家庭内のリソース不足を解消するために、夫に育休取得を頼んだ話。

最近「男性の育休」が話題ですが、夫の育休取得について、実際女性はどのように感じているのでしょうか?今回は、夫婦で1年間の育休をしているムラキさんにインタビュー。

ご自身のSNSでダブル育休をおすすめしているムラキさんに、ダブル育休を取得した理由や、メリット、育休を検討している夫婦へのアドバイスを聞いてみました。

プロフィール

ムラキさん 育休取得期間 修正
ムラキさん 正社員(法人営業)/フルタイムで復帰予定
副業:グラフィック/UI/UXデザイナー
イミーさん(夫) 正社員(PM)/フルタイムで復帰予定
副業:エンジニア

ムラキさんご夫妻は、夫婦で同時に育休を取得する「ダブル育休」中。今年の春、息子さんが保育園に入ることができなかったため、現在も夫婦で育休を延長中です。

一緒に育児するのだから、一緒に休むよね?

育休 ムラキさん

ー はじめに、旦那さんの育休取得のきっかけを教えてください。

もともと私から、「いつから育休とるんだっけ?」と夫に話したのがきっかけです。

そのときの私の気持ちとしては、「女性は産前から産休に入るけど、男性はどのタイミングで育児のために休むんだろう?」という純粋な疑問でした。

私たちは会社の同期で、同じ会社で同じ期間働いてきました。その感覚で、「一緒に育児をするのが当たり前だよね」と思っていたんです。

ー そのとき、旦那さんはどんな反応でしたか?

「えっ、俺も取るの?」みたいな反応をされました(笑)。

子供ができるまで育休のことをよく知らなかったので、そもそも男性が育休を取得しづらいなんて考えてもみなかったんですよね。

幸いなことに、うちの会社は男性の育休に対して寛容だったので、夫には育休を取る方向で進めて欲しいとお願いしました。

ー 旦那さんの1回目の育休は、お子さんが生後1ヶ月のときに取得していますよね。産後すぐではなく、産後1ヶ月後に育休を取得してもらったのはなぜですか?

夫の仕事の引き継ぎ期間を作るためです。

実際子供がいつ生まれるかは分からないし、生まれた直後はバタバタします。見通しが立たない中で突然休みに入るのは、本人も職場も大変だろうなと思って。

なので、産後1ヶ月は私の実家で過ごして両親にサポートしてもらい、夫にはその間に仕事の引き継ぎを済ませてもらいました。

2ヶ月目から自宅に戻り、生活が軌道に乗るまでの1ヶ月間だけ、夫の育休を取得することにしたんです。

ー なるほど。1回目の育休はなぜ1ヶ月間だけだったのですか?

厚生労働省の『パパ休暇』という制度があるのですが、これは「パパが育休を取る際には、出産直後と1年以内のいずれかで2回目を取ることができる」というもので、その条件が「1回目の育休を産後8週までで切り上げる」ことなんです。

その時点では2回目を取るか決めていなかったんですが、取る可能性を加味して、1回目の育休を1ヶ月で切り上げることにしました。念のための保険みたいな感じですね。

育児の大変さは、夫婦で一緒に解決するもの

育休 ムラキさん

ー 息子さんが生後10ヶ月の頃に旦那さんが2回目の育休を取得していますが、なぜ2回目を取ることになったのでしょうか?

生後2ヶ月から生後10ヶ月までの8ヶ月間は、いわゆる「ワンオペ育児」の状態で、いざ一人きりで子供と向き合ってみたら、思っていたよりも大変だったんです。

子供ができると、自分の人生以外にもう1人分の人生を担わなければいけません。これまでの2倍ご飯食べて、2倍トイレに行って、2倍お風呂入ってみたいな感じですよ。

24時間で足りるわけなくないですか(笑)? とにかくリソースが足りないので、自然と「昼ごはんを立ったまま10秒でかきこむ」とか「ドアを開けっ放しでトイレを済ませる」とか、「2時間以上まとまって寝られない」とか、自分の人間らしい生活が失われていくんです。

子供は本当に可愛い、でもこの状態が続いたら確実に病む、と思いました。我が家の場合は、どちらの親戚も遠方に住んでいて、なかなか頼れないことも影響していました。

このことを夫に相談して、2回目の育休を取得することになったんです。

ー でもダブル育休を取ることに、金銭的な不安はありませんでしたか?

2人ともフルタイムで働いていた時より手取りが減るので、もちろん不安はありました。

私が復職して、夫が育休を取得するという選択肢も考えましたが、そうすると今度は負担が夫1人にのしかかります。

自分が大変だと感じたことを、相手に押し付けるのはなんか違うなと思って。

だから、「家庭に入るお金は多少減るけど、2人で休んだ方がいいんじゃない?」という結論になりました。

夫に最初1ヶ月間育休を取ってもらったことで、「育児は1人でやるもんじゃないよね」という共通認識があったので、相談の上で2回目のダブル育休を取ることになりました。

ダブル育休だからこそ、心の余裕がもてる

育休 ムラキさん

ー ダブル育休をとってよかったと思うことはなんですか?

