子どもの成長を心から願うからこそ、子どもにどう接したらいいのか悩むママは多くいます。どのような接し方をすれば、子どもの能力を大きく引き出してあげられるのでしょうか。
この連載では、3〜6歳の子どもの能力が大きく開花する方法を、KADOKAWAから発売中の書籍「子どもの能力を決める 0歳から9歳までの育て方」からご紹介します。
↓前回のお話はこちら
#2 スキルを向上させるハサミやノリの使い方/
ハサミの使い方
1. 片付ける習慣をつけよう
子どもがハサミの扱い方を覚えたら片づけ方を教えます。使い終わったらプラスチックのサックに入れてしまうことを習慣にします。
子どもは小さな手で一生懸命刃先を細いすき間に入れようとするので、このときに指先の細かい感覚や調節の能力が鍛えられます。マナーと集中力が両方養われるので一石二鳥です。このあと使い方を教えます。
2. ハサミの使い方を教えよう
もしうまく動かせない子がいたら、実際にハサミを持つ前に準備運動をすると理解しやすくなります。
ハサミを持たずに、親指と人差し指・中指をパクパクとくっつける動作をまず練習して慣れさせるのです。
教室ではよく「おててをパックンパックン」「かにさんチョキチョキ」と言いながら指の動かし方を教えます。子どもは楽しそうに練習を行います。
3. 実際にハサミを使ってみよう
今度は着る対象について考えてみましょう。薄すぎても厚すぎても、大きすぎても小さすぎても切りにくいものです。
初めてのチョッキン切りは割りばし袋がよいでしょう。子どもが切るのにちょうどいい厚さと幅、握りやすい長さだからです。
利き手でハサミを持たせ、反対の手で割りばし袋を持たせて、どんどん切らせてください。ハサミが近づいたら反対の手は持ち直すことを教えます。
正のスパイラルを生み出そう
以前「家でもハサミの練習をさせているのですが、うちの子は苦手のようで、いつも嫌がるんです」とおっしゃったママがおられました。
割りばし後のチョッキン一回切りをおすすめしたところ、数週間後には「喜んでどんどん使うようになりました」と報告してくださいました。
これは、できる→楽しい→再度やってみたい→スキルの上達→さらに楽しく感じる、というよいスパイラルが生まれてくるからです。
子どものスキルの上達はすべてこの正のスパイラルが基本となっていることを、親は忘れてはなりません。
きれいな色紙を与えただけで「さあ、切ってみなさい」と言うだけでは、子どもは何をどのように切ったらよいのかわからない場合があります。また「何か形にしなければならない」と感じて尻込みしてしまうこともあります。
無理強いせずに、まずは「どうすれば楽しく感じるか」「どうすればできるようになるか」を考えて取り組ませてください。
スキルを向上させるハサミやノリの使い方/
ノリの使い方
いろいろなタイプのものがありますが、おすすめはツボタイプです。
指でさわるので、しっとりネバネバした感覚が脳に伝わります。また、指を使って塗り広げるので細かい運動訓練にもなります。
手についたノリは洗えばさっぱりするので、ネバネバして気持ち悪い感覚と、洗うとすっきりきれいになる快い感覚を体験します。
家庭でノリを使わせるときは下に新聞紙などを広げ、少しくらいはみ出ても親はやきもきしないようにしましょう。
丸く塗り広げるとき、大きな紙にノリを塗りながら「へリコプターのプロペラくるくるくる」「扇風機のハネがぐるぐるぐるぐる」とリズムよく言葉を添えてあげると楽しんで取り組みます。
そして最後は、使ったあとにきちんとフタを閉めるところまで教えてください。
子どもの利き手を見極めるには?
道具を使い始める頃、「左利きを直したほうがいいですか」という質問をよく受けます。
かなり昔は右利きになるように矯正されましたが今はそのうような強制はありませんし、むしろ左利きは器用である、スポーツや音楽に優れている、天才肌であるという説もあり、無理に右利きにしようとすればストレスがかかってよくない、といわれます。
ただ、現在の日本では右利きの人が生活しやすい形になっているのは確かです。
ドアのノブや車、ハサミや包丁など、左利き用もありますが、一般的には右利き用です。ですので、可能であるのでしたら、右手も使えるようにすればよいかと思います。
子どもの利き手がどちらなのかを判断する目安があります。
できるだけ大きな紙の中央に一センチくらいの穴を開けて子どもにのぞかせてください。一般にのぞいた目のほうの手が利き手といわれているので、右目で見たら右利き、逆は左利きの傾向です。
左手をよく使っていても右目でのぞけば、本来は右利きなのかもしれません。
子どもの能力を引き出そう!
次回も、子どもの能力を引き出す方法をご紹介します。
#3のテーマは「お手伝い」です。お手伝いができるようになると、自立心や責任感、家族への思いやりの心を育てることができますよ。
次回の更新は2021年4月13日(火)です。
お楽しみに!
また書籍には、今回ご紹介した方法以外にも以下のテーマが掲載されています。
● 就学前に教えたい基本概念12
● 責任感は「自分で決める」ことから育つ
● 社会の一員であることを認識させていく
など!子育てに役立つ情報が満載です。ぜひチェックしてみてくださいね。
子どもの能力を決める 0歳から9歳までの育て方
社会を生き抜く「かしこさ」を身につけるには、子どもにどう接したらいい?そんなママの悩みを解決してくれる1冊です。
子どもの成長に合わせた接し方や、声かけの方法がイラストつきでわかりやすく書かれていますよ。
書籍筆者:田宮 由美
たみや ゆみ
子ども能力開花くらぶ「ちゅーりっぷふれんず」代表。小学校教諭・幼稚園教諭・保育士・日本交流分析協会員。幼児教室指導者として、約10年間、7地域で教室を展開。また公立幼稚園・小学校・中学校での勤務や公的ボランティアの活動などを通し、さまざまな角度から多くの子どもたちと接する。2010年に、子ども能力開花くらぶ「ちゅーりっぷふれんず」を開設。現在は、子どもの発達に合わせて適切な教材を考える個別指導を中心に、少人数幼児教室を展開。
ポッケ専門家チーム
作者