できるだけ部屋をきれいにしたいけれど、遊び盛りの子供がいるとそうもいかない…そんな悩みを抱えていませんか?
この連載では、真似するだけで素敵なお部屋になる方法を全9回に渡ってご紹介します。
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【第9回】
照明で部屋の印象はガラリと変わる
照明ってハードル高くて…。これが世間一般のイメージだと思います。
賃貸マンションにお住まいのあるご夫婦。ご自宅に伺ったところ、リビングとダイニングにそれぞれついていたのは、青白っぽい光で、天井に直接取り付けられた円形の照明でした。
一般的な家でよく見るあのタイプですね。じつは、部屋にこのタイプの照明のみというのは、あまりおすすめできません。
部屋全体に光がパーッと行き渡るので、明るさはあります。でもそのぶん部屋がのっぺりして、殺風景な印象になってしまうのです。
ここでいう「部屋がのっぺりする」というのは、白っぽい光で均一に明るいこと。リラックス効果も弱まります。
ダイニングには暖色系の照明を
コンビニをイメージしてください。商品名がはっきり見えるように、白っぽいパーッと明るい照明ですね。
でもけっしてリラックスできる雰囲気ではありません。それと同じ部屋になっているということです。
実際、このご夫婦は「好きな家具を置いているのに、なんだか部屋がさみしい。リラックスできない」と言っていました。そこで私が提案したのが、照明です。
ダイニング側の照明を、吊り下げタイプのペンダントライトにチェンジ。電球は黄色っぽい光にしました。さらにソファ脇のサイドテーブルに、テーブルライトを置きました。
効果は抜群!白っぽい光で煌々とした部屋が、落ち着いた雰囲気の部屋に変身。「照明でこんなに変わるのですね!」と大喜びしてくれました。
そう。照明で部屋はがらりと変わるのです。
部屋に合った照明を置こう
照明のポイントをご紹介します。
電球の色に注目
現在はLED電球が主流。LED電球は大きく分けて「昼光色」「昼白色」「電球色」の3つがあり、それぞれ次の特徴があります。
昼光色
青っぽい寒色系の色。青みがかった色は脳を冷静に保ち集中力を高めるといわれ、仕事や勉強をする書斎や子ども部屋に向いています。
昼白色
白っぽい色でナチュラルな光。太陽に近い自然の色なので、メイクをしたりする洗面所、手元がよく見えるようにしたいキッチンなどに向いています。
電球色
黄色っぽい暖色系。落ち着きのある色なので、ダイニングや寝室に向いています。
一室多灯にする
一室多灯とは、ひと部屋にひとつの照明(一灯)だけでなく、複数の照明(多灯)を組み合わせて置くことです。
たとえばメインの天井灯のほかに、テーブルに小さめのライトを置いたり、床置きのフロアランプを置いたりすると、光の陰影ができます。
すると部屋に立体感が生まれるのです。まさにのっぺりの反対ですね。部屋も広く感じます。
子どもがテレビを見ているときは天井灯で全体を明るくする。夜、夫婦でお酒を飲みながらゆっくり語らうときは、ペンダントライトやテーブルライトだけにする。
そんなふうに生活シーンに合わせて、一室多灯で照明を楽しむといいですね。
複数の照明なんて無理…と感じる人には、もっとも手軽なクリップタイプのスポットライトがおすすめです。
観葉植物の鉢のフチや、テレビの後ろなどにはさんで取り付けます。このスポットライトを一灯プラスするだけでも、陰影が生まれてドラマティックな空間に。
照明はハードルが高いなんて思わず、ぜひ試してみてほしいアイテムです。
余談
最後にちょっと余談です。文豪、谷崎潤一郎が昭和8年に発表した随筆に『陰翳礼賛(いんえいらいさん)』があります。インテリアスクールで勉強を始めたとき、先生にすすめられて読み、大変感銘を受けた作品です。
昭和8年は、ちょうど日本人の生活様式が和から洋へ変化した時期。
煌々と電気がつき、明るいのがよしとされる時代の流れを嘆き、まだ電気がなかった頃の日本の日常風景だった、障子からもれるほのかな明かりや部屋の奥の黒い影。
その陰影にこそ日本古来の美しさがあった。そんなことが書かれていました。
光と影。これこそ現代の照明を考えるときにも、大切なことなのです。
※この連載は『今あるもので「あか抜けた」部屋になる。』(サンクチュアリ出版)からの転載です。
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今あるもので「あか抜けた」部屋になる。
できるだけ部屋をきれいにしたいけれど、遊び盛りの子供がいるとそうもいかない…そんな悩みを解決するのにぴったりな一冊です。
真似するだけで勝手に部屋があか抜ける、黄金ルールが詰まっていますよ。ぜひお手にとってみてくださいね。
荒井詩万
著者