2人で休んでいるからこそ、お互いに自分の時間がもてることです。

私はもともと働くのが好きなタイプで、学生時代から副業でイラストやデザインの仕事を副業としていました。なので出産前は、育休を取得しても、完全にキャリアが断絶することはないだろうと思っていたんです。

でも実際に育児をしてみると、24時間子供と一緒。自分だけの自由な時間はほぼ確保できず、育児にいっぱいいっぱいで、他のことに手をつける余裕はありませんでした。

夫が2回目の育休をとってからは、少しだけ時間的な余裕が生まれました。現在は、夫と相談の上でお互いの自由時間を確保し、その時間で副業をしたり、勉強をしたり、趣味を楽しんだり、ただひたすら寝たりしています。

フルタイムで働いていたときより時間は短いですが、全く働いていない状態ではないので、キャリアが断絶されるような不安がないのがとてもいいですね。

ー 育児だけに専念しないことで、心の余裕も持てそうですね。

そうですね。子供と自分どちらかではなく、どちらにも時間を使えることが嬉しいです。

自分以外の誰かと24時間一緒にいて、寝ても覚めても相手の生存に気を配り続けるというのは、どんなに相手のことが好きでも、どうしても辛くなってしまう瞬間があります。

どこかで気を抜ける瞬間があるからこそ、息子と公園に行ったときには、全力で息子と遊び倒せる。

自分だけの時間があるというのは、育児をする上でとても大切なことだと思います。

ー ダブル育休中に大変だったことはありましたか?

家事育児の分担ですね。

うちはもともと家事は完全分業で、料理は夫が担当、それ以外の家事は私が担当していました。

母乳をあげること以外は夫もできるので、家事と同じように「育児」というタスクも分業することにしていました。

ー すごいですね…。

でも、これが結構難しくて。

うちは互いの精神的な負荷が平等になるように分担をしているんですけど、このバランスが何かしらの原因で崩れると、どっちかがイライラして、喧嘩になるんです。

ー たとえば、どんなことがありましたか?

離乳食が始まったときに、険悪になりました。

これまでミルクをあげていればよかったのに、離乳食が始まると、「離乳食作り」という家事が必要になります。ミルクはミルクでしばらくの間はあげるので、別ジャンルのタスクが1個増えるんですよね。

うちは夫が料理担当だったので、自然と離乳食作りも夫の担当になったんですが、その時点で「平等さ」みたいなものが揺らいだんです。自分たちの料理とは別で、もう何品も作らなければいけなくなるので、大変ですよね。

しかも、はじめの頃は離乳食を食べてくれなかったので、手間暇かけて作った食事をまるごと捨てるのもザラ。でも料理は私の担当ではなかったから、その大変さに気づかなくて。

しばらくの間、夫がご飯作りに疲れて、食事の時間のたびにぐったりするような時期があったので、改めて家事分担について話し合うことにしました。

ー どのように解決したんですか?

ミルクを温めるのと同じ感覚でできるように、ベビーフードを使うことにしました。で、私も離乳食の準備については適宜担当することにしました。

ミルクから離乳食は分かりやすい例で、もっと些細なこともあります。子供の成長とともに、同じタスクでも負荷が変わるので、定期的に話し合いながら、なるべく平等さを保てるように努力しています。

夫婦で育児の共通認識をもつために、男性には育休を取ってほしい

育休 ムラキさん

ー ご自身で経験されてきたうえで、ダブル育休はおすすめだと思いますか?

そうですね。単純に、1人で育児をするのってすごく大変です。

私も出産するまで、本当の意味での育児の大変さは分かりませんでした。実際やってみると、「育児ってこんなにやることあるの?こんなに寝てくれないの?」みたいに、想定外の事態ばかり。

それと同じくらい、「自分の子供ってこんなに可愛いんだ」という、想像をはるかに超えた嬉しさもたくさんあって。大変さも愛おしさもパートナーと一緒に感じられるのは本当に素晴らしいです。

ただ、ダブル育休を絶対に取った方がいいとは思わないんです。近くに頼れる親族がいたり、サポートしてくれる環境があったり、休まずとも時短勤務で対応したり、ファミサポやベビーシッターを活用したり、とにかく何かしらの手段で心穏やかに育児ができるのであれば、それが1番だと思います。

ー 環境次第では、必ずしも旦那さんに育休を取ってもらう必要はないということでしょうか?

そうですね。うちは核家族で、なおかつ両家の親族とも遠方住まいなので、ダブル育休という手段を取りました。

とはいえ、本当にいい制度だと感じているので、もし少しでも「取得してみたいな」という気持ちがあるのであれば、無理のない範囲で前向きに検討していただきたいです。

毎日一緒に暮らしていても、同じタイミングで同じものを見る機会はそうそうないです。家事育児の配分、産後の妻側の体調、その他諸々含めて、お互いの状況や考え方を知るとてもいい機会だと思います。

ー 夫婦で共通認識を持つということですよね。

そうです。たとえ育休期間が短かったとしても、同じ目線で話し合いをできるようになります。

それは育児だけでなく、そのあと家族としてどう生きていくかにも、関わってくると思いますよ。

育休取得における男性側の不安も知ろう

旦那さんに育休を取得してほしいと思っても、男性の育休取得率はかなり低いのが現状。その要因のひとつとして、「育休を取ると将来のキャリアに影響があるのでは」という不安が挙げられます。

ムラキさんの夫イミーさんには、「キャリア」という視点から男性の育休取得について語ってもらいました。ぜひこちらの記事も読んでみてくださいね。

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作者

ポッケ編集部がピックアップした育児エッセイを紹介するコーナーです。様々な作者さんによる育児エッセイをお楽しみください。

石川 瑛子

石川 瑛子

いしかわ ようこ

「こそだてハック」「ninaru baby」編集者2年目。大学時代はノルウェーに留学し、北欧の教育や子育て政策、ジェンダーについて研究していました。趣味は写真を撮ること。旅行先には欠かさず一眼レフを持っていきます。
https://eversense.co.jp/member/ishikawa-yoko