「産後は骨盤体操をやるといい!」と聞いたことがあるママは多いと思います。しかし、なんで骨盤体操が必要なの?どうやってやるの?と思うママも多いはず。
そこで今回は、累計約3万件の施術経験をもち、1児の父でもある鍼灸按摩マッサージ指圧師の島田健先生に、産後の骨盤の状態と簡単にできる骨盤体操を6つ教えてもらいました!
そもそも産後の骨盤はどんな状態?
産後は、 妊娠中に分泌される「リラキシン」というホルモンと「出産」の2つの影響で、骨盤のおおよそ下半分のところが開いてしまっています。
骨盤の「恥骨結合」部分が離れてしまっていることもあります。
本来であれば骨盤は徐々に元の位置に戻っていくのですが、島田先生によると、最近は妊娠前からの運動不足や姿勢の悪さから、骨盤の位置が戻りにくくなっている人が多い傾向にあるとのこと。
そのため、骨盤体操やストレッチ、補正下着などをうまく使って、骨盤が正しい位置に戻るようにサポートしてあげることが大切なのだそうです。
Q. 産後の骨盤体操がおすすめの理由は?
産後はリラキシンの影響で骨盤まわりの筋肉が緩みやすくなっているので、骨盤を正しい位置に戻すために骨盤底筋群を動かすことが大切です。
ただ、骨盤底筋群は意識して動かすことが難しかったり、そもそも意識できない部分が多くあります。
そのため、意識的に骨盤周囲を動かすことができる骨盤体操をやると良いですね。
Q. ちなみに、骨盤体操をすると痩せますか?
ただ、骨盤が正しい位置に戻ることで、おしりや太もも周りの筋肉全体のバランスが整うので、体のシルエットがすっきりしますよ。
なるほど…。「骨盤体操=痩せる運動」ではありませんが、産後の開いた骨盤を正しい位置に戻して健康的で整った体を手に入れるためにも、骨盤体操はおすすめなようです。
ではここからは、「島田先生直伝!簡単にできる骨盤体操」を6つご紹介します!動画付きなので、ぜひ見ながら試してくださいね。
産後の骨盤体操1:腰回し
やり方
- 肩幅に足を開く
- 腰をぐるぐるまわす
腰は、同じ方向にまわし続けて構いません。
ポイント
● 上半身はなるべく動かさない
● 難しい場合は膝を緩める
骨盤だけを動かして、上半身がゆらゆら動かないように意識してみましょう。難しい場合は、膝を少し曲げるとまわしやすくなりますよ。
産後の骨盤体操2:おしり歩き
やり方
- 足を伸ばして座り、胸の前で手を組む
- その状態で、おしりを動かして前後に移動
腕を胸の前で組むことが難しい場合は、歩くときのように腕を前後に振っても構いませんよ。
ポイント
● 座るときは骨盤を立てる
● なるべく前傾姿勢にならないように
骨盤をしっかり立てることを意識して座りましょう。前後に動くときは、前傾姿勢にならないように注意してくださいね。
産後の骨盤体操3:ドローイン
やり方
- 膝を立てて仰向けになる
- 息を吐きながら背中を床にべったりつけるように腰を動かす
- 息を吸いながら腰を元の位置に戻す
ポイント
● 骨盤を床につけることを意識
● しっかり呼吸をする
どこを鍛えているのか分かりにくい体操だと思いますが、意識するのは骨盤!骨盤をゆっくり動かすことが大切です。また、息を止めず、しっかり呼吸をしながら腰を動かしてくださいね。
産後の骨盤体操4:ショルダーブリッジ
やり方
- 膝を立てて仰向けになり、おしりを持ち上げる
- そのまま2秒キープ
- ゆっくりおしりを下ろす
ポイント
● ゆっくり動かす
● 床と体全体で綺麗な三角形が作れるように
おしりを上げ下げするときに、勢いに任せずゆっくり動かしましょう。おしりは上げられるところまで上げて、床と自分の体で綺麗な三角形ができるのが理想です。
産後の骨盤体操5:足を上げ下げ
やり方
- 横向きに寝た状態で上になっている足を、体の少し前に膝を曲げて置く
- 下の足を、伸ばしたまま上に上げる
- その状態で2秒キープ
- ゆっくり足を下ろす
この動きを左右両方行いましょう。
ポイント
● ゆっくり動かす
● 上げられるだけ足をあげる
骨盤体操4と同じく、勢い任せにせずゆっくり足を動かしましょう。動画のスピードくらいが目安です。最初はあまり足が上がらないかもしれませんが、できる範囲で足を上に上げてみてくださいね。
産後の骨盤体操6:ペダル漕ぎ
やり方
- 膝を立てて仰向けに寝た状態から足を上げる
- ペダルを漕ぐように足を動かす
ポイント
● 肩と腰が床から浮かないように
● より負荷をかけるには、足を床ギリギリまで下ろす
他の骨盤体操に比べて少し大変なので、体に力が入ってしまうかもしれませんが、肩の力を抜いてやってみましょう。慣れてきて余裕がある場合は、床ギリギリまで足をしっかり伸ばすと、より負荷がかかりますよ。
産後の骨盤体操で意識することは?
産後、骨盤体操をやるときに意識することは、以下の4つだと島田先生は言います。
1. とりあえず続けてみる
骨盤体操は、自分では意識することが難しい筋肉を動かすため、何をやっているのかよく分からない動きもあると思います。しかし、途中でやめずに続けてみることが大切です。
2. 自己流ではやらない
特に産前に運動をほとんどしていなかった場合、自己流でやってしまうと、効果がなかったり体を痛めてしまったりすることもあります。
動画の通りに骨盤体操をして、なるべく自己流でやることは控えましょう。
3. 呼吸を止めず、リラックスしてやる
骨盤体操をしていると、知らないうちに息を止めてしまっていることもありますが、呼吸を止めてしまうと横隔膜の動きもなくなってしまいます。
骨盤底筋と横隔膜は密接な関係があり、呼吸をしている方が骨盤底筋やインナーマッスルは連動しやすいので、しっかり呼吸をしてリラックスした状態で骨盤体操をしましょう。
4. 自分の体と相談しながらやる
骨盤体操は、特に回数の制限などはありません。その一方で、人によって体の状態は異なるため「1回◯セット」と決めるのはあまり意味がないとのこと。
大事なのは「自分が少ししんどいな、と思ったところよりちょっとだけ多くやる」ことなので、自分の体の感覚と相談しながら、少し負荷をかけてやってみましょう。
産後の骨盤体操は、産後6ヶ月が勝負!
骨盤を正しい位置に戻しやすいのは、リラキシンの影響で骨盤周りの筋肉が緩んでいる産後6ヶ月以内。それ以降は、一度固定されてしまった骨盤の位置を戻すのは大変なようです。
赤ちゃんのお世話で毎日忙しいと思いますが、簡単な骨盤体操で少しずつ体を整えていきましょう!
取材協力:島田 健
鍼灸按摩マッサージ指圧師、IASTM、NKT、PRI、ERS
Plus March 代表。累計約3万件の施術経験。東京医療専門学校本科にて鍼灸按摩マッサージ指圧師の国家資格を取得。在学中より様々な著名人やアスリートの通う治療院に勤め、その後コンディショニング施設にて治療面とトレーニング面からの指導を行ってきたのち独立。現在は完全紹介制の出張ケアサービス「Plus March」を立ち上げ、企業やご自宅への出張施術をしながら、トップアスリートや著名人、アーティスト舞台公演帯同、メディア出演、記事監修など幅広く活動。