授乳中のしこり…乳腺炎?まさか乳がん?見分け方を知っておこう

授乳をしていると、胸にしこりを感じることがあるかもしれません。「母乳が詰まっているのかな?」と思いつつも、乳がんの心配も拭えないのではないでしょうか。そこでこの記事では、現役の産婦人科医に行った取材をもとに、授乳中のしこりについて、ママが気になるポイントを解説します。

しこりに悩んだことがあるママは8割以上!

授乳 しこり IG

上の円グラフは、ninarubabyが行った、「授乳中、乳房にしこりができたことがあるかどうか」のアンケート結果です(※)。なんと8割以上のママが、乳房にしこりを感じたことがあるということが分かりました。

乳房にしこりができると、病気なのではないかと心配になることもあると思います。そこでまずは、授乳中、乳房にしこりができる原因を知っておきましょう。

しこりができたときに考えられる原因は?

乳腺炎 乳房

授乳中にしこりができたときにまず考えられるのは、「乳腺炎」です。乳腺炎とは、母乳の通り道になる「乳腺」という部分に母乳が溜まって炎症を起こした状態で、母乳が溜まった部分がしこりのようになります。

乳腺炎になると、しこりができる以外にも、乳房の痛みや発熱、倦怠感などの症状が現れるのが特徴です。

そして、「乳房のしこり」と聞いたときにイメージするのは、やはり「乳がん」ではないでしょうか。

乳がんは、「乳管」や「小葉」の細胞から発生する悪性腫瘍です。乳がんは患者数が増加傾向にあり、女性がかかるがんのなかで1番多いがんです。

あなたのしこりは大丈夫?
乳腺炎と乳がんのしこりには違いがあります

乳腺炎のしこりと乳がんのしこりでは、特徴が少し違います。授乳中のママは、それぞれのしこりの特徴を知っておくことも大切ですよ。

乳腺炎のしこりの特徴

  • 弾力性がある
  • 押したりつまんだりすると動く
  • 場所によって固かったり柔らかかったりする

しこり以外に、乳房の痛みや発熱、倦怠感などの症状が出るのも特徴です。

乳がんのしこりの特徴

  • 固くてゴツゴツしている
  • 押しても動かない
  • こんにゃくの下に豆を置いて触ったような感触がする

基本的に、乳がんの症状として乳房がチクチクしたり、痛んだりすることはありません

産婦人科医でありながら、母乳育児のサポートにも力を注ぐ間瀬先生にも乳腺炎と乳がんの特徴やしこりの違いを教えていただきました。

間瀬先生

間瀬先生

乳腺炎などのしこりや赤みは、授乳や搾乳をすることで治ります。なかなか治らないときは、病院を受診されることをおすすめします。

他にも、乳房の皮膚がひきつれてくぼみができていたり、授乳を始めてからしばらくののちに母乳に出血が混入することが続いていたり、赤ちゃんが突然片方の乳房からの授乳を嫌がったりするときは、受診するようにしてください。

しこりができた…病院を受診する目安は?

「受診して」と言われても、授乳中の乳房のしこりくらいで病院に行っていいのかな、と迷う人も多いと思います。

さらに授乳中はおっぱいトラブルが起こりやすく、育児も忙しいいため、胸にしこりができても「よくある授乳トラブルだろう」、「自分のケアをしている時間がない」と考えて、病院を受診せず、家で対処をしたり、放っておいたりする人が大半なのではないでしょうか?

育児に家事にと忙しい授乳中のママを責めたいわけではもちろんありません。しかし、ときには自分の体をしっかりケアしてあげることも大切ですよ。

間瀬先生も、「気軽に病院を受診して」とのコメントを寄せてくださいました。

間瀬先生

間瀬先生

どうぞ授乳中にかかわらず、気になるときは遠慮なく受診してください。お母さんが「何かヘンだ」と思われたときが、病気などの発見のきっかけになることもありますよ。

2年に1度は乳がん検診を受けてしこりをチェック

乳がんは、早期発見が大切ながんです。しこりがあるなどの異変が起きたときだけでなく、少なくとも2年に1度は定期検診を受けることも大切ですよ。

しかし、「授乳中は乳がん検診を受けても発見されづらい」という噂も。間瀬先生、この噂は本当なのでしょうか?

