「寝かしつけにかかる時間が今の半分になったら、どんなに楽だろうか…」
日々の寝かしつけを負担に感じているママは、少なくないと思います。寝つくまでずっと抱っこしたり、ようやく眠ったと思ったら物音で目を覚ましてしまったりと、赤ちゃんの寝かしつけは大変ですよね。
そこで今回は、寝かしつけの超プロである乳幼児の睡眠コンサルタント・愛波文さんに、赤ちゃんが早く、そして深く眠れるようになるコツや注意点などを聞いてきました。今回はその前編です。
寝かしつけの超プロがいる!?
赤ちゃんの寝かしつけにかかる時間が短くなったら…、夜中にまとめて寝るようになったら…と思うママも少なくないですよね。
じつは、そんな方法を教えてくれる専門家がいるんです。
その専門家というのが「愛波 文」さん。
最近、スタンフォード大学睡眠研究所所長、西野精治先生の監修のもと『ママと赤ちゃんのぐっすり本』(講談社)を出版して話題になったので、ご存知の方もいるかもしれませんね。
愛波文さんとは?
愛波さんは2児のママ。
長男の夜泣きと長時間の寝かしつけがきっかけで、乳幼児の睡眠についての科学的な知識を学び、日本人で初めて国際認定資格を取得した乳幼児の睡眠コンサルタントです。
現在はニューヨークで子育てをしながら、赤ちゃんの寝かしつけで悩む日本のママに対して、乳幼児の睡眠に関する教育や改善プログラムの提供、個別相談、妊婦と乳幼児の睡眠コンサルタント資格取得の講師をしています。
いわば、寝かしつけの超プロ。というわけでさっそく、多くのママたちが悩む「寝かしつけ問題」について、話を聞いてきました!
寝かしつけ短縮でママも赤ちゃんも幸せに!
−寝かしつけにかかる時間が短くなると、いいことづくめですよね?
愛波さん
そうですね。最大のメリットとしては、ママが自分の時間を持てるようになることが挙げられます。
抱っこしながらじゃないと赤ちゃんが寝てくれなかったり、寝かしつけに時間がかかってしまったりすると、ママ自身の寝る時間が遅くなってしまいますよね。
また、添い寝していてママも寝てしまい、夜中に起きて家事をして、再び眠りにつくのが1時・2時になってしまうこともあります。
そのうえ、旦那さんの出社に合わせて朝早く起きないといけない…といったこともあるわけで、とにかくママは自分の時間もなければ、まとまった睡眠をとれないことも多いと思います。
ところが、後ほど説明する「睡眠の土台」を改善すると、寝かしつけの時間が短くなったり、夜泣きを改善できたり、寝かしつけを卒業して赤ちゃんが自分で寝てくれるようになったりするんです。
すると、ママ自身が質のいい睡眠をとれるようになり、自分の時間も持てるようになります。その結果、肉体的な健康はもちろんですが、精神的にも健康になり、ハッピーに子育てができるようになります。
−赤ちゃんにとってのメリットはありますか?
愛波さん
子供に、質のいい睡眠をプレゼントできることもメリットですね。
睡眠を改善すると、寝ぐずりや夜泣きがなくなり、一晩中ぐっすり寝てくれるようになります。
そうすると、夜中に頻繁に起きず、質のよい睡眠がとれるようになるんです。
−睡眠を改善すると、質がよくなるんですね。
愛波さん
もちろん睡眠の質以外にもメリットはあります。
たとえば、寝かしつけを卒業し、赤ちゃんがセルフねんね(自力寝)できるようになると、自分で自分を落ち着かせられるようになります。
また、セルフねんねができるようになると、ママの育児ストレスやうつ気分が軽減したという研究結果もあります。
子供に対しては、情緒的な安定が高まったという報告があります(※1)。
寝かしつけに3時間!その意外な原因とは?
−寝かしつけの改善ってすぐできるのでしょうか?
愛波さん
今日からでもできる対策はいっぱいありますよ。1日で効果が現れる場合もありますが、一貫性を持って続けることが何よりも大切です。
たとえば私のクライアントさんのなかに、寝かしつけに3時間かかるというママがいました。
そこで、詳細に話をうかがい、分析して、原因を探り、アドバイスをしました。そして、そのアドバイス通りに実践してもらったところ、お子さんが15分で寝てくれるようになったんです。
−その原因というのは、何だったのでしょうか?
