春は卒園・入学シーズン。
幼稚園に通う子供のために、毎日お弁当を作っていたselineeさんは、卒園前最後のお弁当の日を迎えました。
卒園する我が子から、思いがけない贈り物
今日は最後のお弁当日。
少し早起きして子のリクエストのキャラ弁を作った。
のりやハムでパーツを作り、なんとかアイカツのいちごちゃんが出来た。
唐揚げにミートボール、ブロッコリーのグラタンにツナオムレツにプチトマト。どれもこれも子の大好物のおかず。
今日だけはバランスを考えず、子の好きな物だけを詰め込んだ。
デザートには子が大好きな苺。1パック480円もしたから躊躇したけれど、最後だから奮発して購入した。
(おいしくなぁれ)
心の中、おまじないを掛けながら丁寧に作るお弁当。
夫の為に、結局弁当生活はまだまだ続くけれど、この小さな小さな箱に毎朝おかずを詰め込むのは最後。
空っぽの元気な時もあれば、残してしまった心配な日もあった。
子の心や体のバロメーターともなっていた習慣の一つだった。
ー幸せの形
子が喜ぶ顔を想像しながら手作りする朝のキッチン。ひとりきりの日中、楽しく食べているかなって想像する時間。
どんなに疲れていても、帰宅して子のカバンから取り出した弁当箱が空っぽだった時は辛い気持ちも吹き飛んだ。
またひとつ、子にしてやれることが減ったことが誇らしいような悲しいような複雑な気持ちだ。
そして今日ー、いつものように子のカバンから弁当箱を取り出した。
弁当箱の蓋に何かが貼られていて、それを見て思わず涙ぐんだ。
「おかあさん、いつもおいしいおべんとうありがとうございました。」
拙い文字で書かれたその手紙に、この2年間のあれこれが走馬灯のように蘇り浮かんでは消えていった。
私が泣いているのを見て子は言った。
「ママ、嬉しくて泣いてるの?」
涙を流すという行為が、悲しいだけではなく喜びや感動の時もあるのだということを既に子は知っている。
それほど成長したのだと実感した。
綺麗にその手紙を弁当箱から剥がし、手帳に挟んだ。
宝物がまたひとつ増えた。
記事提供:selinee
ポッケ編集部PICKUP育児エッセイ
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