間瀬先生

間瀬先生

乳癌検診として一般的な超音波検査やマンモグラフィーは、授乳中の乳房の変化により、乳癌を発見することが難しくなるのは事実です。そのため妊娠前か、乳房が落ち着いてくる産後6ヶ月〜1年ほどが経った頃に乳がん検診を受けるようにしましょう。

妊娠可能な年齢は、乳がんが増加してくる時期と重なります。妊娠、授乳に備えて、普段から乳がん検診を受けておくことが大切です。

また、しこりができない「炎症性乳がん」もあります。赤く腫れて乳腺炎と似たような症状になるのが特徴です。乳腺炎として治療を行っても改善しないときは、乳腺専門医に相談をしましょう。

乳腺炎でしこりができた!
みんなはどうやって乗り切った?

セルフチェックや病院への受診を通して、乳房のしこりが乳腺炎によるものであることがわかった場合は、自宅でしこりのセルフケアを行いましょう。

ここでは、実際に授乳中のママたちが行っているしこりへのケアに対して、助産師さんからアドバイスをもらいました。自分にあったしこりケア方法をみつけてくださいね。

しこりケア方法1. 胸の周りを冷やす

佐藤さん

佐藤さん

赤みや痛み、しこりがある場合には、一時的に冷やしてください。症状がひどいときには、ガーゼにくるんだ保冷剤で冷やすのが効果的です。

しこりケア方法2. 赤ちゃんにしっかり授乳する・搾乳する

佐藤さん

佐藤さん

まずは、赤ちゃんにしっかり母乳を飲ませましょう。それがうまくいかない場合には、搾乳をすることも一つの方法です。
その場合は搾乳機にだけ頼るのではなく、しこりのある部分を片方の手で軽く圧迫して、もう片方の手で手搾りすることをおすすめします。

菊池さん

菊池さん

必要以上の搾乳は分泌過多を招く恐れがあります。軽く、すっきりする程度に搾乳するようにしてくださいね。

これらのしこりケア方法はあくまで一例です。乳腺炎のケア方法については下記の記事にもっと詳しくまとめているので、こちらもチェックしてみてくださいね。

授乳中のしこりが心配なときは迷わず相談を

乳腺炎と乳がんの違いや、ケア方法について解説してきましたが、しこりには例外もあります。

自分で判断できないときや不安なときは、早めに、母乳外来や産婦人科で相談するようにしてくださいね。

※アンケート概要
実施期間:2018年9月13日~9月17日
調査対象:授乳経験のあるママ
有効回答数:25件
収集方法:Webアンケート


取材協力:間瀬 徳光

取材協力:間瀬 徳光

産婦人科医 / 沖縄県立中部病院 総合周産期母子医療センター


2005年に山梨医科大学(現 山梨大学)医学部を卒業。板橋中央総合病院を経て、現在は沖縄県立中部病院 総合周産期母子医療センターに勤務。産婦人科専門医、周産期専門医として、一般的な産婦人科診療から、救急診療、分娩の緊急対応まで幅広く診療を行っています。IBCLC(国際認定ラクテーション・コンサルタント)として、母乳育児のサポートにも力を注いでいます。

取材協力:佐藤 裕子

取材協力:佐藤 裕子

助産師 / マタニティハウスSATO


日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助産院では、日々多くのママたちからの母乳相談や育児相談を受けています。具体的に悩みを解決でき、ここにくると安心してもらえる、そんな助産師を目指しています。

取材協力:菊池 はるな

取材協力:菊池 はるな

助産師


茨城県立中央看護専門学校助産学科卒業後、総合周産期センターの産婦人科・NICU勤務を経て、現在は横浜のあおのウィメンズクリニックに勤務。また世田谷のみくりキッズクリニックで母乳外来を担当しています。お母さんと赤ちゃんに寄り添いながら、妊娠生活や出産、育児が楽しめるようなサポートを心がけて、日々働いています。現在、IBCLC(国際ラクテーションコンサルタント)取得のために奮闘中です。