愛波さん
ママが出張中にお祖母ちゃんが送り迎えをしてくれていたのですが、1日だけどうしてもお祖母ちゃんが迎えに行けない日がありました。代わりにお祖父ちゃんが迎えに行き、夜ご飯や寝かしつけを担当した日があったんです。
詳しく聞いてみると、その日を境に、寝かしつけに3時間かかるようになったとのことでした。
−大人からすると些細なことでも、赤ちゃんにとっては寝つけなくなるくらい大きなことなんですね。
愛波さん
そうですね。お散歩中に犬に突然吠えられたのがきっかけで、急に寝かしつけに時間がかかるようになったという赤ちゃんもいますよ。
−ちなみに、その寝かしつけに3時間かかっていた赤ちゃんは、どのような方法で15分で寝てくれるようになったんですか?
愛波さん
睡眠の土台の一つである、ママとお子さんの「幸福度」を見直していきました。
「お子さんの目を見ながら、そのときのお子さんの不安な気持ちをあらためて受け止め、そして頑張ってくれたことへの感謝を伝えてしっかり抱きしめてあげてください」とお願いしただけです。
−たったそれだけのことで、そこまで劇的に寝かしつけにかかる時間が変わるんですね!
寝かしつけ改善に不可欠な3つの要素!
−話を聞いていると、愛波さんの寝かしつけ改善方法はいわゆる「ネントレ(ねんねトレーニングの略)」と違う気がします。
愛波さん
ネントレの指導をすることもありますが、「睡眠の土台」を整えるだけで睡眠トラブルや悩みが改善するケースが多いんです。
寝かしつけの改善というと、赤ちゃんが自分で寝られるようになるためのネントレにばかり目が行きがちですが、「睡眠の土台」がしっかり整っていれば、わざわざネントレをする必要がないケースがとても多いんです。
−睡眠の土台とはどのようなものでしょうか?
愛波さん
睡眠の土台は、大きく分けて3つあります。
1. 睡眠環境
2. 幸福度
3. ねんねルーティン
赤ちゃんがぐっすり、すんなり眠れるようになるには、この3つが必要不可欠なんです。
寝かしつけ改善に必要な「睡眠環境」とは?
−睡眠環境とは何ですか?
愛波さん
睡眠環境は、寝るときの温度や湿度、音や光の有無、寝るときの服装や寝床の安全性などです。
代表的な例として、以下に寝かしつけ改善のための、光・温度・湿度に関して実践していった方がいいことをご紹介します。
光に関して実践した方がいいこと | |
1 | 朝起きたら、カーテンを開けて5分以上は日光を浴びさせる |
2 | スマホやテレビの画面を見せるのは、就寝2時間前までにする(遅くとも1時間前までには必ず見せないようにする) |
3 | 寝かしつけるときは遮光カーテンを閉め切り、照明はすべて消し、室内を真っ暗にする |
温度・湿度に関して実践した方がいいこと | |
1 | 室温は20〜22℃にする(大人からすると肌寒いと感じる程度で大丈夫) |
2 | 湿度は40〜60%をキープする |
愛波さん
睡眠環境のなかでも特に重要なのは光です。
光があると脳が「起きていてもよい」というシグナルを出してしまうんです。
昼寝が短い子、寝ぐずりがある子、早朝起きがある子に関しては、光をシャットアウトしてみると悩みが改善する可能性がありますよ。
寝かしつけの秘訣の続きは後編で!
というわけで、前編はここまで。
後編では、幸福度とねんねルーティン、注意点についてじっくり話をうかがいます。
お楽しみに!
参考書籍
『ママと赤ちゃんのぐっすり本』
出典: sleepingsmartconsulting.com
- 税込価格
- 1,296円
取材協力:愛波 文
あいば あや
『ママと赤ちゃんのぐっすり本』(講談社)著者。 子どもの睡眠コンサルタント。APSCアジア/インド代表。IMPI日本代表。一般社団法人日本妊婦と乳幼児睡眠コンサルタント協会代表理事。Sleeping Smart®代表。慶應義塾大学卒業。2012年に長男出産。夜泣きや子育てに悩んだことから乳幼児の睡眠科学の勉強をはじめ、米国IMPI公認資格(国際認定資格)を日本人で初めて取得。2015年に次男を出産。現在、2人の男の子の子育てをしながら、子どもの睡眠に悩む保育者のコンサルティングや個別相談、日本人向けに子どもの睡眠教育プログラムを提供。IMPIと提携し、オンラインで妊婦と子どもの睡眠コンサルタント資格取得講座の講師も務めている。
愛波文のHP:https://sleepingsmartconsulting.com/
Blog:https://ameblo.jp/babysleepsite/
Instagram:https://www.instagram.com/aya_aiba/
LINE:https://line.me/R/ti/p/%40ayaaiba
Twitter:https://twitter.com/sleepingsmartJP
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