子育てには正解はない、とよく言います。子供とどのように接すれば良いのか、どのような関係を築いていけば良いのか、迷ったり不安になったりするママパパは多いのではないでしょうか。
他の家庭の親子関係を知る機会は少なく、家族のこと、育児のことはどうしても自分自身の経験が中心になってしまうと思います。
そこでninaruポッケでは、「私のお母さん」をテーマに様々な方にインタビューする企画をスタート。
第1回目は、Twitterフォロワー数が12万人を超えるライターの5歳さんです。「お母さんの尊敬しているところをあげたらキリがない」と言うほど、5歳さんは子供の頃からずっとお母さんと仲良しだそう。
5歳さんとお母さんとのお話から、良好な親子関係を築くコツが見えてきました。
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【プロフィール】
5歳(株式会社アマヤドリ)
36歳。ライター/コラムニストとして活躍中。Twitter(@meer_kato)で嫁と息子2人との日常を綴り、その愛情たっぷりの日常ツイートが漫画化された『ぼくの嫁の乱暴な愛情』が発売中。
人を喜ばせる原体験は、母へのプレゼント
ー 本日は5歳さんのお母さんについて、お話を伺いたいと思います。
よろしくお願いします!
母については語ることがいっぱいありますね。尊敬しているので、お母さんのことは。
ー 5歳さんとお母さんって今はどんな関係ですか?
めちゃくちゃ仲良しですよ。生まれてこのかた、ずっと仲良しかも。
寮制の高校に通っていたので、中学までしか家にいなかったんですよ。高校の休みもあまり帰らなかったし、高校卒業してからも家に帰っていないので、母と一緒に過ごした時間は長くないかもしれないですね。
ー そうなんですね。まず最初に、お母さんとの思い出を伺いたいのですが、初めてお母さんにプレゼントをしたのはいつですか?
小学校2年生の時ですね。
たぶんね、1ヶ月に何百円しかお小遣いをもらってなかったんですけど、それを結構ずっと貯めて、母の日にお母さんに3,000円くらいのエプロンを買ってあげたんですよ。
ー ええ、素敵…!
うちのお母さんはブタのキャラクターがめちゃくちゃ好きだから、白と黒のチェックのブタのきれい目の感じのエプロンを、近所の呉服店みたいなところで買ったんです。
お母さんはいつもエプロンつけてたから、プレゼントしたらめちゃくちゃ喜んでたし、めっちゃ驚いてました。
「これはよそ行きのエプロン」って言って。
ー それは嬉しいですね!
うん、それが僕はすごい嬉しくて。
その時のお母さんがめっちゃ嬉しそうな顔をしてたんですよ。
うちの地域は、授業参観の時とかもエプロンとかで行っていいような感じだったんですよね。お母さんはいつも本当にそういうよそ行きの時に、そのエプロンを着けてきてくれて。
「人にプレゼントするのってめっちゃ楽しいことなんだ」っていうのを、マジでその時に思ったのを今でも覚えてるんです。
僕そこから、コツコツお金を貯めて秘密でプレゼントするのにめちゃくちゃハマって。
父親がお酒好きだったから、お金貯めて酒屋行っていいお酒買って父の日にプレゼントしたりとか、結構やったんですよ小学校の時に。
ー すごい…優しいですね…。
僕は今でも、人にプレゼントするのがめっちゃ好きなんですよ。
あの時の母親のエプロンが、人にあげるのとか人を喜ばせるのが好きっていうのに繋がってると思う。
「プレゼントをあげると喜んでくれるんだ」っていうのをその時に知って、それが僕の原体験になっていますね。
母から学んだ、常に前を向いて今を楽しむこと
ーとてもいい話をありがとうございます!冒頭で5歳さんは「お母さんを尊敬してる」とおっしゃってましたが、お母さんを初めて尊敬したのはいつですか?
僕が20歳くらいのときですね。
お母さんはもともと体があんまり丈夫じゃないんですが、心臓発作を起こして。急いで病院に駆けつけたんですけど、そのとき母親は意識回復してて、ICUで看護師さんを笑わせてたんですよ。
ー え…!?
