「寝かしつけに時間がかかって大変…」
「赤ちゃんが夜中に何度も起きてしんどい…」
そんな人に向けて、赤ちゃんが早く・深く寝てくれる秘訣をお伝えする特集の後編です。
前回は、寝かしつけの改善に大切な「睡眠の土台」である、睡眠環境・幸福度・ねんねのルーティンの3つのうち、睡眠環境までご紹介しました。
引き続き、寝かしつけの超プロである、乳幼児の睡眠コンサルタント愛波文さんにお話をうかがいます(前編は以下参照)。
寝かしつけ改善に必要な「幸福度」とは?
−睡眠の土台の2つ目、幸福度とは何でしょうか?
愛波さん
幸福度というのは、親子の心がどれだけ満たされているかを示す度合いです。
ママ(親)の幸福度が高いと、赤ちゃんの機嫌がよくなってぐずることが減り、寝かしつけがスムーズになることがあります。
そうすると、赤ちゃんがぐっすり寝てくれるため、ママの睡眠の質もよくなり、育児に余裕が生まれます。
反対に、ママ(親)の幸福度が満たされていないと、赤ちゃんの機嫌が悪くなったり、泣いてぐずりやすくなったりします。
すると、寝かしつけに時間がかかったり、夜泣きが発生したりして、睡眠トラブルが起こりやすくなってしまうこともあるんです。
結果として、親子ともに睡眠不足になって、ママは自分の幸福度を満たす時間が作りにくくなるし、育児に余裕がなくなってイライラしてしまうこともあります。
−子供の幸福度はどうすれば満たされるのでしょうか?
愛波さん
1つポイントを挙げるとすると、子供と真剣に向き合う時間を作ることです。
そう聞くと、離乳食をあげている時間やお風呂に入れてあげている時間が真剣に向き合う時間だと思う人が多いのですが、そうではないんです。
私の言う“真剣に向き合う時間”とは、テレビなし、ケータイなしで真剣に一緒に遊んであげる時間です。
−1日何時間くらい真剣に向き合う時間を取ったらいいのでしょうか?
愛波さん
1日に20〜30分くらいが理想ですね。
−働いていたりすると、1日20〜30分というのはなかなか難しそうですね。
愛波さん
そうですね。残念ながら、私自身もできていないときがあります。
子供が2人いるので、ふと1日を振り返ると、1人ひとりに30分ずつ向き合えなかったなと反省することは珍しくありません。
どうしても20〜30分とれない場合、「5分でも3分でもいいですよ」とクライアント様に伝えています。自分ができる範囲で大丈夫です。
その代わり、一緒に遊ぶときはきちんと目を見ながら感謝の言葉を伝えたり、スキンシップをとったり、30秒ほどギューっと抱きしめてあげたりしてみてくださいね。
寝かしつけ改善のために、毎日なるべく幸福度を意識して生活することを心がけるとよいですよ。
寝かしつけ改善に必要な「ねんねルーティン」とは?
−ねんねルーティンというのはどのようなものですか?
愛波さん
ねんねルーティンは、入眠儀式と呼ばれたりすることもあります。
赤ちゃんは、次に何が来るのかわかると安心するんです。だから、小さいうちから毎日同じ流れで寝かしつけをすることが重要になります。
たとえば我が家の場合、お風呂に入って、パジャマに着替えて、歯磨きをして、その後に絵本を2〜3冊読み聞かせます。読み終わったら部屋を暗くして、「大好きだよ」と伝えて就寝、ということを毎日行なっています。
−月齢が小さいと、ねんねルーティンは何をやったらいいのか迷ってしまいそうです。
愛波さん
新生児のママから、ねんねルーティンを何にすればいいのかわからないという質問を受けることがあります。
確かに新生児だと絵本にも反応してくれませんし、困ってしまいますよね。でも、それでも一貫性を持って続けることが大事なんです。
たとえ絵本に反応しなくても、繰り返し寝る前に同じ絵本を読み聞かせていれば、それだけでねんねルーティンが自然とできあがっていきます。
「この絵本を読んだら、次は寝るんだ」というのが、赤ちゃんも徐々にわかるようになるからです。
ぐずってからの寝かしつけは遅すぎる!?
−寝かしつけを改善するときの注意点は何でしょうか?
愛波さん
いくつかありますが、まず赤ちゃんの活動時間(起きていられる時間)やベストな睡眠時間を知ることが大切です(以下参照)。
愛波さん ママの中には、夜ぐっすり眠らせるために昼寝をあまりさせない人がいますが、実は逆なんです。
昼寝をさせた方が夜にねんねトラブルが発生しにくく、ぐっすり寝てくれるようになるんです。
もちろん、3〜4歳くらいで3〜4時間の昼寝をしたら、夜寝るのが遅くなってしまいます。しかし、新生児から、一般的に昼寝がなくなる3〜4歳までは、昼寝がとても大事になります。
−昼寝をさせた方が寝つきがよくなるのはなぜですか?
