沖縄で暮らす妻ングトンともよさん。昨年末に米軍基地内で男の子を出産したそうですが、いろいろと驚きの連続だったようです。
今回と次回にわたって、その理由を詳しく語っていただきます。
ここは日本だけど日本じゃない
初めまして。妻ングトンともよといいます。夫と0歳の息子と三人で沖縄で暮らしています。
夫との出会いは東京。漫画とアニメとゲームが大好きな私たちは、オタクな趣味を通して意気投合し、2年の交際を経て2017年に結婚しました。
漫画の感想や考察を話し合ったり、お互いのおすすめアニメを見たり、ポケモンバトルをして日々過ごしていましたが、昨年末に出産。今は息子中心の生活を満喫しています。
そんな私たちですが、他の家族とちょっと違うなと思うところが1つあります。それは住んでいる場所です。
実は私たち、米軍基地内に住んでいるんです。
日本国内にあるアメリカ
というのも、夫が在日米軍で働いているアメリカ人だからです。結婚してそのまま私も米軍基地内に住むことになり、今に至ります。こんな展開、夢にも思っていませんでしたね。
今でこそ慣れましたが、米軍基地内はまさにアメリカで、完全に外国です。住み始めてからしばらくは驚きの連続でした。
スーパーにはアメリカでしか手に入らないシリアルやお菓子、飲み物がたくさん売られていますし、フードコートにはPopeyesやDunkin Donutsなどアメリカにしかないお店が並んでいます。
家もアメリカ様式で、例えばキッチンには大きなピザ2枚を一気に焼けるオーブンが備え付けられていますし、エアコンやオーブンの温度表記は全て℃(摂氏)じゃなく℉(華氏)。いちいち頭の中で℃に換算するのが大変です。
米軍基地内の厳しい独自ルール
その後、夫の転勤に伴い現在住んでいる沖縄の米軍基地に引っ越してきました。
引越し後の荷解きも終わって落ち着き、「よし!沖縄観光するぞ!」と思った矢先に新型コロナが流行。結局、沖縄観光どころか両親を息子に会わせてあげることすらできていませんし、友人知人にも1年以上会えていません。
というのも、米軍基地内には新型コロナの感染防止策として「2週間以内に渡航歴がある人との接触禁止」という独自ルールがあるからです。
私は沖縄に知り合いがいないので友人に会うには県外から来てもらうしかないのですが、沖縄への主な移動手段が飛行機なので友人に来てもらってもルールのために会えないのです。
出産した今は息子と家の中で遊び倒したり、家の周り(ヤシの木しかない)を散歩したり、日用品の買い物に行ったりしてなんとか気分転換ができていますが、妊娠期間中は辛かったですね。
ちなみに野菜は基地の外のスーパーで買った方が安く、お肉は基地内でアメリカ産のものを買った方が安いので、うまいこと使い分けて生活しています。笑
さてここからは、米軍基地内で妊娠・出産した私が経験したアメリカ式マタニティライフをご紹介しようと思います。
エコー検査の回数が少なすぎて
夜な夜な涙で枕を濡らす
まずはエコー検査(超音波検査)についてです。
日本の産婦人科では、基本的に月に1回くらいエコー検査があると思います。エコー検査って、すっごく待ち遠しいですよね。検診が終わった瞬間から次の検診を楽しみに生きる、そんな妊婦さんもいるのではないでしょうか。
しかし、アメリカでは事情が違います。なんと、エコー検査はたったの2回なんです!
月に2回?いえいえ、違います。“妊娠期間中”に2回なんです…。
………………………びっくりですよね。笑
日本の妊婦さんがうらやましい
日本では妊娠が分かった瞬間からエコー検査で確認をしてくれるのが一般的だと思います。しかし、アメリカの初回エコー検査と初回心拍確認は、なんと「妊娠10〜11週」の時。
妊娠が判明して病院に行くと、尿検査だけして「妊娠してますね」と言われて家に帰されます。エコー検査をしもらえず心拍も聞かせてもらえないまま、次に診てもらえるのは1ヶ月後です。
米軍基地の外にいる私と同じ妊娠週数の人が「胎嚢確認できた!」「心拍の確認できた!」と喜びを噛み締めている時、私は家で白目を剥いて泣いてました。
2回目のエコー検査は妊娠20週の時。その後は何か特別な理由がない限りエコー検査はありません。
お、お、お、終わり????????そんだけしかないの???????と私は困惑しました。
言ってることはわかるけど考えがドライすぎる
どうしても納得がいかないので、病院の先生に問い詰めました。
すると、先生の言い分としては「早く見たり、たくさん見たところで赤ちゃんの成長がどうこうなるわけではない」「もし子宮外妊娠だったらお腹がすごく痛くなって出血するから緊急病棟に行けばいい」とのこと。
えええええええええええええ!!!!!!??????
確かにエコー検査を早めにしたり、何度もやったところで赤ちゃんの発育が早まるわけではないけど、赤ちゃんのことがいつも心配で、成長を常に確認したいという母親の気持ちは考えてくれないの!!!???
子宮外妊娠かどうか、緊急病棟に行くことになる前に調べてくれないのォォォオオオオ!!!?
今でこそ笑い話のように話していますが、当時は赤ちゃんが元気なのかどうか、そもそも子宮内でちゃんと妊娠しているのかどうか、毎日毎日不安で泣いていました。
日米で病院に対する意識が違う
これは私の勝手な推測ですが、エコー検査の回数の少なさは、日本とアメリカの「病院」に対する意識の違いからきているような気がします。
日本は「念のため調べる」ことが多いですよね。この感覚があるからこそ、エコー検査の回数が多かったり、早めに行ったりするのだと思います。
しかしアメリカは「念のため調べる」という感覚はあまりなく、「何か起こってから初めて病院に行く」ということが多いんです。
また、アメリカは日本よりも医療費が高いので、病院は日本ほど気軽に行ける場所ではないという事情もあるのかもしれません。
何度かこのモヤモヤを病院の先生に訴えてみました。
しかし、帰ってくるのは「ストレスを溜めるのは赤ちゃんに良くないからストレスを溜めるな」という、そんなん分かっとるわ!と言いたくなるような答えばかり。本当に辛かった…。
そんなやりとりをしばらくしていましたが、ついに耐えきれなくなり妊娠9週の時に日本の産婦人科に行ってエコー検査をやってもらいました。最初からこうすればよかったのかも…。
ちなみにエコー検査の回数についてどう思うか軍基地にいるアメリカ人の妊婦さんに聞いたら、「少な過ぎて不安」と言っていました。
アメリカ人も不安なんかい!!!!
<つづく>
次回予告
男の子を産んだ妻ングトンともよさん。産んだ直後、赤ちゃんにある処置が施されることになったのですが…。
米軍基地で妊娠・出産して驚いた話はまだまだ続きます。
次回をお楽しみに!
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