「母親が死ぬかも」って近所の人から聞いて、もうまじで焦って行ったら病室から笑い声が聞こえて。母親が笑いとってやがると思って(笑)。
さっきまで死にかけてたよね?って。瀕死の状態で笑いとってるんですよ。
この人ほんとすげえなって思って。
ー サービス精神旺盛な方なんですね。
本当にそう。この人は、死ぬ間際まで周りの人のことを笑わせながら生きていくんだなって。
その姿勢はまじで見習いたいなって思いましたね。
ー他にも尊敬している部分ってありますか?
そうですね、お母さんは普段からテレビとか身の周りで起こった面白いことをチェックしてて、僕が帰ると「この間面白いことがあったんだ」って話してくるんですよ。
大抵面白いんだけど、時々この間も同じこと話してたじゃん、ってことがある。そういうときは僕も「お母さん、この間も同じこと話してたよ」って言うんですよ。
ーええ。
そうするとお母さんは「面白いんだからもう一回聞いてよ!」って言うんですよ。
ーすごいメンタル…(笑)
すげえ心臓に毛生えてやがるって思って(笑)。
まあ、また話聞くと面白いんですよね。うちの母親のポジティブトーキング能力はまじで学んでますね。
▲カゴを編む真似をする5歳さん。
ー5歳さんのお母さんって面白くてポジティブな方ですね。
そうですね、もう尊敬する点なんてあげたらキリがないけど、それこそ、いかなるどんな状況でも楽しむ。
うちめちゃくちゃ貧乏で、子供も4人もいたから、お母さんは趣味にお金をかけられなかったんですよね。
そこで何をし始めたかというと、木のツルでカゴを編むのに目覚めたんですよ(笑)。休みの日に、僕は母と一緒に山に木のツル取りに行ってました。
うちの母は、たとえお金がなくても、与えられた環境を楽しむのがめちゃくちゃ上手な人ですね。
僕も自分のことを面白い人間だと思ってるけど、僕より父親と母親の方が面白い。
特にうちの母親は好奇心の塊だから、あれで体力があったらどうなってるのかなって思います。もうクリエイティビティがすごい。
「あなたの好きなように生きていっていいわよ」
ー お母さんとずっと良好な関係なのが分かったのですが、過去に親子喧嘩をしたことはありますか?
喧嘩…ありますね。
高校卒業した後に、自転車で日本一周して2年間くらい旅人やって。その後に海外でバックパッカーでいろんなとこ周ったんですよ。
でもまあこれくらいかなと思って、就職したんですよね。その時が25歳とかかな。
ー 結構長くやっていたんですね。
そうっすねえ。
ずっと旅してた息子が就職して、うちのお母さんは「この子やっと普通のレールに戻ってきたな」みたいな。就職したことをすごい喜んでたんです。
でも僕、就職してしばらくしたら、どうしてもまた旅に出たくなっちゃって「お母さん、やっぱ仕事やめてまた旅人になるわ」って言ったんですよ。
ーいきなり!?
そうしたら母親が「心臓が苦しい」って言ったんですよ。「お父さんお水、心臓が苦しい」って。
ー うわあ…(泣)
高校生で家を出てからぶっちゃけほんと帰ってなくて、かなり放蕩息子みたいになってたから、母親も心配してたんですよね。
喧嘩というか、その頃は母親も結構弱ってたから、何か不安なことがあると心臓が痛くなっちゃって。
うちの父親は僕のやることに全く文句を言わないんですけど、父親に「今度からは言い方を気をつけるように」って言われました。
ー 言い方だけ注意されたんですね(笑)。その後、お母さんは納得されたんですか?
