シンママFPが教える すこしずつお金と仲良くなる方法

【ママが知っておきたいお金の話】#4 意外と知らない、保険の落とし穴

この連載では、ママやパパに向けて「すこしずつお金と仲良くなる方法」をお伝えしていきます。FP(ファイナンシャルプランナー)の佐々木愛子さんに、シングルマザーとして苦労したご自身の経験を踏まえて、やさしく教えていただきましょう。

前回のお話はこちら↓

【ママが知っておきたいお金の話】#3 現金・キャッシュレス、どちらが賢い?

【ママが知っておきたいお金の話】#3 現金・キャッシュレス、どちらが賢い?

民間保険の「2つのタイプ」を知ろう

保険 家族

そもそも、民間の保険に加入するのはなぜなのでしょう?日本は「皆(かい)保険制度」といって、全国民が公的な健康保険に加入することになっています。それなのにどうして、民間の保険に加入する必要があるのでしょう?

民間保険は、目的別に大きく分けて2タイプあります。

・「もしものときの備えになる」保険
・「将来のための貯蓄になる」保険

まずは「もしものときの備えになる」医療保険を例にして考えてみましょう。

「もしものときの備えになる」保険

一般的に、公的な健康保険が使える範囲内の診療(保険診療といいます)は、多くの方が「3割負担」で済みます。

一方、公的保険適用外の診療(自由診療といいます)や混合診療(保険診療と自由診療を併用して行う診療)は「全額自己負担」になります。

体への負担が少なく回復も早いような術式や薬を選んだら、それが公的な保険の適用外で、診察全般を全額自己負担しなければならない…というケースは、意外とよくあります。

ほかにも、入院したときの差額ベッド代や食費は自己負担です。

このように、公的保険で守られていない自己負担の部分を補う目的で加入するのが「もしもときの備えになる」民間の保険です。

「将来のための貯蓄になる」保険

一方、「将来のための貯蓄になる」保険としては、学資保険や終身保険、個人年金保険などがあります。

貯蓄が苦手な人でも計画的に積み立てられますが、途中解約すると元本割れする可能性もある保険です。

保険を見直すときの意外な落とし穴

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出産後、医療保険や生命保険の見直し・新規加入を検討される方は多いものです。タイミングとしても良い時期だと言えます。

ただ、「保険はいつでも加入できる」と思っている方が多いのですが、実は体の状況を細かく申告する必要があり、普段の生活には何の支障もなくても、保険に加入する際は制限がかかるというケースがよくあるので覚えておきましょう。

健康診断の「要再検査」に注意!

健康に関して不明確な要素があると、保険には加入できません。

例えば健康診断で「要再検査」の項目があるのに再検査をしていないと、多くの場合、再検査の結果をもらうまで加入できません。

「帝王切開」のママは注意!

自然分娩で出産したママであれば何の問題もありませんが、帝王切開などで(保険用語では、異常分娩といいます)出産をしたママは、子宮や出産関連の保障に今後制限がかかることがほとんどです。

既存の契約に影響は及ぼしませんので、安心してくださいね。

帝王切開などで出産したママは、次に加入やグレードアップができる「時期」を保険会社に確認し、そのタイミングで検討するといいでしょう。

制限があってもそれ以外の部分で保障が欲しいというのであれば、条件付きで加入してもいいと思います。

学資保険は、過去のもの?

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さて、産後のママが加入しやすい学資保険は、「将来のための貯蓄になる保険」の代表例…でしたが、マイナス金利が常態化した今、実は多くの保険会社が販売を取りやめました。

契約者からお金を預かっても、保険会社が運用益を上げる見込みが立てられないからです。

子どもの教育資金確保と親の死亡保障を兼ねそろえたのがこれまでの学資保険でしたが、その両者の目的を達成するための方法は、今や必ずしも学資保険だけではありません。

「子供が生まれたら学資保険」という常識は、すでに過去のものとなりつつあります。

学資保険は「お金を増やす目的」としてはメリットの薄い商品です。

そのうえ満期まで保険会社に資金をあずけて引き出せないので、他の手段でお金を増やす機会を失っている=機会損失というデメリットがあります。

「増やす」ためにはもっといいものが!

すでに学資保険に加入していたとしても、その契約が今すぐ損をするという訳ではありません。

お金が減るわけではないですし、「貯める」という目的は果たすことができます。

しかし「増やす」という目的で加入したとすれば、積立投資信託など、もっと良い方法があります。

どの選択が最も良いかは、目的や自分の性格、家計の状況によって千差万別。これは学資保険に限らず、ほかの金融商品や保険すべてに言えることです。

その際に判断を仰ぐパートナーとして、FP(ファイナンシャルプランナー)FA(ファイナンシャルアドバイザー)が存在するので、ぜひ活用していただければと思います。

次回はFP・FAの選び方について!

次回は、佐々木さんが最後に触れてくれた「FP」や「FA」について。一体何をしてくれるの?どんな風に選べばいいの?など、基本的なことからご紹介します。


佐々木 愛子

佐々木 愛子

執筆

ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅰ種 10代で妊娠・出産・結婚を経験。離婚後無一文で子育てをスタート。お金の知識がないまま若くしてママになったため、「出産一時金とは…?」「児童手当とは…?」と、何から何までわからないことだらけ。生活費や子供の教育費を稼ぎながら独学で金融について勉強し、保険会社勤務時代はリーマンショック直後500世帯以上と契約を結ぶ。独立系証券IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)を経験後、個人事務所設立。10代のうちから金融、経済について学ぶ大切さを訴え活動している。 佐々木FP事務所:https://fp-sasaki.tokyo.jp/