シンママFPが教える すこしずつお金と仲良くなる方法

【ママが知っておきたいお金の話】#3 現金・キャッシュレス、どちらが賢い?

この連載では、ママやパパに向けて「すこしずつお金と仲良くなる方法」をお伝えしていきます。FP(ファイナンシャルプランナー)の佐々木愛子さんに、シングルマザーとして苦労したご自身の経験を踏まえて、やさしく教えていただきましょう。

前回のお話はこちら↓

【ママが知っておきたいお金の話】#2 貯金するために、まずやるべきことは?

【ママが知っておきたいお金の話】#2 貯金するために、まずやるべきことは?

現金・キャッシュレス、どちらが賢い?

スマホ 女性

今回のテーマは最近話題の「キャッシュレス」です。

経済産業省の発表(※1)によると、日本のキャッシュレス比率は約20%。それに対して、世界でもっともキャッシュレスが普及しているお隣の国韓国は、96%。日本がいかに出遅れているかがわかりますね。

みなさんの中にも、まだまだ現金派の方が多いかと思います。

自称「お金のホームドクター」である私から申し上げれば、現金派とキャッシュレス派、どちらが賢いのか…という議論には、あまり意味がありません。

実際にこれまで、何人もの女性のお財布事情を拝見してきましたが、お金が貯まる・貯まらないというのと日々の決済手段には、関連性が見当たりませんでした。

「じゃあどちらでもいいのね」と考えるかもしれませんが、私のオススメはずばり、「キャッシュレス」!

なぜなら、マネーリテラシーが身に付きやすいからです。

キャッシュレスで身につくマネーリテラシー1
お金の管理ができるようになる

まずは、キャッシュレス決済のメリットとデメリットを抑えておきましょう。

キャッシュレス決済のデメリット◯ お金を使っている瞬間「お金を使っている」という感覚が薄れがち
キャッシュレス決済のメリット◯ 取引明細によって「○○にいくら使った」という、正確な記録を確認することができ、管理がしやすい

この「管理する」というのが、お金と正しく向き合う上で必要不可欠な、マネーリテラシーのひとつ

月に1回、取引明細を確認して、何にいくら使っているかを確認してみましょう。レシートを律儀にまとめてお金の管理をするよりもうんとラクですし、自分のお金の流れがよく見えるようになります。

キャッシュレスで身につくマネーリテラシー2
お金を「貯める」から「増やす」へ

「管理ができていれば現金でもいいんじゃない?」と思うかもしれませんが、現金派の方は次のような悪循環に陥りがちなのです。

現金派が陥りやすい悪循環◯ 「預金口座にお金があってこそ安心」と思い、株式や投資信託を活用して効率よく増やすのは危ない、怖いと感じてしまう

◯ 目先の紙幣が何より大切に感じ、長期的な資産形成が「預貯金」という手段だけになりがち

◯ その結果、インフレの悪影響を受けやすい

子供の教育資金や自分たちの老後資金など、長い年月の先にゴールがあるような資産形成には、預貯金がもっとも有効というわけではありません。しかし現金派の多くの方が、預貯金以外の方法に踏み出せないという傾向があります。

紙幣・貨幣はあくまでも、決済の道具です。キャッシュレス決済で紙幣・貨幣に対する執着をなくすことは、中長期的な目線で資産形成する練習につながります。

つまり、お金を「貯める」から「増やす」へとステップアップするためのマネーリテラシーが身につくのです。

とはいえ、現金派の多くの方が行っている「ある分だけ使う」というシンプルで誠実な姿勢も、家計と向き合ううえで大切です。

その姿勢は残したまま、決済の道具を紙幣から電子データ(キャッシュレス決済)に変えると、マネーリテラシーがぐんとあがるはずですよ。

★インフレとは?
物価が上がり、お金の価値が下がるのがインフレーション(インフレ)、その逆がデフレーション(デフレ)です。みなさんの身の回りの物価、10年前と比べると上がっていると思いませんか?
物価の上昇と同じ幅で収入が増えなければ、それは実質「収入が下がった」と言えます。そのため何十年も預貯金だけを続けていると、貯めているお金の価値がだんだんと下がってしまい、「金額は貯まっているけど、取り崩すタイミングで価値が減っている」ということに陥りがちです。

使い方次第でお得になることも

要出典 キャッシュレス 出典: 経済産業省「キャッシュレスの現状及び意義」 ( www.meti.go.jp )

キャッシュレス決済とひとくちにいっても、様々な方法があります。

ポイントを貯められたり、キャッシュバックキャンペーンが行われていたりと、上手く使えば現金よりもお得になることも。アカウントの作成も意外と簡単です。自分にあった方法をみつけてみてくださいね。

次回は保険の「落とし穴」について!

次回は、多くのママが加入しているであろう民間保険の、意外と知らない落とし穴について。そもそも保険って何のために必要なの?というところから、詳しく解説します。


佐々木 愛子

佐々木 愛子

執筆

ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅰ種 10代で妊娠・出産・結婚を経験。離婚後無一文で子育てをスタート。お金の知識がないまま若くしてママになったため、「出産一時金とは…?」「児童手当とは…?」と、何から何までわからないことだらけ。生活費や子供の教育費を稼ぎながら独学で金融について勉強し、保険会社勤務時代はリーマンショック直後500世帯以上と契約を結ぶ。独立系証券IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)を経験後、個人事務所設立。10代のうちから金融、経済について学ぶ大切さを訴え活動している。 佐々木FP事務所:https://fp-sasaki.tokyo.jp/