愛波さん
赤ちゃんは疲れすぎてしまうと、コルチゾールというストレスホルモンが過剰に分泌されてしまい、興奮して逆に眠れなくなってしまうからです。
だから、昼寝をさせて疲れを取ってあげることで、寝ぐずりもなく、スムーズに寝かしつけができるようになります。
上記の表と赤ちゃんが出す「眠い」の合図を見ながら、活動時間内で寝かしつけをすると、すんなり寝てくれる可能性が高くなりますよ。
−むしろ昼寝をさせた方がいいんですね。
愛波さん
そうです!昼寝は子供の成長にとても大事なので、絶対にさせたほうがよいです。
ぐずったり、泣いたりしたら寝かしつけを始めるママが多いのですが、それでは遅すぎるんです。
赤ちゃんが疲れすぎる前に、寝かしつけをするようにこころがけてみてください。
−心の持ち方としてはどのような姿勢で取り組むのがいいのでしょうか?
愛波さん
意識的な面でいうと、1日で睡眠改善はできないので、焦らず一貫性を持って続けることが大事です。
すぐに解決したくなる気持ちもわかりますが、焦って取り組むと、その焦りが子供に伝わって逆効果になることがあります。
子供の寝る力を信じてあげることも重要です。子供を信じていないと、焦りと同じように子供に伝わってしまいます。
また、ママが不安だと一貫性を持って続けられなくなってしまうことがあるので、ママが自信を持つことも大事です。
切羽詰まった問題だからこそ、早く改善したくなりますが、寝かしつけを改善したいのであれば、焦らずに睡眠の土台を一つずつ改善していくことが重要ですよ。
寝かしつけに悩んだら助けを求めよう!
−最後に、寝かしつけに悩むママへメッセージをお願いします。
愛波さん
日本にはまだまだ「ママは子供のために苦労しなければならない」「我慢をしなければいけない」といった風潮がありますが、子供も笑顔がないママよりも笑って元気いっぱいのママの方が嬉しいと思います。
なので、ママがもっと自分を大切にして、育児を楽しんでほしいと思っています。
でもそのためには、赤ちゃんがしっかり寝てくれて、親子ともに質のよい睡眠をとることが大切。
お子さんの睡眠や自分の睡眠で悩んでいる場合、睡眠改善を行い、ママも赤ちゃんもハッピーになってほしいですね。
−何から手をつけていいのかわからないという人もいると思いますが、そういう人はどうすればいいでしょうか?
愛波さん
1人だと行き詰まってしまうことがあるので、そういうときはぜひ、周りに助けを求めてみてください。
私自身もそうだったのですが、「助けてほしい」と周りに伝えれば、必ず助けてくれる人が出てきます。
1人で悩む必要はないので、もし寝かしつけやお子さんの睡眠で悩んでいるのであれば、もっと助けを求めましょう。
−愛波さんのような専門家に相談するというのも一つの手かもしれませんね。ありがとうございました。
寝かしつけに関する取材を終えて
寝かしつけの問題で悩んでいると、ぐずっている赤ちゃんを何とか寝かしつけようと目の前のことにばかり意識が向きがちだと思います。
しかし、愛波さんに話をうかがって、夜の寝かしつけだけではなく、生活全体や親子の精神面も睡眠の質を左右することがわかりました。
寝かしつけで悩んでいる方は、その点を意識して、睡眠の土台を見直してみてはいかがでしょうか。
参考書籍
『ママと赤ちゃんのぐっすり本』
- 税込価格
- 1,296円
取材協力:愛波 文
あいば あや
『ママと赤ちゃんのぐっすり本』(講談社)著者。 子どもの睡眠コンサルタント。APSCアジア/インド代表。IMPI日本代表。一般社団法人日本妊婦と乳幼児睡眠コンサルタント協会代表理事。Sleeping Smart®代表。慶應義塾大学卒業。2012年に長男出産。夜泣きや子育てに悩んだことから乳幼児の睡眠科学の勉強をはじめ、米国IMPI公認資格(国際認定資格)を日本人で初めて取得。2015年に次男を出産。現在、2人の男の子の子育てをしながら、子どもの睡眠に悩む保育者のコンサルティングや個別相談、日本人向けに子どもの睡眠教育プログラムを提供。IMPIと提携し、オンラインで妊婦と子どもの睡眠コンサルタント資格取得講座の講師も務めている。
愛波文のHP:https://sleepingsmartconsulting.com/
Blog:https://ameblo.jp/babysleepsite/
Instagram:https://www.instagram.com/aya_aiba/
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