回答は得られなかったという報告がされています。
リーフレットなどで、有害性物質を99〜95%オフしたと謳っている加熱式タバコもあります。ですが、日本禁煙学会では、加熱式タバコの有害性について2017年7月時点で、下記の発表をしています(※2)。
含有物質 | 加熱式タバコ | 紙巻きタバコ |
ニコチン | 301μg | 361μg |
アクロレイン | 0.9μg | 1.1μg |
ベンズアルデヒド | 1.2μg | 2.4μg |
ホルムアルデヒド | 3.2μg | 4.3μg |
紙巻きタバコより有害物質の量は少ないものの、安全と言いきれる数値ではないことがわかります。
また、受動喫煙をした人の中には、喉の激しい痛みを生じたり、呼吸困難を生じた人も報告されています。
一方の電子タバコについても、有害性についてはっきりとした報告がないのが実情です。
煙や臭いがわかりにくいという、タバコを吸わない人には一見ありがたく思える特性が、実は、知らないうちに受動喫煙を引き起こしてしまうという結果にもつながるのです。
今回アンケートをとったなかには、そのことを認識しているママもいました。
夫が喫煙者です。臭いと煙がない点はよいですが、電子タバコは無害だと思い込んでいる夫には腹がたちます。
ともママ
「電子タバコは授乳中でも安全」と思いこまず、正しい理解を!
この記事を書くまで、電子タバコと加熱式タバコが違うものであることすら知らず、さらに、電子タバコは安全なものだと思い込んでいました。
また、タバコ特有の煙や臭いが少ないことをプラスに捉え、「気づかないうちに受動喫煙をしている」という点にも気づいていませんでした。
家族に禁煙してもらいたくても、難しい事情がある家庭もあるかもしれません。ですが、加熱式タバコや電子タバコなら安全と思い込むのではなく、正しい知識を持ち、必要に応じて家族と話し合うようにしてくださいね。
※アンケート概要
実施期間:2018年9月8日~2018年9月14日
調査対象:「ninaru baby」を利用しているママ
有効回答数:859件
収集方法:Webアンケート