授乳をしているママなら誰しもなりうる「乳腺炎」。その症状のつらさを耳にしたことがある人も多いかもしれません。そんなつらさを最小限に抑えるためには、初期症状の段階で早めに対処することがとても大切です。
そこで今回は、乳腺炎の初期症状について、3人の先輩ママに詳しく教えてもらいました。助産師さん監修の予防法もあわせてご紹介します。
乳腺炎って何?
母乳は、ママの乳房のなかの「乳腺」という場所で作られます。この乳腺が炎症を起こしてしまった状態を、「乳腺炎」といいます。
主な原因は、乳腺に母乳が溜まってしまうこと。そのため、授乳をしているママの2〜30%が乳腺炎になるとも言われています(※1)。
乳腺炎は適切な対処をすればすぐに治まりますが、症状の進行が早いので、数時間のうちに一気に悪化することもあります。そのため初期症状に気づいた段階で、早めに対処することが大切です。
乳腺炎の一般的な初期症状は?
乳腺炎に早めに気がつくためには、どのような初期症状が現れるかを知っておく必要があります。
ここでは、一般的な初期症状と、乳腺炎にかかったことのある先輩ママの体験談を見ていきましょう。
乳腺炎の初期症状① 乳房の痛み
授乳をしていると乳頭が痛くなることがあるかもしれませんが、乳腺炎の初期症状で現れる痛みは、それとは少し違います。
乳頭ではなく、乳房の一部、または全体に激痛が走り、なかには脇の下まで痛みが広がる人もいます。
先輩ママはこうだった!体験談
Kママ
【乳腺炎になった時期】生後4ヶ月
【授乳スタイル】混合育児
ある朝起きた瞬間、胸に激痛が走りました。乳首を中心として、放射線状に痛みが広がるような感じ。とにかく 乳房全体が痛くて仕方がなかったです。
とりあえず赤ちゃんにおっぱいを飲ませてみたけど、じんじんと響くような痛みが止まらず、困りました。
乳腺炎の初期症状② 乳房のしこり・張り・腫れ・熱感
乳房がいつもよりパンパンに張る、しこりができて硬くなる、赤く腫れる、熱を持ったような感じがするなども、乳腺炎の初期症状です。
先輩ママはこうだった!体験談
Mママ
【乳腺炎になった時期】生後0ヶ月
【授乳スタイル】混合育児
夜中、授乳が終わって寝ようと思ったら、急に胸に違和感が…。触ってみると、ボッコボコ!!今思うと、乳腺の一部にしこりができていたんだと思います。まさに石のような硬さで、ゴツゴツしていました。
あとこれはあとから気がついたことですが、「白斑(乳頭にできる白いニキビのようなもの)」もできていました。これも乳腺炎の初期症状のひとつのようです。
乳腺炎の初期症状③ 高熱・悪寒
乳腺炎の初期症状として、38度以上の高熱が出たり、悪寒を感じたりすることがあります。
先輩ママはこうだった!体験談
Aママ
【乳腺炎になった時期】生後1ヶ月半
【授乳スタイル】混合育児
夜中赤ちゃんを寝かしつけていると、夏なのに急にびっくりするくらいの悪寒が。寒くて震えが止まらず、立っていられなくなって、熱を測ると39度もありました。「もしかしてインフルエンザ?」と思いましたが、夏だからそんなことあるわけなく、胸を触ってみるとカチコチになっていたので、乳腺炎だと気が付きました。
赤ちゃんが夜中2〜3時間おきに起きて全然眠れていなかった時期なので、疲れが溜まっていたのかもしれません。とにかく寒くて、夏なのにスウェットを2〜3枚着ても震えが止まらず、大変でした…。
乳腺炎の初期症状を感じたらどうする?
乳腺炎の初期症状を感じたら、やることはただ一つ。母乳外来のある産科や助産院、母乳相談室などの専門施設を訪ねましょう!