母親も落ち着いた後に、しばらくして電話かけてきて。
「あなたは今まで好きなように生きてきたし、これからもたぶんそうやって生きていくだろうから、私のコントロールできるものじゃないだろうし、あなたの好きなように生きてったらいいわよ」って、めちゃくちゃ小さい声で言われたんですよね。
まあでもなんだろう…あんまり、親の期待に応えてこなかったので。好き勝手にやらせてもらったのかなって。
常に親が予想しない方に生きてきて、父親はそれを楽しんでたけど、母親は心配してたんだろうなと今は思いますけどね。
ー 5歳さんのことを心配しながらも見守ってくれて、優しいお母さんですね。
親子喧嘩って、親離れ子離れできてないと喧嘩になるんじゃないかなと。
特に親って、自分の子供のことを所有物だと思っているところがあると思って。親が子供に、こうなって欲しいとか、期待がありすぎると、「こんなはずじゃなかった」みたいな感じで喧嘩になるのかなって。
ー 確かに…子供のことを心配して、過保護になるお母さんって結構多いのではないかなと思います。親離れ子離れできず苦しんでいる親子はいるのではないかなと。
うん、でもそういう母親との関係に火を放たないといけない、ぶっ壊さなきゃいけない瞬間ってあって。
ちなみにうちの母は、36歳の時に母の父(5歳さんの祖父)と絶交してるんですよ。
ーえ、そうなんですか。
うちのお母さんは、過保護に育てられたみたいで。親が「お前はこういう風にしないとダメだ」っていうのは、裏をかえすと俺が守ってやらないとダメだっていうことじゃないですか。
でも私は違う、自由に生きていけるんだって目覚めて、「私はあなたのもんじゃない」と絶交宣言をしたんです。
お母さんは「あの時があったから自由になれた」って言ってましたね。
ー ではお母さんは5歳さんの育て方について、お父様のことを反面教師にされていたということでしょうか。
そうだと思いますね。
やっぱね、子供を可愛がりすぎるのはよくない、ということをお母さんは知っているんじゃないかな。
母を楽しませることが、きっと親孝行になる
ー 5歳さんは、今後お母さんにどんな親孝行をしてあげたいですか?
いやー僕は親孝行のことしか考えてないですよ。
この間、正月終わった後に実家遊びに行ったんですけど。うち、家族の団欒ってのを今でもするんですよ。家族集まると、テレビをつけないんですよね。みんな持ちネタがあって、みんなで話す。
うちの兄弟の口癖が「その話オチある?」っていう(笑)。みんなオチのある話をするんですよね。お母さんもめちゃくちゃ面白い人だから、必ず持ちネタがあるんですよ。
ー 本当に仲良しなご家族ですね。
それで2、3時間話してじゃあまたね、今年もよろしくねって帰ったら、母親からLINEがきたんですよ。
「あんたが来て話してくれたから面白かったよ」って。
帰省したとき、最近のこととかを話すと、お母さんがめちゃくちゃ喜んで聞いてくれるんですよ。
僕が正月に入院した時の話とかしたら、ゲラゲラ笑いながら聞いてくれました。
僕がこうやって仕事をしたり、色々な人に会ったり、面白いことを感じたり経験したりしたことを、母親に話して笑わしてあげることが、「俺は楽しく生活してるよ」っていうことを1番伝えられる方法だと思うんですよね。
僕はお母さんににたくさん楽しませてもらってきたし、心配をかけつつも自分の好きなことをして生きてきたから、「こんなに面白いことあったんだ」っていうのを伝えるのが、僕は一番親孝行になるかなと思っています。
子供を信じること、自分も人生を楽しむこと
今回のインタビューは、5歳さんがお母さんのことをとても楽しそうに話しているのが印象的でした。お母さんのことを一人の人間として、心の底から尊敬していることが伝わってきました。
いい学校に行っていい会社に就職する、いわゆる敷かれたレールに乗った人生とは異なり、自由に生きてきた5歳さんですが、今ではライターとして大活躍。
親は誰しも子供の幸せを願うものだと思いますが、子供の気持ちを尊重し、子供の人生を見守ること。そして母親自身も自分の人生を楽しむことが大切なのではないか。そう感じさせるインタビューでした。
5歳さん、ありがとうございました!
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