先にご紹介した3人の先輩ママも、口を揃えて「受診したらすぐに楽になった」といいます。自己判断でケアをすると長引いたり、初期症状がひどくなったりする可能性もあるので、気軽に受診することがおすすめです。
先輩ママの体験談
駆け込んだ母乳外来が行きつけになりました
Kママ
【乳腺炎になった時期】生後4ヶ月
【主な症状】胸の痛み
自分で赤ちゃんに母乳をあげても初期症状がほとんど改善されなかったので、近所の母乳外来を調べて、電話をしてみました。すると「すぐに来て!」とのこと。言われたとおり、すぐに向かいました。
母乳外来で助産師さんに胸をマッサージしてもらうと、痛みがすぐにどこかへ飛んでいって驚き。本当に楽になりました。初期症状を感じてすぐに行動に移したのがよかったのかもしれません。
それ以降も、乳腺炎の初期症状が出る前に、予防の意味でおっぱいマッサージに通いました。だいたい1ヶ月に2回くらいかな。そしたら乳腺炎になることもありませんでしたよ。
自己流ケアで初期症状が更にひどくなって…
Mママ
【乳腺炎になった時期】生後0ヶ月
【主な症状】胸の張り・しこり
私は夜中に乳腺炎の初期症状が出たので、夜中の間ほとんど泣き叫びながら耐え、翌朝早く、近所の母乳相談室に向かいました。
そこで母乳マッサージを受けたら、夜中泣き叫んでいたのが嘘みたいに楽になり、胸がほにょほにょと柔らかくなったんです!衝撃でした!
とにかく出産した産院へ急ぎました!
Aママ
【乳腺炎になった時期】生後1ヶ月半
【主な症状】発熱・悪寒
寝かしつけ中に悪寒で立っていられなくなったので、夫に寝かしけを交代してもらい、とにかく横になりました。そしたら少し落ち着いたので、そのままなんとか過ごし、翌朝すぐに出産した産院へ。おっぱいマッサージを受けると、体がすごく楽になりました。
その後も、毎日胸を触って乳腺炎のセルフチェックを行い、ちょっとでも硬い気がしたらすぐに病院に行くようにしています。するとひどい乳腺炎になることもないので、初期症状を知って早めに行動することが大切なんだなと感じています。
乳腺炎初期症状の予防には日頃のケアが重要!おすすめの予防法
乳腺炎は、毎日のケアや授乳方法の工夫で予防することも可能です。初期症状が現れる前からしっかりとケアしておきたいですね。
ここでは、おすすめの予防方法をいくつかご紹介します。
左右の胸からまんべんなく母乳を飲ませる
母乳を飲ませるときは、左右の胸からまんべんなく、そして全ての乳腺から絞り出すように意識しましょう。詰まりやすかったり、しこりができやすかったりする部分は、押しながら与えてもいいですね。
先輩ママの体験談
Kママ
乳腺炎になる前日、右の胸からばかり飲ませていた自覚がありました。そしたら左の胸に初期症状が現れたので「やっぱりな」と思い、それからは左右できるだけ均等に飲ませるようにしました。
授乳時間・回数・間隔を変えすぎない
母乳が一定のペースで作られるように、授乳のペースや回数をできるだけ変えすぎないようにしましょう。間隔を空けすぎたり、1回あたりの時間を極端に短くしたりするのもNGです。赤ちゃんのペースもありますが、できるだけ規則正しく与えるようにしましょう。
先輩ママの体験談
Mママ
乳腺炎の初期症状が発症した日は、授乳間隔をいつもと少し変えてみた日でした。こんなにすぐに症状として現れるなんて、びっくりです…。
この他にも様々な予防法や対処法がありますが、それは下記の記事にまとめています。気になるママは、こちらもチェックしてみてくださいね。
乳腺炎の初期症状を知って、早めに対処を!
乳腺炎はとてもつらいものです。初期症状が現れたらすぐに対処して、できるだけひどくならないようにしたいですね。
今回話しを聞いたママたちも、それはそれはつらい初期症状だったそうですが、3人とも早めに受診したことで長引かずに済んだようです。初期症状を感じたら遠慮せず、プロに頼るようにしてくださいね。
監修:河井 恵美さん
看護師、助産師
看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。救急、外科外来等も経験し、看護師教育や思春期教育にも関わっていました。助産師の仕事が大好きで、25年以上この仕事をしています。青年海外協力隊でコートジボアールとブルキナファソに赴任した後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。2008年から夫の仕事関係により、シンガポールに住んでいます。2人の子どもを育てつつ、現地の産婦人科に勤務し、日本人の妊産婦さん方に関わっています。インターネットでエミリオット助産院開設中。